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徒然なるままに

レアなストウブ パンプキンココット バジルグリーン 24cm / Staub Pumpkin Cocotte 3.5qt Basil カボチャのココット

Staub Cast Iron Pampkin Cocotte Basil Green 24cm

Staub / Enamel Cast Iron Pumpkin Cocotte - Basil Green 24cm (3 1/2-Qt.)

カボチャ型のSTAUB/ストウブがやってきた

こちらは最近我が家に導入された2つ目となるストウブ。蓋に真鍮のノブが付いたカボチャの形をした緑色の鋳鉄製ホーロー鍋です。
※価格:23,800円 (定価:税込 / ストウブショップにて購入)


ストウブ・パンプキンココット・バジルグリーン・24cm


フランス語の正式名称は Staub Cocotte Citrouille Ronde 24cm Basilic-SC。
ストウブの鍋は丸いラウンド型か楕円のオーバル型が主流ですが、変り種や限定色の鍋も販売しています。今回はその変り種の1つでもあるパンプキン型のココット、しかも米国の調理器具販売「ウィリアズムソノマ」限定カラーである緑のパンプキンココットを選びました。

ストウブ パンプキンココットバジルグリーン Staub Pumpkin cocotte basil green

見た目で選んで大丈夫?

何故このモデルにしたかといえば、ズバリその見た目。
似たようなホーロー製品が他のブランドからも販売されていますが、材質の特性は変わりません。特別なオプション機能が追加装備されているわけでもありません。大同小異の世界です。であれば、好きなブランドであるとか、他人とはちょっと違うものが良いとか、見た目の良いもの、好きな色だとかでチョイスするに越したことはありません。

 

ラインナップとその推移はやや複雑

ストウブのパンプキンココットは、特殊なココットの製品群としては種類が豊富に展開されている人気モデルです。サイズは直径が28cmの5-Quartと24cmの3.5-Quartの2種類が用意されています。

色は、これまでに限定製品などを含めて全6色が販売されてきました。グラデーションが綺麗な明るいオレンジ、発色の良い鮮やかなオレンジ、現在のメインカラーであるシナモン、近年限定復刻色として展開されたホワイト、定番人気カラー版のブラック、そして米国ウィリアムズソノマ限定のバジルグリーン。

サイズによって色の有無があったり、既に廃番カラーも有ります。
やや複雑なので、図で解りやすいように整理してみました。

 

ストウブ パンプキンココットの種類/Line up of Staub pumpkin cocotte


現在、日本のストウブ公式サイトでは、基本色となるシナモンとブラックの24cmサイズの2点が取扱いされています。
※2016年に限定復刻したピュアホワイトシリーズの製品群にも24cmのパンプキンがラインナップされ正規で直営店を通じて販売されました。アメリカではホワイトも限定ではなく通常販売しています。

メインカラーは変遷があり、旧オレンジ(グラデーション)→新オレンジ→深みのあるシナモン(海外ではBurnt Orangeと呼ばれる)へと変更。また28cmの大型サイズについては、現在日本のストウブでは正規品としての扱いはありません。

 

レアアイテム? 珍しいバジルグリーンが日本で買える?

図のとおりパンプキンココットは延べ10種類が存在しています。この中で比較的レアなのが、今回我が家にやってきた、米国ウィリアムズソノマ限定販売のバジルグリーンのパンプキンココットです。

Staub Pumpkin Basil gree

Williams Sonoma Limited color / Pumpkin Basil green


ストウブとウイリアムズソノマ社のコラボ品なので、同社の実店舗での取扱いが基本となります。ウイリアムズソノマのオンラインショップでも、実際に来店して商品を引き取るお店を指定したうえでしか決済できません。

感謝祭やクリスマスのシーズン前あたりから販売開始となり、数量も限定なので無くなり次第終了です。毎年同じものを販売しているわけでもありません。昔販売された5qtモデルのバジルグリーンはすぐに売り切れてしまい、現在はオークションサイトで高値取引され、レアアイテムと化しています。現在販売中の3.5qtモデルもウィリアムズソノマのサイトでほぼ売り切れに近い状態です。

(日本ではアウトレット品として2018年の年末あたりからストウブのお店で販売しましたが数量は少なく限られているようです。※ヤフオクやメルカリで高額転売しようとしているボッタクリ出品者にご用心!ストウブのショップで価格23,800円で購入できます)

www.williams-sonoma.com

 

これはパンプキン?それともカボチャ?

