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徒然なるままに

昭和レトロ「京都有次」の炭火用・火鍋子(ホーコー鍋/しゃぶしゃぶ鍋)が火を噴く!

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京都有次の銅ホーコー鍋

レトロそのもの。京都有次のホーコー鍋。

昭和レトロな京都有次の銅製ホーコー鍋を紹介します。日本ではしゃぶしゃぶ鍋とも呼ばれたりしますが、元々は中国北京の火鍋で使う火鍋子(ホーコーツ)がオリジナルです。中央にえんとつが付いた変わった形をしています。

家庭で鍋料理を食すなら、温度管理が楽で、火事の心配が無用で、部屋の温度に影響のない、快適かつ安全なIHヒーターを使用するのが今時の主流ではないでしょうか。フランス製のストウブやル・クルーゼあたりでもセットして、食事をお洒落に演出し、インスタ映えを楽しんでいる方も多いことでしょう。

イワタニのガスボンベ+カセットコンロすら古臭く感じる現代に、この鍋はなんと炭火の専用マシンなのです(笑)。時代錯誤も甚だしいとはこの鍋のためにある言葉でしょう。発祥の地である北京の火鍋子も、由緒正しいお店では基本的に炭火用の鍋が使われるようですが、この有次の銅鍋も彼の地・中国大陸の伝統を正しく引き継いだ本物の「火鍋子・ホーコーツ」というわけです。

 

煙突から火ボウボウ? 煙がモクモク?

こちらの銅鍋は、炭を起こすところから始めないと食事にありつけない、という1点だけでも面倒臭さが頂点に達する鍋ですが、デメリットはそれだけに留まりません。自宅で使おうものならある意味で命がけとなります。なぜなら炭火は一酸化炭素中毒の危険があるからです。部屋の換気が必須の危険な鍋なのです。

寒い冬場に身体を温めたいから鍋料理を食べようというのに、部屋の窓を開け閉めをしなくてはならないおかげで、足元に冷たいか風がスーッと吹き抜けたりして、ホカホカ気分が台無しです。しかも炭火が元気よく起きるとエントツから火がボウボウ、煙がモクモク。相当気合を入れないと使う気すら起きない厄介なシロモノです。

そんな3重苦・4重苦の炭火専用ホーコー鍋ですが、趣というかエンターテイメント性は抜群です。インスタ映え?、はいはい、仏製ストウブ鍋なんて目じゃありませんよ。破壊力抜群です。何せ「えんとつ」から火を噴くわけですから。画像や動画をアップすれば話題を独り占めです。

ちなみに炭火で火や煙を吐くといってもほんのわずかのことですし、予めガスコンロの換気扇の下やベランダなどで火起こしをして、状態が落ち着いた炭を投下すればボウボウ・モクモクはしません。質の良い火持ちの良い炭を使えばかなり長い時間楽しめます。

 

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使い方は意外と簡単

ガスコンロかガスバーナーで炭を起こして、火が安定したら、エントツ部分に炭を入れるだけです。出汁はあらかじめ沸騰させておけば、直ぐにしゃぶしゃぶが食べ始められます。炭は手頃な大きさのものを5-6個入れたら十分です。鍋料理といえども強火で四六時中グツグツと沸騰させる必要はありません。

火加減の調整については、空気口に七輪のような調節窓が付いているわけではないので、基本的に放置プレイ。既述のとおり人数や食材の量や食事時間を考慮して、最初に予め炭の量を決めておきます。

 

輸入の安い炭は厳禁。国産のものを使おう。

ホームセンターでよく売っている一番安い海外製のマングローブ炭を使ったりすると燃焼時間が短く、クサイし、臭いが何日も残って最悪です。高価でなくてもよいので、ちゃんと国産の木炭を使います。食事後は煙突に蓋をして、下の空気口も布等で塞いでしまえば炭火は消えます。 

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北京の火鍋子が発祥。日本ではホーコー鍋、しゃぶしゃぶ鍋とも呼びます

