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徒然なるままに

五香刃物製作所 アウトレット刃物市 骨スキ包丁を新調する

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千葉県柏市に、国の伝統的工芸品の指定を受けた五香刃物製作所という包丁を製作販売している刃物屋さんがあります。洋包丁の牛刀等を主力商品として鍛冶・刃付け(砥ぎ)・柄付けまで全てを一貫で製作しています。

毎年12月のこの時期(第2週末の土日)になるとアウトレット刃物市を開催しています。いつか行こうと思っていたのですが、忘れていたり機会が合わなかったりで行きそびれていました。今年は都合よく時間も取れたので晴れて初見参となりました。

市街地から遠く離れたのどかな田舎の風景が広がる場所にポツンと工場がありました。どこか懐かしい「野鍛冶」の風情を醸し出しています。朝一番乗りで到着したので私以外のお客さんは誰もいませんでしたが、30分もするとポツリポツリと人が増えて、気が付くといつの間にか十人程の来場者が集まっていました。

豚汁や石焼き芋をふるまってくれ、それを食しつつ、アウトレットコーナーや常設の展示場を拝見させてもらいました。

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白一全鋼牛刀で知る人ぞ知る包丁メーカー

五香刃物製作所さんは以前、白紙1号(日立金属の高級刃物用鋼材)の牛刀を全鋼タイプで作っていたのでマニアックな方には割と知られた存在です。

その白一全鋼牛刀も鋼材が入手困難となり、しばらく作っていなかったようですが、ここ最近になって復活。「下総国光月作」の銘と共に伝統的工芸品の証紙マークが貼られ展示されていました。

鋼材の高騰で定価はそれなりの金額になっていましたが、それでも白一全鋼牛刀は全国的に見ても珍しく、拘りのある方にとっては気になる存在です。

無骨な青紙の骨スキ包丁

さて、今回アウトレットにお邪魔した大きな目的の1つは、小さめの包丁を1本新調することででした。20年近く使い倒してチビてしまった極小ペティナイフをキッチンから勇退させ、アマゾン段ボールの開封用カッターとしての任につかせ、その代わりになるものを探しに来たというわけです。

アウトレットコーナーに良さそうな鋼製の無骨な包丁が1つありました。
青紙鋼・刃渡り約14cm弱(4.5寸)・ツバナシ・片刃の骨スキ包丁。

本来の使い方とは違いますが、ガラスキ/骨スキ系の包丁は一本も持っていなかったし、「物は試しに」という言葉もあるので購入してみました。キッチンでペティが引き受けていた種雑多な作業全般をこなしてもらわなければならないので、両刃風に刃付けし直してもらいました。

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こちらがその骨スキ包丁。サバキ包丁とも言います。直線的な刃線が特徴です。

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ツバがない作りは一見すると安っぽさを感じさせますが、作業用に徹した無骨な佇まいの良さもあります。平はヘアラインながらも割と磨かれていて光沢があります。

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刃渡り約140cm、重さ148g、峰厚は 2.6mmとやや太目。
刀身に比較して大きくて分厚い木製ハンドルが付いています。
厚みが1.8cmほどあり太いのでぐらつかずしっかり握れます。

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裏には青鋼の刻印。

一刀両断、意外と普段使いに向いている

工場ライン生産品とは対極の手作り感満載なハンドメイドの五香刃物さんですが、切れ味は素晴らしいです。

実は光月作の包丁は今回が初めてではありません。以前我が家で使っていた黒打ち菜切包丁(白紙)が光月作で、その包丁も切れ味抜群でした。

さっそく持ち帰った骨スキ包丁で肉や野菜を試し切りしてみましたが、青鋼包丁らしく気持ちよく食材を両断してくれます。スーパーマーケットでカット済みの食材がお手軽に買える昨今、業務用の骨スキ包丁など家庭では出番もなく不向きかと思いきや、さにあらん。

やや厚みのある直線的な刃は肉の切り分けだけでなく、ちょっとした野菜の押し切りにも便利です。小ぶりな菜切り包丁のようでもあるし、剥きもの包丁としても使えそう。メインの24cm牛刀の心強い相棒になってくれそうな、多用途に使える包丁のようです。

国の伝統的工芸品の指定を受けて

アウトレット刃物市は毎年土日の2日間開催しており、日曜日は鍛冶仕事の実演もあり結構混雑するようです。包丁研ぎも6寸程度の家庭用は600円、7寸以上は1,000円でやってくれます。

アウトレット品は検品でハネたものや試作品や長期在庫などがメインかなと思います。包丁だけでなく、鋏や鎌など庭仕事用の刃物や、工芸品など手仕事用の刃物を目当てに来ている職人さんと思しき方も来店されていました。

五香刃物製作所さんは以前から県の伝統的工芸品の指定は受けていましたが、国の伝統的工芸品として指定を受けたのは昨年からのようです。

現在、経済産業大臣より指定を受けた国の伝統的工芸品は全国で約230品目程度しかありません。刃物では大阪の堺打刃物、関の越前打刃物、新潟の越後三条打刃物が有名です。伝統工芸士の作る和包丁に、下記のような伝統証紙マークのシールが張られて販売されているのをよく目にすると思います。

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千葉県は房総半島で砂鉄が取れ古くから鍛冶が行われていました。そのため鋏、鎌、包丁など「千葉工匠具」の1つとして五香刃物製作所さんも認定を受けられたようです。他地区の刃物のように、全国の伝統工芸品が集まる都内の「青山スクエア」に製品が並んだり、展示会など開催するともっと注目が集まるのではないでしょうか。