ハロウィンの時期になると店舗の装飾や広告でよく見かけるのがオレンジ色のカボチャ。あれは正式には英語でPumpkin / パンプキンといいます。見た目はカボチャと似たようなものですが実際は色々と違うというか。単なる色違いではありません。

日本のスーパーでよく見かける緑色のカボチャは、英語圏ではSquash(スカッシュ/スクゥアッシュ)と呼ばれています。近年は日本の野菜も市民権を獲得しているのか「KABOCHA Squash」などと表示されることもあります。日本の野菜といいましたが、日本のスーパーで売っているカボチャは元々舶来品の西洋カボチャで、江戸末期から明治に入ってきまたものです。皮の硬い日本カボチャもありますが最近は殆ど見かけません。ちなみに日本カボチャも元々は16世紀ごろカンボジアから伝来した舶来品です。

フランスではオレンジのパンプキンはCitrouille(シトルイユ)とPotiron(ポティロン)に分類されます。緑のカボチャは色々と呼び名があるようですが、カボチャだったり、ポティロン・ヴェール・ジャポネだったり、ホッカイドウなんて単語が付く呼び名もあるようです。簡単に分けると以下のようなことになります。


パンプキン、カボチャの違い Pumpkin ? Kabocha?


ということで、緑のカボチャはどこへ行こうと基本的に「KABOCHA」ということで、緑のパンプキンココットもカボチャココットと呼びたい気分です。

パンプキンココットならではの良し悪し

さて、この製品ならではの良し悪しにも言及しておきたいと思います。

【良い点】
秀逸なデザイン
キッチンに放置しても出しっぱなし感がありません。
食材を入れるサーブ用ポットとして堂々とテーブルセンターに飾れるほどのルックスを持っています。蓋の真鍮の造作と鈍い輝きがなんとも言えません。

大きさと形状。
24cm/3.5Qtのサイズは汎用性が高く、深さも9.5cmと浅すぎず深すぎず、多様性があります。側面は蓋から底にかけて緩やかな絞りがあり、対流しやすい形状になっていますので、煮込み料理・炊きこみ料理がよりムラなく仕上がります。

【良くない点】
蓋のつまみ
ツルの形をした蓋のつまみが機能的に良くありません。
やや短くて、根元に行くに従って太くなるのでしっかり握れません。人間の性なのか、左下の写真のように指にかけてひょいと持ち上げる動作をやってしまいます。フタが閉まっている時は指が掛かりやすい角度なのですが、いざ蓋を持ち上げると重心バランスが変わってしまうので、どうしてもスルリと滑って指から抜けやすい角度になってしまいます。

パンプキンココット 真鍮のつまみ部
すべりやすい
真鍮のつまみ部分が短く、持ち上げる時に幾分心もとない感じです

写真右上のように蓋を落としてしまう可能性があります。洗剤を使って洗いものをしている最中は特に滑るので注意が必要です。できれば下の写真のように形状を改善して、重心も少しずらしてくれることを望みます。

ストウブ パンプキンココット バジル
こんな感じに改善を希望
このように改善されると嬉しい

ちなみに調理中の場合は、つまみ部分が高温になるので、必然としてミトン(鍋つかみ)を使うことになるため、左程気になりません。


ストウブの特性を知る

ストウブの特性もおさらいしておきます。ストウブはやや熱伝導率が悪いという特性があります。熱伝導率とは解りやすく言うと熱の伝わる早さ・伝わり易さのことです。

熱伝導率の良いものとして銅やアルミの調理器具が挙げられます。特に銅は熱伝導率が良く、動物で例えるなら足の速いチーターのようです。コンロの火にかけると瞬時に熱が鍋全体に伝わり、均一に熱くなります。この性質は調理において大変有利に働きます。温まりやすいだけでなく冷めやすいという反面も持ちますが、この点についても有効で、ガスの火の強弱で簡単に反応して、温度管理がしやすくなります。

一方、鋳鉄は熱伝導率が良くないので温まるまで時間がかかります。ぶ厚い作りも大きく影響しています。しかしその厚み故に熱のあたりがマイルドで、食材が焦げ付きにくい利点もあります。また比熱と質量のおかけで蓄熱性・保温性に優れます。熱伝導の良い銅製の鍋がチーターなら、鋳鉄製の鍋は足こそ早くないけどゆっくりと長い距離を移動できる象さんみたいな存在です。ストウブは蓋が重く比較的密閉性も高いので、蒸し煮や、じっくりコトコト系の調理に向きます。

 