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有次の刻印。職人さんが打ち出した鎚目の美しい銅鍋です

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蓋を取るとこんな感じです

炭火焼きの誘惑が最大の難関。七輪の手招きが…

炭火用・ホーコー鍋を楽しむ目の前には、大きく立ちはだかる壁があります。それは炭火焼きの誘惑です。炭をおこしていると、ついつい「七輪で肉焼いたほうが美味いよな」という気持ちがムクムクと沸いてきます。お肉+炭の直火、という最強コンボの誘惑が心をこれでもかと揺さぶります。その誘惑を振り払って辿り着くエントツファイヤーな世界こそが、レトロなホーコー鍋(火鍋子)の真髄です。

レアなストウブ パンプキンココット バジルグリーン 24cm / Staub Pumpkin Cocotte 3.5qt Basil カボチャのココット

Staub Cast Iron Pampkin Cocotte Basil Green 24cm

Staub / Enamel Cast Iron Pumpkin Cocotte - Basil Green 24cm (3 1/2-Qt.)

カボチャ型のSTAUB/ストウブがやってきた

こちらは最近我が家に導入された2つ目となるストウブ。蓋に真鍮のノブが付いたカボチャの形をした緑色の鋳鉄製ホーロー鍋です。
※価格:23,800円 (定価:税込 / ストウブショップにて購入)


ストウブ・パンプキンココット・バジルグリーン・24cm


フランス語の正式名称は Staub Cocotte Citrouille Ronde 24cm Basilic-SC。
ストウブの鍋は丸いラウンド型か楕円のオーバル型が主流ですが、変り種や限定色の鍋も販売しています。今回はその変り種の1つでもあるパンプキン型のココット、しかも米国の調理器具販売「ウィリアズムソノマ」限定カラーである緑のパンプキンココットを選びました。

ストウブ パンプキンココットバジルグリーン Staub Pumpkin cocotte basil green

見た目で選んで大丈夫?

何故このモデルにしたかといえば、ズバリその見た目。
似たようなホーロー製品が他のブランドからも販売されていますが、材質の特性は変わりません。特別なオプション機能が追加装備されているわけでもありません。大同小異の世界です。であれば、好きなブランドであるとか、他人とはちょっと違うものが良いとか、見た目の良いもの、好きな色だとかでチョイスするに越したことはありません。

 

ラインナップとその推移はやや複雑

ストウブのパンプキンココットは、特殊なココットの製品群としては種類が豊富に展開されている人気モデルです。サイズは直径が28cmの5-Quartと24cmの3.5-Quartの2種類が用意されています。

色は、これまでに限定製品などを含めて全6色が販売されてきました。グラデーションが綺麗な明るいオレンジ、発色の良い鮮やかなオレンジ、現在のメインカラーであるシナモン、近年限定復刻色として展開されたホワイト、定番人気カラー版のブラック、そして米国ウィリアムズソノマ限定のバジルグリーン。

サイズによって色の有無があったり、既に廃番カラーも有ります。
やや複雑なので、図で解りやすいように整理してみました。

 

ストウブ パンプキンココットの種類/Line up of Staub pumpkin cocotte


現在、日本のストウブ公式サイトでは、基本色となるシナモンとブラックの24cmサイズの2点が取扱いされています。
※2016年に限定復刻したピュアホワイトシリーズの製品群にも24cmのパンプキンがラインナップされ正規で直営店を通じて販売されました。アメリカではホワイトも限定ではなく通常販売しています。

メインカラーは変遷があり、旧オレンジ(グラデーション)→新オレンジ→深みのあるシナモン(海外ではBurnt Orangeと呼ばれる)へと変更。また28cmの大型サイズについては、現在日本のストウブでは正規品としての扱いはありません。

 

レアアイテム? 珍しいバジルグリーンが日本で買える?

