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砥石屋さん初体験。一竿子忠綱の牛刀購入記。

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東京は上野御徒町清洲橋通りの砥石店「坂井砥石」さん。「一竿子忠綱」特約店。おすすめの包丁は?

エースの牛刀が現役引退? 風雲急を告げる!

長きにわたり我が台所のエースを務めた本格派の右腕が引退する日がやってきました。グレステン牛刀包丁。正式名はホンマ科学「グレステン・ハンドル一体型プロ用Mシリーズ721TM」。愛知製鋼のACTO440という専用鋼材で造られたステンレススチール製の包丁・刃渡り210mmです。入団以来、先発・救援・中継ぎ・抑えをこなし、我が家の屋台骨を支えてきた背番号18番(エース)、百戦錬磨の強者です。ここで少しグレステン・プロ用Mシリーズの良さを要約しておきましょう。

・切れ味 / 刃持ち ★★
・研ぎやすさ 
・耐腐食性 ( 錆びにくさ) 
・衛生 / 食洗機丸洗いOK 
・食材が張り付かない 
・生涯保証 
・豊富なラインナップと良心的な価格  ★★★★★

正直なところ殆ど弱点がありません。
和・洋・中限らずバックヤードでは業務用としてグレステンを使っているところは結構あります。うちでも錆びないことをよいことに、洗い桶につけっぱなしは当たり前。食洗機に放り投げるのも日常茶飯事。しかし、どんなにひどい仕打ちを受けても、文句一つ言わず黙々と仕事をこなしてきました。肉野菜は言うに及ばす、釣り上げたイカだって、大きな鯛だって難なく捌く、信頼溢れる大黒柱です。そんなエースもいつしか疲労は貯まる一方で「もう俺も若くはないさ」という声が日に日に増してきました。気が付くと、先端部の切っ先は欠け、鍔の口金は経年劣化で変色し、刃先が砥ぎで上がり、ウロコ(平のくぼみ)近くまで迫ってきました。

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酷使して疲れ果てたエース。口金も変色してます。
重層を入れたお湯に漬けてシュワシュワしないとキレイになりません。

さてどうしたものか。まだまだ使えなくもないのですか、優に15年以上は使ったのでそろそろ新しいものを新調したい。と同時に先日買った堺の和包丁のことも頭をよぎります。同じ銘の柳刃と薄刃も揃えたいんだよなぁ…。
ただ、球団としては今ここで大黒柱の喪失は痛い。
薄刃や柳刃は下手するとFA選手よろしく高価な年俸を要求するから今すぐ契約はできそうもない。仕方がない。まずはエース牛刀を買い替えて投手陣の体制を立て直すか!

さよならダルビッシュ、こんにちは大谷翔平

我が家のグレステンを球界で例えるなら頼れる右腕「ダルビッシュ」といったところでしょうか。カタカナなので外国生まれのようですが、実は生まれも育ちも日本製というのがミソ。さて、そうなると次に球団の顔として迎える新しいエースは当然「大谷翔平」ということになります。名前はオール漢字で。木屋エーデルワイスなんていう包丁はダメで、同じ木屋なら團十郎じゃないといけません。無論ヴォストフやヘンケルス・ボブクレーマーモデルなどという外国人選手は論外です。そもそもうちにはヘンケルスの包丁がたくさんあって、外人枠はもう一杯です。日本の牛刀包丁は関東が発祥・本場だったらしく、そうであれば、今回は関東の包丁屋さんor関東で造られた包丁を購入したい気分になります。

で、さっそく候補をピックアップ。まずは有名処から。
正本総本店、日本橋木屋、子の日、杉本、築地正本、築地有次、東源正久、かね惣、吉實、うぶけや…。東の包丁屋さんだけでも沢山あります…。
さらにトンカントンカン自前の鍛冶場で誂えている工房も。
藤原照康刃物工芸、正宗工芸美術製作所、五香刃物製作所、加藤鍛錬所、八重樫宗秋打刃物製作所、菊和弘…。正本や木屋が百貨店に並ぶようなメジャーレーベルなら、こちらの鍛冶鍛錬を実際にこなすメーカーはインディーズ系と言いましょうかw
そして日本を代表する食の問屋街、合羽橋道具街。
かまた刃研、鍔屋、ユニオンコマース、釜浅商店、松井刃物…。
ツヴィリングのプロセンターもあります。