ストウブ 鋳鉄製鍋の熱伝導率について

 

 ストウブの特性

IHでは有利となる鋳鉄製の鍋

熱源によっては鋳鉄製であることが利点となる場合もあります。
熱源がIHクッキングヒーターの場合、鉄製の鍋は効率よく加熱できますので有利です。普通のIHヒーターでは銅やアルミは使えません。オールメタル対応のIHヒーターもありますが、銅やアルミ鍋は効率が悪く、本来の性能を発揮できません。

近年のストウブ人気は、IHクッキングヒーターの普及と、鍋の原材料である鉄との相性によるところが大きいと思います。

 

焦げ付きにくいマットエマイユ加工 

ストウブは鍋の内側に、ざらざらした黒マットエマイユ加工が施されています。油なじみがよく、食材が焦げ付きにくいメリットがあります。

本家公式サイトでも、ご自慢のセールスポイントとして高らかに謳っています。ストウブ製品を紹介する数多のショッピングサイトでも、マニアのブログでも、購入した方々の報告でも、みな一様に利点として挙げています。

しかし本当でしょうか?

答えはYES、本当です。誇大広告の疑いなど一切ありません。実際に使えばそのことがよくわかります。ざらざらとした鍋肌は間違いなく油馴染みが良く、食材も張り付きにくい。鍋底もぶ厚いため焦げ付きにくい。確かにメーカーやみなさんがおっしゃる通りの性能を如何なく発揮してくれます。

Staub Pumpkin Cocotte Baisl Green / パンプキンココット バジルグリーン

Staub Pumpkin Cocotte Baisl Green / バジルグリーンのパンプキンココット


諸刃の剣となるその性能

しかし、その素晴らしい性能が時として妨げになることが…。
どいういうことかといえば以下のとおり。

「焦げ付きにくい」と「美味しい料理」はイコール・同義語ではない。

そもそも調理の目的はどこにあるのか?
答えは簡単、美味しい料理を作ることです。
これが本来の目的です。調理とは
決して好きな鍋の性能を確認する作業ではありません。あくまでプライオリティーは「美味しい食事 > 鍋の性能」です。

鍋底にこびり付いた肉汁、鍋の内側に張り付いて残った乾燥したソースの跡。料理では、そういったものが美味しい旨みの源であることが多いのです。例えばステーキ肉をスキレットで焼き、その肉に合う
ソースを作りたい場合、スキレットの鍋底に残ったスュックをワイン等でデグラッセする手法がよく使われます。

※スュック: メイラード反応によって鍋底に張り付いた焦げ・旨み
デグラッセ:鍋に張り付いたスュックを水分(ワイン/水/スープ等)で煮溶かし旨みを回収すること

難しそうなフレンチの用語なんか使わなくても、日本の家庭だってハンバーグを焼いた後に、フライパンに残った肉汁を利用してコクや旨みのあるソースを作ったりしますよね。

そう、大切なのはそこなのです。
焦げついてナンボ、こびり付いてナンボな時が調理にはあるわけです。
洋食をよく作る方ならその辺のことはお分かりだと思います。

ストウブも、肉を焼いたりする作業では高い温度を保持してあげることで、まずまず良い具合なのですが、実はメインの使い方である煮込み調理の場合に難しさが顔を出してきます。

旨みの素が鍋の内側に付着しない

シチューなど煮込み料理やパスタソースを作っていると、水分が減ったり、混ぜた時の汁が側面に付着して、その汁跡が熱によって乾燥し、側面に濃縮されて硬くこびりついていきます。それが大切な旨みの素になります。それをこそげ落としてソースの中に戻すことでコクや風味が増します。また、それをしないと本当に美味しいシチューもソースもできません。

ところがストウブの場合、基本的に蓋をして蒸気と共に調理することに加え、内側のマットエマイユ加工の性能が嘘偽りなく良過ぎるおかげで、汁跡が側面になかなか付着/乾燥せずこびり付いてくれません。

また、密閉性と蓄熱性を活かした「弱火」調理が前提の使用方法もあり、より一層鍋肌へのこびり付き難さに拍車をかけます。そうなると、食材を煮込む性能はとても良いのに、何故か出来上がったものは風味(味の深みやコク)がいまひとつ、なんてことになってしまいます。

ストウブ パンプキンココットで作ってみ
Cooking by Staub Pumpkin cocotte


ビーフシチューやカレーやミートソースなどコクを出したい料理では、この点を踏まえたうえで、蓋の有無、火加減など、上手に調整して料理を仕上げるテクニックが必要となり、実は扱いの難しい鍋だと思います。