図のとおりパンプキンココットは延べ10種類が存在しています。この中で比較的レアなのが、今回我が家にやってきた、米国ウィリアムズソノマ限定販売のバジルグリーンのパンプキンココットです。

Staub Pumpkin Basil gree

Williams Sonoma Limited color / Pumpkin Basil green


ストウブとウイリアムズソノマ社のコラボ品なので、同社の実店舗での取扱いが基本となります。ウイリアムズソノマのオンラインショップでも、実際に来店して商品を引き取るお店を指定したうえでしか決済できません。

感謝祭やクリスマスのシーズン前あたりから販売開始となり、数量も限定なので無くなり次第終了です。毎年同じものを販売しているわけでもありません。昔販売された5qtモデルのバジルグリーンはすぐに売り切れてしまい、現在はオークションサイトで高値取引され、レアアイテムと化しています。現在販売中の3.5qtモデルもウィリアムズソノマのサイトでほぼ売り切れに近い状態です。

(日本ではアウトレット品として2018年の年末あたりからストウブのお店で販売しましたが数量は少なく限られているようです。※ヤフオクやメルカリで高額転売しようとしているボッタクリ出品者にご用心!ストウブのショップで価格23,800円で購入できます)

www.williams-sonoma.com

 

これはパンプキン?それともカボチャ?

ハロウィンの時期になると店舗の装飾や広告でよく見かけるのがオレンジ色のカボチャ。あれは正式には英語でPumpkin / パンプキンといいます。見た目はカボチャと似たようなものですが実際は色々と違うというか。単なる色違いではありません。

日本のスーパーでよく見かける緑色のカボチャは、英語圏ではSquash(スカッシュ/スクゥアッシュ)と呼ばれています。近年は日本の野菜も市民権を獲得しているのか「KABOCHA Squash」などと表示されることもあります。日本の野菜といいましたが、日本のスーパーで売っているカボチャは元々舶来品の西洋カボチャで、江戸末期から明治に入ってきまたものです。皮の硬い日本カボチャもありますが最近は殆ど見かけません。ちなみに日本カボチャも元々は16世紀ごろカンボジアから伝来した舶来品です。

フランスではオレンジのパンプキンはCitrouille(シトルイユ)とPotiron(ポティロン)に分類されます。緑のカボチャは色々と呼び名があるようですが、カボチャだったり、ポティロン・ヴェール・ジャポネだったり、ホッカイドウなんて単語が付く呼び名もあるようです。簡単に分けると以下のようなことになります。


パンプキン、カボチャの違い Pumpkin ? Kabocha?


ということで、緑のカボチャはどこへ行こうと基本的に「KABOCHA」ということで、緑のパンプキンココットもカボチャココットと呼びたい気分です。

パンプキンココットならではの良し悪し

さて、この製品ならではの良し悪しにも言及しておきたいと思います。

【良い点】
秀逸なデザイン
キッチンに放置しても出しっぱなし感がありません。
食材を入れるサーブ用ポットとして堂々とテーブルセンターに飾れるほどのルックスを持っています。蓋の真鍮の造作と鈍い輝きがなんとも言えません。

大きさと形状。
24cm/3.5Qtのサイズは汎用性が高く、深さも9.5cmと浅すぎず深すぎず、多様性があります。側面は蓋から底にかけて緩やかな絞りがあり、対流しやすい形状になっていますので、煮込み料理・炊きこみ料理がよりムラなく仕上がります。

【良くない点】
蓋のつまみ
ツルの形をした蓋のつまみが機能的に良くありません。
やや短くて、根元に行くに従って太くなるのでしっかり握れません。人間の性なのか、左下の写真のように指にかけてひょいと持ち上げる動作をやってしまいます。フタが閉まっている時は指が掛かりやすい角度なのですが、いざ蓋を持ち上げると重心バランスが変わってしまうので、どうしてもスルリと滑って指から抜けやすい角度になってしまいます。

パンプキンココット 真鍮のつまみ部
すべりやすい
真鍮のつまみ部分が短く、持ち上げる時に幾分心もとない感じです

写真右上のように蓋を落としてしまう可能性があります。洗剤を使って洗いものをしている最中は特に滑るので注意が必要です。できれば下の写真のように形状を改善して、重心も少しずらしてくれることを望みます。