合羽橋へGO! ブランド、OEM、オリジナル入り乱れ

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楽に10年は使うものですから、手になじまないものを買っても仕方がありません。
ということで、我が愛車を走らせて、やってきました合羽橋
一日中居ても飽きませんよね、ここは。
正本、杉本、堺孝行、藤次郎、フジタケ、ツヴィリング、ヴォストフ、グレステン、グローバル…。これでもかというぐらいに包丁が置いてあります。釜浅商店ではオリジナル包丁がずらり。外国から来たと思われる方々がどんどん買い求めていました。「この柳刃は堺?」と尋ねてみると、店員さんから鍛冶屋さんは誰それ、砥ぎ屋さんは誰それ、と堺の伝統工芸士さんの名前がすらすらと出てきました。至れり尽くせりです。

さて、洋包丁の標準的な製造工程は凡そこんな流れかなと。↓
最初の段階で、鋼材を火造り鍛造していくか、そのままプレスで抜くか、で分かれますがあとは似たような工程です。

こちらのサイト、とても分かり易いです
www.seki-houei.jp

牛刀はまるで瓜二つのようなモノがあふれています。
実はOEMで作られており、元は一緒なんてことがよくあります。
つまり関東で包丁を買っても、作っているのは実は堺だっり、関だったり、三条だったりするわけです。まあどこで作られていようと製品がしっかりしていれば問題はありません。

なかなか良いけど、ビリビリはしない関東勢

実際にいくつかの包丁を手にしてみました。
「杉本」「正本総本店」「フジタケ」など好感触。
さすが有名処はそつがありません。
ただ良いなと思う品物はお値段もそれなりです。
また、刃物は長年使い込んで馴染んでから本領発揮だと思いますから、ちょいとその場で握っただけでは判断は難しい部分もあります。
包丁もゴルフクラブの様に試打ならぬ試切りできると良いのですが…。
さてどうしたものか。
キターッという一目ぼれ的な感触がありません。
もう少し他も見たい。吉實あたりどうだろうか。
堺北辰の時は手にビリビリくる感覚がありました。
また、あの時のような「コレだ!」という感覚が欲しい。

と、そこで、はっと思い出しました。
東京の砥石屋さんが、堺の老舗包丁屋さんの特約店になっていることをネットで見聞した記憶が蘇ってきました。たしか上野か浅草だったか…。
車に戻ってドライバーズサポートデスクに繋ぎ、調べてもらいます。

「お待たせしました、BMWドライバーズサポートデスク、担当〇〇です
「『上野砥石をネットで調べてください」
「はい、承知しました。…。坂井砥石、森平という2社がございます」
ビンゴ!
「坂井砥石のほうだ。社名に砥石って入っていはず。とりあえず車にその情報送ってください」

センターから情報が届きディスプレイに表示されました。


「白紙の2号だけで作った水焼きした牛刀ありますよ」 

合羽橋から車でほんの2分ほど。
目と鼻の先にその砥石店はありました。

坂井砥石
 堺打刃物 刀匠 一竿子忠綱 特約店

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清洲橋通りに大きな看板が出ています。
生まれて初めて体験する「砥石屋」さん。
コンクリ造のビルに何故か古めかしい木製の引き戸を開けました。
ガラガラーッ。
すると「いらっしゃいまし」の声。お江戸言葉が聞こえてきました。

お店に伺う前に電話で連絡しておきました。
「砥石だけでなく包丁も扱いがあると伺ったのですが…。」
「はい、堺にある一竿子忠綱の包丁を取り扱っています」
「それはカタログ販売ですか?それとも実物は置いてあったりしますか?」
「売れ筋の物については在庫がございます」
牛刀と柳刃と薄刃を検討していることを伝えると、
「牛刀き白紙の2号だけで作った水焼きのものがあります。薄刃も柳刃もございます。うちは一竿子忠綱しか扱ってませんが日本でトップクラスの堺の包丁専門店のものです。ぜひ一度お越しください」

白紙2号の全鋼牛刀、そして霞の柳刃・薄刃包丁。
堺の包丁の切れ味は十分承知しています。
俄然、期待が高まります。
値段を聞くと庶民が家庭で使うグレードならどうにか買えそうな価格です。
合羽橋で買い物を少々してからお店に伺いました。

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一竿子忠綱 別打 牛刀 八寸 これが大谷翔平だ!