「蓋して待てばあっという間に美味しいシチューが勝手に出来てしまうんです」なんてのんきな購入レポをたまに見かけますが、かなりマユツバものです。煮込み料理を上手に仕上げるにはそこそこテクを使う必要がある上級者向けの鍋、それがストウブです。

カレーやシチューを入れっぱなしでOKの鍋を探して

今回のストウブ購入のきっかけは、カスタードクリームを作った時の失態でした。その日はつい面倒くさがって、出来上がったカスタードクリームを容器に移さず、そのまま銅ポエロンごと冷蔵庫で冷やすという「暴挙」に出てしまいました。

翌日すっかり冷えたカスタードをいざ食べて見たら、キツい金属臭と苦い味が移ってしまい、全て捨てる羽目に。その時に「料理入れっぱなしOKの鍋でも少し揃えておくべきか」との考えがフツフツと沸いてきました。

我が家は年中カレーを作るのですが、冬場になると、そこへシチュー類が加わります。トマト系、デシャメル・ホワイト系、デミグラ系、具材も肉からシーフードまで色々。さらに寄せ鍋、水炊きなど和食系の各種お鍋料理、しゃぶしゃぶ、おでん迄、もう百花繚乱状態。毎日つづく?ぐらいに煮込み&鍋料理の比重が増えてきます。

冬場なら鍋に入れっぱなしのまま一晩ぐらい放置しても食材が痛んだり腐ったりしないし、どうせ次の日の朝や昼に食べきってしまうので、ズボラに「明日まで鍋に入れっぱなし」作戦を遂行したくなります。

そこで「ホーロー加工なら入れっぱなしでも金気とか移らないよな…よしっ」と相成りまして、ようやく重い腰を上げ、2個目となるストウブの導入になりました。

ストウブは色選びが醍醐味だけど、悩んでしまい踏み出せない

実は、1つ目のストウブも今回の2つ目も「よし買うぞっ」と決めてから実際に導入するまで、割と長い期間を要しました。というのも優柔不断で悩んでしまい、なかなか決断ができなかったからでした。

優柔不断の原因はハッキリしています。それは「色」です。
ストウブは結構な数のラインナップ(形とサイズ)に加えて、限定を含む豊富な色ぞろえがあるため、ついつい迷ってしまうのです。

ホーロー鍋は色選びが醍醐味であり、大きな愉悦の1つでもあります。
ストウブをいくつも所有するマニアやコレクターの方なら「あら、いい色ね」「とりあえず1個キープ」なんて軽い感じで躊躇わず購入するのだと思いますが、こちとらストウブの素人さんです。シャレオツとは程遠いキッチン環境の中、やたらと金属鍋ばかりを買ってきた人生です。したがって色の選択肢という概念すらありません。鉄は黒、アルミとステンは銀、銅は茶色と決まってます。
鍋の色? 何ソレ? ってなものです。
そうなると素人勢は、綺麗な色とりどりの鍋を見ては、ネット上をウロウロと行ったり来たりする迷子さんになっていくわけです。

迷わず行けよ、行けばわかるさ、イチニーサン、ダーッ!

結構前になりますが、買う寸前まで悩んだ色がありました。「アボカド」という黄緑色の限定カラーのココットでした。ヒュージャックマンが英語verの "あの素晴しい愛をもう一度" を歌った若草色のトヨタ・クラウンのCMを彷彿とさせる綺麗な色でした。
こんな色の鍋だったら欲しいなぁ、と思ったのです。

ストウブ アボカド STAUB 20cm COCOTTE ROUND avocado

限定色:アボカド STAUB 20cm COCOTTE ROUND avocado

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もともと「限定」という言葉にめっぽう弱い性質なのでポチっとする寸前でしたが、何故か手にすることはありませんでした。他のものが欲しくて後回しにしたのか、今となっては記憶も定かではありません。

小さいサイズで良いから1個買っておけば良かったなと、今でも少し後悔もしています。そんなこんなで今回は後悔しないよう、このカボチャのココットをガシッと両手で抑え込み、A猪木のあの言葉を心の中で叫ぶのでした。

迷わず行けよ、行けばわかるさ、1、2、3、ダーッ!