ストウブ パンプキンココット バジル
こんな感じに改善を希望
このように改善されると嬉しい

ちなみに調理中の場合は、つまみ部分が高温になるので、必然としてミトン(鍋つかみ)を使うことになるため、左程気になりません。


ストウブの特性を知る

ストウブの特性もおさらいしておきます。ストウブはやや熱伝導率が悪いという特性があります。熱伝導率とは解りやすく言うと熱の伝わる早さ・伝わり易さのことです。

熱伝導率の良いものとして銅やアルミの調理器具が挙げられます。特に銅は熱伝導率が良く、動物で例えるなら足の速いチーターのようです。コンロの火にかけると瞬時に熱が鍋全体に伝わり、均一に熱くなります。この性質は調理において大変有利に働きます。温まりやすいだけでなく冷めやすいという反面も持ちますが、この点についても有効で、ガスの火の強弱で簡単に反応して、温度管理がしやすくなります。

一方、鋳鉄は熱伝導率が良くないので温まるまで時間がかかります。ぶ厚い作りも大きく影響しています。しかしその厚み故に熱のあたりがマイルドで、食材が焦げ付きにくい利点もあります。また比熱と質量のおかけで蓄熱性・保温性に優れます。熱伝導の良い銅製の鍋がチーターなら、鋳鉄製の鍋は足こそ早くないけどゆっくりと長い距離を移動できる象さんみたいな存在です。ストウブは蓋が重く比較的密閉性も高いので、蒸し煮や、じっくりコトコト系の調理に向きます。

 

ストウブ 鋳鉄製鍋の熱伝導率について

 

 ストウブの特性

IHでは有利となる鋳鉄製の鍋

熱源によっては鋳鉄製であることが利点となる場合もあります。
熱源がIHクッキングヒーターの場合、鉄製の鍋は効率よく加熱できますので有利です。普通のIHヒーターでは銅やアルミは使えません。オールメタル対応のIHヒーターもありますが、銅やアルミ鍋は効率が悪く、本来の性能を発揮できません。

近年のストウブ人気は、IHクッキングヒーターの普及と、鍋の原材料である鉄との相性によるところが大きいと思います。

 

焦げ付きにくいマットエマイユ加工 

ストウブは鍋の内側に、ざらざらした黒マットエマイユ加工が施されています。油なじみがよく、食材が焦げ付きにくいメリットがあります。

本家公式サイトでも、ご自慢のセールスポイントとして高らかに謳っています。ストウブ製品を紹介する数多のショッピングサイトでも、マニアのブログでも、購入した方々の報告でも、みな一様に利点として挙げています。

しかし本当でしょうか?

答えはYES、本当です。誇大広告の疑いなど一切ありません。実際に使えばそのことがよくわかります。ざらざらとした鍋肌は間違いなく油馴染みが良く、食材も張り付きにくい。鍋底もぶ厚いため焦げ付きにくい。確かにメーカーやみなさんがおっしゃる通りの性能を如何なく発揮してくれます。

Staub Pumpkin Cocotte Baisl Green / パンプキンココット バジルグリーン

Staub Pumpkin Cocotte Baisl Green / バジルグリーンのパンプキンココット


諸刃の剣となるその性能

しかし、その素晴らしい性能が時として妨げになることが…。
どいういうことかといえば以下のとおり。

「焦げ付きにくい」と「美味しい料理」はイコール・同義語ではない。

そもそも調理の目的はどこにあるのか?
答えは簡単、美味しい料理を作ることです。
これが本来の目的です。調理とは
決して好きな鍋の性能を確認する作業ではありません。あくまでプライオリティーは「美味しい食事 > 鍋の性能」です。

鍋底にこびり付いた肉汁、鍋の内側に張り付いて残った乾燥したソースの跡。料理では、そういったものが美味しい旨みの源であることが多いのです。例えばステーキ肉をスキレットで焼き、その肉に合う
ソースを作りたい場合、スキレットの鍋底に残ったスュックをワイン等でデグラッセする手法がよく使われます。