お店に入るとご主人がさっそく包丁を見せてくれました。
まずは牛刀の210mmです。
うっとりするようなヘアライン仕上げの綺麗な包丁が出てきました。
控え目に銘が売ってあります。
「刀匠一竿子忠綱 別打」
安来鋼白紙2号だけで造った全鋼タイプ。
高価な和包丁のように、鋼材を熱して鍛造成型し、土盛り・焼き入れし、水で一気に冷却する所謂「総火造り・水本焼き」とは違いますが、合わせ包丁や割り込み包丁ではなく、1種類の鋼材だけで作られている全鋼タイプであること、そして水焼き入れしてあることに違いはないそうです。この白紙鋼の牛刀は若干「甘め」に焼き入れ/焼き戻しがしてあるとのこと(硬さをすこし落として粘りを出し、刃欠けのしにくさも考慮するため)。いざ包丁を手にしてみました。すると…。

あれれれ。
ビリビリきません。
なぜか「これじゃないよ」感が手から伝わってきます。
見た目も良いしスパスパ切れそうな感じで、バランスも悪くありません。
しかし細身の牛刀で私には少し軽すぎるようです。
うーん、もう少し重さが欲しいかも…。

そもそもこのサイズじゃないのか…。
気を取り直して8寸240mmをリクエストしました。
すると箱から出きたのは一回り大きな立派な牛刀。
たった1寸ですが3cm長くなりますから迫力が数段増します。
おっ、今度は良さそうだ。
ぱっと見でわかります。
刃と柄のバランスも調和しています。
佇まいが違う
そっさく手にしてみると…

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きました、きました、この感じ。
長さ良し、重さ良し、バランス良し、スタイル良し。
鋼の鈍く光る美しい研ぎの仕上がり!
これこれ!
これなら大事な試合のマウンドをまかせられます。
超イケメン包丁。銘も漢字のみで、まさに君こそが大谷翔平
我が家のエース牛刀に相応しい!

当然和包丁もチェック 20年モノのベテラン選手も登場

続いて柳刃の白紙霞包丁9寸(270mm)を見せてもらいました。
とても良い包丁で軽く感じました。
重さで切るのが好きな人もいれば、軽さによる疲れにくさ優先の人もいるでしょう。
仕事量の多い本職向けという感じです。
柄は朴の栗型タイプが付いていました。私はなぜかこの丸っこい柄が嫌い。
朴の八角だったら良かったのですが…(無論交換も可能とのことです)。
続いて青紙鋼の薄刃包丁(関東型)も見せてもらいました。
こちらは手に持った瞬間ビリビリきました。
ただしお値段のほうもビリビリと痺れさせてくれます。

白紙2鋼の牛刀は握っているうちにどんどん手になじんできました。
実はグレステンを使っているとき「もう少し刃渡りが長くてもよかったかな」と常々思っていました。今度は240mmですから間違いありません。
お店のご主人がこの牛刀の愛用者で「コレを見てください」と。
出てきたのは20年使い込んでペティのようにチビたベテラン包丁。
「長年使い続けてますが、全鋼だからこんなになっても使えますし、切れ味も変わりませんよ」と。
満足できる商品だったのでこの八寸牛刀を買い求めることにしました。色々と相談してその日は一旦引き上げ、翌日に再びお伺いして購入という運びとなりました。

一竿子忠綱さんは堺にある老舗の包丁屋さん。拘りのある方には良く知られたお店です。堺では、鍛冶屋、研ぎ屋、柄付け屋、彫り屋、問屋、販売店等が混然と存在し、分業制になっているのが特徴です。そのおかけで商品が各段階で品質の多重チェックを受ける必然が生まれ、ブランドや銘に関わらず、高品質なものを安心して買えることが強みと言えます。堺の刃物製造会社に牛刀をメインにしている会社があり、そこの牛刀と一竿子忠綱の牛刀のシルエットが瓜二つり。多分その会社で刃材を作らせているのかなと思います。関東の刃物店オリジナルでも同じシルエット・口金の包丁が散見されますので多分間違いないかと思います。刻銘は変わっても堺生まれなら安心できます。