五香刃物製作所 アウトレット刃物市 骨スキ包丁を新調する

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千葉県柏市に、国の伝統的工芸品の指定を受けた五香刃物製作所という包丁を製作販売している刃物屋さんがあります。洋包丁の牛刀等を主力商品として鍛冶・刃付け(砥ぎ)・柄付けまで全てを一貫で製作しています。

毎年12月のこの時期(第2週末の土日)になるとアウトレット刃物市を開催しています。いつか行こうと思っていたのですが、忘れていたり機会が合わなかったりで行きそびれていました。今年は都合よく時間も取れたので晴れて初見参となりました。

市街地から遠く離れたのどかな田舎の風景が広がる場所にポツンと工場がありました。どこか懐かしい「野鍛冶」の風情を醸し出しています。朝一番乗りで到着したので私以外のお客さんは誰もいませんでしたが、30分もするとポツリポツリと人が増えて、気が付くといつの間にか十人程の来場者が集まっていました。

豚汁や石焼き芋をふるまってくれ、それを食しつつ、アウトレットコーナーや常設の展示場を拝見させてもらいました。

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白一全鋼牛刀で知る人ぞ知る包丁メーカー

五香刃物製作所さんは以前、白紙1号(日立金属の高級刃物用鋼材)の牛刀を全鋼タイプで作っていたのでマニアックな方には割と知られた存在です。

その白一全鋼牛刀も鋼材が入手困難となり、しばらく作っていなかったようですが、ここ最近になって復活。「下総国光月作」の銘と共に伝統的工芸品の証紙マークが貼られ展示されていました。

鋼材の高騰で定価はそれなりの金額になっていましたが、それでも白一全鋼牛刀は全国的に見ても珍しく、拘りのある方にとっては気になる存在です。

無骨な青紙の骨スキ包丁

さて、今回アウトレットにお邪魔した大きな目的の1つは、小さめの包丁を1本新調することででした。20年近く使い倒してチビてしまった極小ペティナイフをキッチンから勇退させ、アマゾン段ボールの開封用カッターとしての任につかせ、その代わりになるものを探しに来たというわけです。

アウトレットコーナーに良さそうな鋼製の無骨な包丁が1つありました。
青紙鋼・刃渡り約14cm弱(4.5寸)・ツバナシ・片刃の骨スキ包丁。

本来の使い方とは違いますが、ガラスキ/骨スキ系の包丁は一本も持っていなかったし、「物は試しに」という言葉もあるので購入してみました。キッチンでペティが引き受けていた種雑多な作業全般をこなしてもらわなければならないので、両刃風に刃付けし直してもらいました。

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こちらがその骨スキ包丁。サバキ包丁とも言います。直線的な刃線が特徴です。

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ツバがない作りは一見すると安っぽさを感じさせますが、作業用に徹した無骨な佇まいの良さもあります。平はヘアラインながらも割と磨かれていて光沢があります。

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刃渡り約140cm、重さ148g、峰厚は 2.6mmとやや太目。
刀身に比較して大きくて分厚い木製ハンドルが付いています。
厚みが1.8cmほどあり太いのでぐらつかずしっかり握れます。

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裏には青鋼の刻印。

一刀両断、意外と普段使いに向いている

工場ライン生産品とは対極の手作り感満載なハンドメイドの五香刃物さんですが、切れ味は素晴らしいです。

実は光月作の包丁は今回が初めてではありません。以前我が家で使っていた黒打ち菜切包丁(白紙)が光月作で、その包丁も切れ味抜群でした。

さっそく持ち帰った骨スキ包丁で肉や野菜を試し切りしてみましたが、青鋼包丁らしく気持ちよく食材を両断してくれます。スーパーマーケットでカット済みの食材がお手軽に買える昨今、業務用の骨スキ包丁など家庭では出番もなく不向きかと思いきや、さにあらん。

やや厚みのある直線的な刃は肉の切り分けだけでなく、ちょっとした野菜の押し切りにも便利です。小ぶりな菜切り包丁のようでもあるし、剥きもの包丁としても使えそう。メインの24cm牛刀の心強い相棒になってくれそうな、多用途に使える包丁のようです。

国の伝統的工芸品の指定を受けて

アウトレット刃物市は毎年土日の2日間開催しており、日曜日は鍛冶仕事の実演もあり結構混雑するようです。包丁研ぎも6寸程度の家庭用は600円、7寸以上は1,000円でやってくれます。

アウトレット品は検品でハネたものや試作品や長期在庫などがメインかなと思います。包丁だけでなく、鋏や鎌など庭仕事用の刃物や、工芸品など手仕事用の刃物を目当てに来ている職人さんと思しき方も来店されていました。