※スュック: メイラード反応によって鍋底に張り付いた焦げ・旨み
デグラッセ:鍋に張り付いたスュックを水分(ワイン/水/スープ等)で煮溶かし旨みを回収すること

難しそうなフレンチの用語なんか使わなくても、日本の家庭だってハンバーグを焼いた後に、フライパンに残った肉汁を利用してコクや旨みのあるソースを作ったりしますよね。

そう、大切なのはそこなのです。
焦げついてナンボ、こびり付いてナンボな時が調理にはあるわけです。
洋食をよく作る方ならその辺のことはお分かりだと思います。

ストウブも、肉を焼いたりする作業では高い温度を保持してあげることで、まずまず良い具合なのですが、実はメインの使い方である煮込み調理の場合に難しさが顔を出してきます。

旨みの素が鍋の内側に付着しない

シチューなど煮込み料理やパスタソースを作っていると、水分が減ったり、混ぜた時の汁が側面に付着して、その汁跡が熱によって乾燥し、側面に濃縮されて硬くこびりついていきます。それが大切な旨みの素になります。それをこそげ落としてソースの中に戻すことでコクや風味が増します。また、それをしないと本当に美味しいシチューもソースもできません。

ところがストウブの場合、基本的に蓋をして蒸気と共に調理することに加え、内側のマットエマイユ加工の性能が嘘偽りなく良過ぎるおかげで、汁跡が側面になかなか付着/乾燥せずこびり付いてくれません。

また、密閉性と蓄熱性を活かした「弱火」調理が前提の使用方法もあり、より一層鍋肌へのこびり付き難さに拍車をかけます。そうなると、食材を煮込む性能はとても良いのに、何故か出来上がったものは風味(味の深みやコク)がいまひとつ、なんてことになってしまいます。

ストウブ パンプキンココットで作ってみ
Cooking by Staub Pumpkin cocotte


ビーフシチューやカレーやミートソースなどコクを出したい料理では、この点を踏まえたうえで、蓋の有無、火加減など、上手に調整して料理を仕上げるテクニックが必要となり、実は扱いの難しい鍋だと思います。

「蓋して待てばあっという間に美味しいシチューが勝手に出来てしまうんです」なんてのんきな購入レポをたまに見かけますが、かなりマユツバものです。煮込み料理を上手に仕上げるにはそこそこテクを使う必要がある上級者向けの鍋、それがストウブです。

カレーやシチューを入れっぱなしでOKの鍋を探して

今回のストウブ購入のきっかけは、カスタードクリームを作った時の失態でした。その日はつい面倒くさがって、出来上がったカスタードクリームを容器に移さず、そのまま銅ポエロンごと冷蔵庫で冷やすという「暴挙」に出てしまいました。

翌日すっかり冷えたカスタードをいざ食べて見たら、キツい金属臭と苦い味が移ってしまい、全て捨てる羽目に。その時に「料理入れっぱなしOKの鍋でも少し揃えておくべきか」との考えがフツフツと沸いてきました。

我が家は年中カレーを作るのですが、冬場になると、そこへシチュー類が加わります。トマト系、デシャメル・ホワイト系、デミグラ系、具材も肉からシーフードまで色々。さらに寄せ鍋、水炊きなど和食系の各種お鍋料理、しゃぶしゃぶ、おでん迄、もう百花繚乱状態。毎日つづく?ぐらいに煮込み&鍋料理の比重が増えてきます。

冬場なら鍋に入れっぱなしのまま一晩ぐらい放置しても食材が痛んだり腐ったりしないし、どうせ次の日の朝や昼に食べきってしまうので、ズボラに「明日まで鍋に入れっぱなし」作戦を遂行したくなります。