砥石屋さんで買うと、付いてくるものがあります

翌日、再び電話をして決めた時間に伺いました。これは包丁研ぎを教わるためでした。
包丁というのは研いで使う物です。新品で購入した時も一緒です。
ちゃんと刃付けをしてからでないと本来の性能は発揮できません。
自分で砥いでも良いのですが、せっかく包丁を購入するわけですから、上手なプロにしっかり砥いでほしいし、本来の切れ味を堪能したいですよね。包丁を買う場合はその場でちゃんと砥いで刃付けしてくれるお店かどうかも大事な選択肢の1つです。
坂井砥石さんならこれ以上は望めないような最高の刃付けをしっかり行ってくれます。

お店に着くと既に包丁がカウンターの上に用意されていました。
支払いを済ませると、さっそく「砥ぎ」が始まりました。
こちらの砥石店ならではの極意というかノウハウを教えてくれながら、我が大谷翔平くんを砥いでくれます。沢山の砥石を使って丁寧に砥いでいました。私はじっと説明を見聞きしながら、使う番手や手法やコツなどメモ。要所要所で刃の状態を直接触らせてくれて、カエリの具合を指の感触を覚えさせてくれます。ここでは書きませんが、あ~なるほどね、と思う砥ぎ方のノウハウも多々あり、丁寧に教えて頂けました。

砥石屋さんで包丁を買うと、このような砥ぎ指導の特典が付いてきますので、とてもお得な買い物となります。なによりもうれしいのが、良い砥石で砥いで仕上げてくれることです。いくら良い包丁でも上手な研ぎの技術が無いと活きません。そしてその技術を最大限に活かすのが良い砥石というわけです。砥石屋さんに置いてある天然砥石ですから、鋼材との相性だってバッチリのもを使ってくれます。

新品の包丁なのでチョイチョイと軽く作業してさっさと終わるのかと思いきや、相当長い時間かけて砥いでいただきました。正直言って「ここまでやってくれるのか」と同時に「ここまでやらなければ正しい刃付けにならないのか」と勉強にもなりました。詳細の値段は控えますが、世の中にはこんな高い砥石があるのかと驚くような値段の天然砥石で見事に砥ぎあげてくれました。一般家庭で使う包丁は、まずこのような高価な砥石に刃を当てることはありません。伺ったところによると天然砥石も本当に質の良いものはどんどん採石できなくなって価格も高騰しているそうです。
で、下の写真が長い時間かけて仕上げ、ようやく完成した包丁です。

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これぞ包丁!
この美しさをご覧ください。まさに大谷翔平のようなイケメン包丁です。
ただし美しさは今だけ。自分で砥ぎはじめたら、そりゃもう滅茶苦茶になるでしょうw

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刃先の仕上がり、切れ具合をチェックしています。
砥いだ時に付着して残ってしまった極細のバリを取り除く意味合いもあります。
伝統工芸スクエアで包丁を買った時も工芸士の方が新聞紙でこれをやっていました。
私も家で包丁砥いだら同じ所作を真似していますw

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f:id:mini-mill:20170512065451j:plain刃のブレード本体と口金はサンドイッチで張り合わせた?ような作りです。
綺麗な作りですが、刃と口金の一体成型ではありません。

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聞くのは忘れましたがもっと長い尺寸とかあるのでしょうか。
1尺バージョンあたりでデカいキャベツをバリバリ千切りしてみたい。

f:id:mini-mill:20170510082921j:plain別打、別誂、別製、別撰…。何故か包丁屋さんはやたらと「別」が好きなのですw

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牛刀や三徳はどのメーカーでも主力となるカテゴリー。包丁マーケットではメインストリームですから、価格競争も厳しいと思います。OEM製品が幅を利かせているので実際に作っている出所は一緒だったりするようなケースが多々あります。ですから何を買うかだけではなく、購入した後はどうなのかというプラスアルファが大切になってきます。

何処で買えばよいのか? 長年使い続けけていく際のメンテは?