五香刃物製作所さんは以前から県の伝統的工芸品の指定は受けていましたが、国の伝統的工芸品として指定を受けたのは昨年からのようです。

現在、経済産業大臣より指定を受けた国の伝統的工芸品は全国で約230品目程度しかありません。刃物では大阪の堺打刃物、関の越前打刃物、新潟の越後三条打刃物が有名です。伝統工芸士の作る和包丁に、下記のような伝統証紙マークのシールが張られて販売されているのをよく目にすると思います。

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千葉県は房総半島で砂鉄が取れ古くから鍛冶が行われていました。そのため鋏、鎌、包丁など「千葉工匠具」の1つとして五香刃物製作所さんも認定を受けられたようです。他地区の刃物のように、全国の伝統工芸品が集まる都内の「青山スクエア」に製品が並んだり、展示会など開催するともっと注目が集まるのではないでしょうか。

 

AVIREX B-3 ムートンを自宅で洗濯! やる前に読めば安心?大失敗?手洗いに挑戦も自爆

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汚れたアヴィレックスのB-3、ムートンを自分で自宅で洗います

画像見て「うわっ!襟めっちゃ変色してる」と思った方、のっけから汚れた写真を見せてゴメンナサイ。今回はこのムートンAVIEREX B-3のフライトジャケットを、自分で自宅にて手洗い洗濯します。以前に格安価格で入手したものだから、もし失敗しても最悪の場合は捨てて構わないので、やってみます。

お品は大人気の定番フライトジャケット「AVIEREX製 TYPE B-3」。
一生モノですよ、のセールストークに乗っかって清水の舞台から飛び降りた人も多いと思います。最近の定価は20万円以上するようです。確かに長持ちはしますが手入れは大変だし使用頻度や経年劣化によって相応に傷みます。襟や袖のムートンは皮脂で汚れるし、防寒になるからと着用してバイクにでも乗ろうものなら排気ガスでまっ黒になります。表の革も意外にデリケートで、ちょっとしたことであっさりと破れます。

こちらのB3もご覧のとおり排気ガスで変色し、かなり汚い状態です。このままでは不衛生。中だって放置し続ければノミやダニの温床になります。ということで普通ならクリーニングに出して綺麗にするわけですが、ムートンは扱いが難しく手慣れた専門業者に出すことになります。クリーニング代はやたらと高く1万円前後掛かります。軽く躊躇する金額です。で汚れたまま放置する方も多いようです。さらにこの手のモノは、いつしか着る側の方の体系が変わったり、趣味嗜好が変わったりして、だんだん着なくなりますw。こうして一生モノのはずが、せいぜい10年でタンスの肥やしになっていくのです。

革製品は着ていると身体からの脂や汗が天然の保湿材となります。最も効果的なメンテナンスはマメに着用する事ですが、いったん着なくなり長期放置プレーにするとどんどん痛んでいきます。もっと手軽に洗えたらタンスの肥やしにせず気軽に着続けられるのに…。

そんなこんなで実際に自分で洗えないものだろうかと思案することになるわけですが、ネットで確認するとムートンを自分で洗濯をしている方も結構いるようです。ならば私もと一念発起してやってみることにしました。

 

洗剤は家にあるもの、洗う場所は風呂場

余計なお金はできる限りかけたくありませんよね。ということで家にある洗たく用の洗剤でチャッチャッとやっていきます。
我が家にあるのはコチラ。

アタックNEO抗菌EXとワイドハイターです。

洗濯後に保湿メンテとしてオイルが必要となりますが、ネット上で評判の良い天然自然界の油「ソンバーユ」を使うことにします。材質は成分無調整の馬の油100%。女性の方でも知っている人は多くないようですが、本来はお肌のスキンケアで使う美容品です。またヘアケア・スカルプケアにも使うようです。こちらは流石に持っていないので1個1500円也を近所のドラッグストアにて購入してきました。したがって今回のクリーニング費用は1,500円のみということになります。

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我が家はドラム式洗濯機なのですが、そちらは利用せず手洗いでいきます。B-3が入る大きめの洗濯ネットがなかったということもありますが、ネットに入れてゴロゴロ回しただけで落ちるような汚れではなかったので、お風呂場の浴槽を使うことにしました。ここなら任意の温度に設定したぬるま湯もドバドバ出るし、大きなB-3もらくらく入るスペースが確保されています。