そこで「ホーロー加工なら入れっぱなしでも金気とか移らないよな…よしっ」と相成りまして、ようやく重い腰を上げ、2個目となるストウブの導入になりました。

ストウブは色選びが醍醐味だけど、悩んでしまい踏み出せない

実は、1つ目のストウブも今回の2つ目も「よし買うぞっ」と決めてから実際に導入するまで、割と長い期間を要しました。というのも優柔不断で悩んでしまい、なかなか決断ができなかったからでした。

優柔不断の原因はハッキリしています。それは「色」です。
ストウブは結構な数のラインナップ(形とサイズ)に加えて、限定を含む豊富な色ぞろえがあるため、ついつい迷ってしまうのです。

ホーロー鍋は色選びが醍醐味であり、大きな愉悦の1つでもあります。
ストウブをいくつも所有するマニアやコレクターの方なら「あら、いい色ね」「とりあえず1個キープ」なんて軽い感じで躊躇わず購入するのだと思いますが、こちとらストウブの素人さんです。シャレオツとは程遠いキッチン環境の中、やたらと金属鍋ばかりを買ってきた人生です。したがって色の選択肢という概念すらありません。鉄は黒、アルミとステンは銀、銅は茶色と決まってます。
鍋の色? 何ソレ? ってなものです。
そうなると素人勢は、綺麗な色とりどりの鍋を見ては、ネット上をウロウロと行ったり来たりする迷子さんになっていくわけです。

迷わず行けよ、行けばわかるさ、イチニーサン、ダーッ!

結構前になりますが、買う寸前まで悩んだ色がありました。「アボカド」という黄緑色の限定カラーのココットでした。ヒュージャックマンが英語verの "あの素晴しい愛をもう一度" を歌った若草色のトヨタ・クラウンのCMを彷彿とさせる綺麗な色でした。
こんな色の鍋だったら欲しいなぁ、と思ったのです。

ストウブ アボカド STAUB 20cm COCOTTE ROUND avocado

限定色:アボカド STAUB 20cm COCOTTE ROUND avocado

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もともと「限定」という言葉にめっぽう弱い性質なのでポチっとする寸前でしたが、何故か手にすることはありませんでした。他のものが欲しくて後回しにしたのか、今となっては記憶も定かではありません。

小さいサイズで良いから1個買っておけば良かったなと、今でも少し後悔もしています。そんなこんなで今回は後悔しないよう、このカボチャのココットをガシッと両手で抑え込み、A猪木のあの言葉を心の中で叫ぶのでした。

迷わず行けよ、行けばわかるさ、1、2、3、ダーッ!

五香刃物製作所 アウトレット刃物市 骨スキ包丁を新調する

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千葉県柏市に、国の伝統的工芸品の指定を受けた五香刃物製作所という包丁を製作販売している刃物屋さんがあります。洋包丁の牛刀等を主力商品として鍛冶・刃付け(砥ぎ)・柄付けまで全てを一貫で製作しています。

毎年12月のこの時期(第2週末の土日)になるとアウトレット刃物市を開催しています。いつか行こうと思っていたのですが、忘れていたり機会が合わなかったりで行きそびれていました。今年は都合よく時間も取れたので晴れて初見参となりました。

市街地から遠く離れたのどかな田舎の風景が広がる場所にポツンと工場がありました。どこか懐かしい「野鍛冶」の風情を醸し出しています。朝一番乗りで到着したので私以外のお客さんは誰もいませんでしたが、30分もするとポツリポツリと人が増えて、気が付くといつの間にか十人程の来場者が集まっていました。

豚汁や石焼き芋をふるまってくれ、それを食しつつ、アウトレットコーナーや常設の展示場を拝見させてもらいました。

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白一全鋼牛刀で知る人ぞ知る包丁メーカー

五香刃物製作所さんは以前、白紙1号(日立金属の高級刃物用鋼材)の牛刀を全鋼タイプで作っていたのでマニアックな方には割と知られた存在です。

その白一全鋼牛刀も鋼材が入手困難となり、しばらく作っていなかったようですが、ここ最近になって復活。「下総国光月作」の銘と共に伝統的工芸品の証紙マークが貼られ展示されていました。