・メーカーから買うのか。
・作り手の職人さんから直接買うのか。
・ネットショップやオークションで買うのか。
・木屋や有次のような老舗ブランド店で買うのか。
・アウトレット店で買うのか。
・ホームセンターで買うのか、あるいは百貨店で買うのか。
・近所の刃物屋さんで買うのか。合羽橋問屋街で買うのか。
それとも砥石屋さんから買うのか…。

選択肢は沢山あります。
みなさんならどこで買いますか?
今回、私は砥石屋さんで購入してみました。
多くの方にとって包丁の日常的な管理は「自分砥ぎ」がメインだろうと思います。そしてたまにはプロの砥ぎに出して修正してもらうこともあるでしょう。そんな時にいろいろと面倒を見てもらえる砥石屋さんは頼りになる存在です。

坂井砥石さんに来て逡巡したのは、研ぎももっと上達しないとならんよな、ということでした。当たり前のことですが、やはり包丁のキレは研ぎが大切なのだと改めて思いました。今度は勧められた砥石を買ってみるつもりです(後日談:お勧めの仕上げ砥石も坂井砥石さんで買いました!)。

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f:id:mini-mill:20170512073731j:plain箱がシャレオツですよね、一竿子忠綱さん。
銀に金文字。黒箱の内側は真っ赤。
他の包丁屋さんもこのセンス見習ってほしい。

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新旧エースを並べてみました。
一目瞭然。
大谷翔平は若くて大きくて格好良いのです。
既出の「見た目の佇まいからして違う」というのはこのことです。
グレステンは自己流で切っ先を直して使います、海釣りのお供として。
釣りシーンこそステンレス包丁の活躍の場、一番の見せ所ですし。

奥の深い砥ぎの世界。不思議な切れ味。

さて、大谷翔平の肝心の切れ味はどうなのか…。
人参や大根など硬い根野菜を分厚く切ってみました。
途中で根野菜がバリッと「割れ」たりしません。
食材の最後まで気持ちよく刃が入っていきます。
根野菜を切る場合、刃が厚かったり切れ味が悪かったりすると、最後まですんなりと切れず、野菜がバリッと割れたりします。しかしこの包丁なら根野菜も綺麗に縦割りや輪切りができます。
ただし今まで味わったことのない不思議な感触です。
荒々しくズバズバと食い込んで噛みつくような鋭さではありません。上品で滑らかに切れている感覚です。これは超高額の天然砥石で仕上げてもらった今だけの期間限定性能だと思います。お造りの断面のツヤにこだわる刺身や、野菜を切った時の断面の滑らかさや、食材の角の立った食感を楽しみたい場合は、このような研ぎ仕上げだと最高でしょう。ただし油分の多い皮の付いた鶏もも肉や脂ののった魚を丸ごと捌いて切り分けるような場合は、少し荒い中仕上げ程度の荒い研ぎの方が、かえって切りやすいかもしれません。刃の形状、鋼材、砥石、砥ぎ方、仕上げ方、何を切るのか…。これは無限のような組み合わせで奥深いものがあります。

新エースですが「一切不満なし」というわけではありません。炭素鋼なので当たり前のことなのですが、白紙でこのヘアライン仕上げだと錆や変色しやすいのが気になるところです。綺麗なままで保ちたいなら、クレンザーを振りかけ、人参のヘタでゴシゴシやったり、たまにピカールで磨いてあげる必要があります。
それから、食材の刃への張り付き。グレステンは切った食材が刃に張り付かないよう加工がされています。この効果は絶大でしたから、ペタペタ張り付く普通の包丁はストレスが貯まります。また新しいエースは真面目で几帳面で育ちの良い大谷翔平そのまんまな感じです。優等生だけどワイルドさはありません。研ぎを試行錯誤して、噛みつくようなワイルドな切れ味になるよう仕上げていければと考えています。
(追記:好みの仕上げ具合/方法が掴め、今はキンキンに研いで鋭くキレまくってます)

最後に…

初の砥石屋さん体験でしたが、色々と楽しい包丁購入記となりました。
合羽橋に包丁を買いに行かれる方は、こちらの「坂井砥石」さんも思い出して立ち寄ってみてはいかがでしょうか。割と近くで歩いても行ける距離です。包丁は砥いでから使う物ですから、砥石店で包丁を買ってビシッと仕上げてもらうのは一考に値します。包丁に自分の名前をトンカン彫ってくれるサービスなんかより、刃付けをしっかりやってくれたり、砥ぎ方のノウハウを伝授してくれたりするサービスの方が数段お得です。また、いざという時に面倒を見てくれる砥石屋さんの存在は大きいと思います。なにせ包丁は買った後が大切なのですから…。