とりあえず手順としては、

1) 洗たく液の準備:
・ぬるま湯を浴槽に張る
・温度が高いと革の塗装が溶け出すらしいので35度ぐらいまで
・洗剤を入れて泡立てたら、ジャケットを裏返し、ムートンの毛を表にしてを投入
2) 手洗い工程:
・まずはゆっくり吸水させる
・手洗い開始 ※浴槽の水を入れ替えて2回
・手洗いが終わったら、すすぎ2回
・すすぎが終わったら再び綺麗なぬるま湯を張って漂白 30分×2回
・終わったらすすぎ1回
3) 脱水と乾燥
・浴槽のお湯を抜く
・お湯が抜けたらムートンを軽く底に押し付け、水分を出す
・乾燥したタオルケットやバスタオルの上にムートンを乗せて、吸水させて水抜き
・複数のタオルで上記を数回繰り返し
・ムートン側がある程度乾いてきたら軽く手櫛で適度に起毛しておく
・表裏を返してジャケット表側をふたたびタオル等のうえに乗せて吸水乾燥させる
4) 保湿クリームで養分補給
・まだ多少湿りが残っている間にソンバーユを手で塗っていく
・塗り終わったら物干しパイプにつるして、本格的に乾燥するまで待つ
・完全に乾燥したら、ムートンを起毛して完成

 

失敗は成功の元!コレを読んで最も重要なポイントを把握しましょう

まずはみなさまにとってこの記事が転ばぬ先の杖になるよう、大失敗したことを先に報告いたしましょう。

こちらをご覧ください!
はい、破れて穴をあけてしまいましたwf:id:mini-mill:20171128141520j:plain
続いて、別の箇所もドンッ!

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肩と背中で合計2か所、穴を作ってしまいました。
1つ目の肩口は気が付いたらポッカリと開いていました。
もう1つは指がスボッとめり込んで突き抜けました。

ここでムートンの手洗い洗濯時の最大の注意事項・要点をお伝えします!

劣化して乾燥したムートンを吸水させると、和紙やティッシュペーパーのごとく柔らかくなるということです。

指のわずかな力でも革を突き破ります。ほんの少し集中して指の圧がかかっただけで、その部分がスボッと突き抜けました。肩口の方も押し洗いしている間にいつのまにか破れていました。浴槽内でムートンを動かすだけでも、かなり神経質に扱わないといけません。とにかく大切なのは習字で使う半紙のように、金魚すくいの紙のように、そーっと扱う必要があるということです。大量に水を含んだ新聞紙が3-4枚重なっているだけのようなイメージで、いつ破けてもおかしくない状態になっている感覚でいないといけません。

ムートンの毛や表皮が水をかなり貯め込むため自重が相当重くなりストレスがかなり掛かるということは事前に承知していたので、丁寧に扱ったつもりですが、やはりその具合が最初は感覚としてわからず、このような結果となりました。起きてしまったことは悔やんでも仕方ありませんw。破れたところは当て皮するか裏当て接着後に上からワッペンでも貼るかして対処したいと思います。どうにかなるでしょ!

 

やってはいけないこと、注意事項など

さて最も重要なことを最初にお伝えしました。そのことを念頭に置けば、あとは注意事項として細部確認してもらえれば大きな失敗は犯さないで済むと思います。それでは重要ポイントを箇条書きにしておきます。

  1. 洗たく時期は、湿度が高くない、気温も暑くも寒くもない春秋がよい
  2. 乾燥には1週間程度かかる
  3. 水量はひたひたより多めに。水中で動かせるようにして負荷低減を図る
  4. 表裏を逆さにしてムートンを表面にして洗濯する
  5. チャックを上まで絞め、洗濯中の変形が最小限にして表皮への負荷を防ぐ
  6. 指を強く立てたり当てたりしない / 革が弱くなっていると簡単に指が刺さります
  7. 指の腹や手のひらで洗剤を泡立てて洗う
  8. 一か所ひょいっと摘まんで持ち上げたりしないこと(破れる)
  9. ぬるま湯は35度ぐらいまでにする
  10. 湿り気があるうちにクリームを塗る
  11. タオル等を敷き平置きで自然乾燥させていく
  12. 湿気が抜けずに自重が重い状態のままハンガーに吊るしたりしない
  13. ある程度乾いてきたら物干しパイプにつるして風通しのよい場所で乾燥させる
  14. 直射日光を当てたりしないこと