鋼材の高騰で定価はそれなりの金額になっていましたが、それでも白一全鋼牛刀は全国的に見ても珍しく、拘りのある方にとっては気になる存在です。

無骨な青紙の骨スキ包丁

さて、今回アウトレットにお邪魔した大きな目的の1つは、小さめの包丁を1本新調することででした。20年近く使い倒してチビてしまった極小ペティナイフをキッチンから勇退させ、アマゾン段ボールの開封用カッターとしての任につかせ、その代わりになるものを探しに来たというわけです。

アウトレットコーナーに良さそうな鋼製の無骨な包丁が1つありました。
青紙鋼・刃渡り約14cm弱(4.5寸)・ツバナシ・片刃の骨スキ包丁。

本来の使い方とは違いますが、ガラスキ/骨スキ系の包丁は一本も持っていなかったし、「物は試しに」という言葉もあるので購入してみました。キッチンでペティが引き受けていた種雑多な作業全般をこなしてもらわなければならないので、両刃風に刃付けし直してもらいました。

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こちらがその骨スキ包丁。サバキ包丁とも言います。直線的な刃線が特徴です。

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ツバがない作りは一見すると安っぽさを感じさせますが、作業用に徹した無骨な佇まいの良さもあります。平はヘアラインながらも割と磨かれていて光沢があります。

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刃渡り約140cm、重さ148g、峰厚は 2.6mmとやや太目。
刀身に比較して大きくて分厚い木製ハンドルが付いています。
厚みが1.8cmほどあり太いのでぐらつかずしっかり握れます。

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裏には青鋼の刻印。

一刀両断、意外と普段使いに向いている

工場ライン生産品とは対極の手作り感満載なハンドメイドの五香刃物さんですが、切れ味は素晴らしいです。

実は光月作の包丁は今回が初めてではありません。以前我が家で使っていた黒打ち菜切包丁(白紙)が光月作で、その包丁も切れ味抜群でした。

さっそく持ち帰った骨スキ包丁で肉や野菜を試し切りしてみましたが、青鋼包丁らしく気持ちよく食材を両断してくれます。スーパーマーケットでカット済みの食材がお手軽に買える昨今、業務用の骨スキ包丁など家庭では出番もなく不向きかと思いきや、さにあらん。

やや厚みのある直線的な刃は肉の切り分けだけでなく、ちょっとした野菜の押し切りにも便利です。小ぶりな菜切り包丁のようでもあるし、剥きもの包丁としても使えそう。メインの24cm牛刀の心強い相棒になってくれそうな、多用途に使える包丁のようです。

国の伝統的工芸品の指定を受けて

アウトレット刃物市は毎年土日の2日間開催しており、日曜日は鍛冶仕事の実演もあり結構混雑するようです。包丁研ぎも6寸程度の家庭用は600円、7寸以上は1,000円でやってくれます。

アウトレット品は検品でハネたものや試作品や長期在庫などがメインかなと思います。包丁だけでなく、鋏や鎌など庭仕事用の刃物や、工芸品など手仕事用の刃物を目当てに来ている職人さんと思しき方も来店されていました。

五香刃物製作所さんは以前から県の伝統的工芸品の指定は受けていましたが、国の伝統的工芸品として指定を受けたのは昨年からのようです。

現在、経済産業大臣より指定を受けた国の伝統的工芸品は全国で約230品目程度しかありません。刃物では大阪の堺打刃物、関の越前打刃物、新潟の越後三条打刃物が有名です。伝統工芸士の作る和包丁に、下記のような伝統証紙マークのシールが張られて販売されているのをよく目にすると思います。

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千葉県は房総半島で砂鉄が取れ古くから鍛冶が行われていました。そのため鋏、鎌、包丁など「千葉工匠具」の1つとして五香刃物製作所さんも認定を受けられたようです。他地区の刃物のように、全国の伝統工芸品が集まる都内の「青山スクエア」に製品が並んだり、展示会など開催するともっと注目が集まるのではないでしょうか。