こんな感じでまとめてみました。
手洗い工程では、腕の部分を動かしたり、全体を返したりするので、3番目の水量は意外と大切なポイントです。水を吸ったムートンはものすご重くなっています。負荷がかかると切れたり穴が開いたりしますので、多めの水の中で扱いましょう。5番目のチャックを閉じた状態で洗うことで形を把握しながら負荷軽減に努めます。

 

それでは写真で手順・工程を確認していきましょう!

f:id:mini-mill:20171128034653j:plain袖のムートンを見て頂くと変色して汚さMAXなのがわかります
この水の量は良くありませんので手本にしてはダメ
もう10cmぐらい深くなるようにぬるま湯を浴槽にためましょう。洗剤はいつもの使用量を考慮して適当に投下。多少大目にして泡立ちしやすいように。

f:id:mini-mill:20171128034652j:plain浸水させたら手洗い開始。ペットを洗うような要領ですが、タッチはゆっくり&ソフトにします。革はめっちゃ破れやすくなっていますので注意してください。大概の場合、汚いところは襟と袖とジッパー周囲と一番下の裾の回り。表に見えているところが特別汚いので、ゆっくりやさしく時間かけて泡を利用しながら洗っていきましょう。軽めで叩き洗いや押し洗いもやりましょう。

f:id:mini-mill:20171128034650j:plain水はすぐに真っ黒になります。これは1回目を終えて2回目の手洗いの時の写真。最初は本当に真っ黒になりますのでびっくりしないように。汚い色が染みないようにある程度洗ったら湯を抜いて、再び湯を張って2回目に移行しましょう。最低でも2回は手洗いしましょう。表の革面は洗濯水や泡が自然に回るのであえて洗いません。

f:id:mini-mill:20171128034651j:plain洗い2回、すすぎも2回ぐらいやれば、ぬるま湯もこのような状態になります。あとはワイドハイターを適量(ジョボジョボジョボを2回w、直接かからないように注意して)入れてよくかき混ぜて1時間漂白を行います。今回は汚れがひどかったから再び水を抜いて軽くすすぎ、もう一度さらに漂白を1時間。この漂白剤は酸素系なのでキツくないから2時間ぐらいOKです。

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浴槽内の水を抜き、「極めて」ソフトに手押しするなどして、革に染み込んでいる水をゆーっくりと抜きます。で、浴槽内でそのまま自然に水を落とすため15分ぐらい放置します。表の革は最高に危険な状態です。最大限の注意を払って取り扱いましょう。フニャフニャがMAX状態になっていて破れやすくなっているので、移動させるときは一か所をホイッと手で持ち上げたりせず、全体をソフトに抱き抱えて持ち上げてください。とにかく最大の注意が必要です。濡れた半紙を扱うような意識で浴槽から取り出しましょう。左肩に大きな穴が開いてしまいムートンの毛が覗いていますw。このようなことにならないよう、各工程で丁寧に作業しましょう。
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浴槽から取り出したら
タオル等の上に乗せて水分を吸わせて自然脱水させていきます。
上の写真はタオルケットの上に乗せた状態です。タオル地に水を吸わせるようにして自然脱水・乾燥させます。この時点で結構襟元がきれいになっていることが分かりますよね。 
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このように大きなタオルで包んだり、中もタオルを挟んだりして構いません。素早くどんどんタオルに水分を吸い込ませましょう。15分~30分程度でタオルはグッショりしてきます。新しいタオルに交換して、繰り返し自然脱水・乾燥させていきます。袖も随分綺麗になっていることがわかります。
タオルを沢山使って2~3時間ぐらいタオル吸水式の脱水を行ったあとは、手でムートンの毛を軽くなでながら毛先に残っている水気を飛ばし、平置き乾燥に移ります。

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平置き乾燥は平らな所にムートンを置いて片面ずつ乾燥させていくだけです。
まずはムートンの毛がある側を乾燥させます。6時間ぐらい毎にフロント面と背中面を裏返して、各面12時間ずつ、合計24時間乾燥させます。つづいてジャケット自体の表裏を返して表面の茶色い革が表になるようにします。こちらも平置きで同様に乾燥させます。24時間ぐらいかけて平置きで乾燥させます。

平置き乾燥2日間を終えると湿り気が残る程度になり、徐々に乾燥してきます。特にムートンの毛の方は乾燥が早いです。指を櫛のようにして軽く鋤き、ふわふわに起毛して毛が固まらないようにしてあげましょう。表の革はまだ軽く湿っていますので、この時点で「ソンバーユ」を塗っていきます。瓶から指で適量を取って少しずつ塗っていきます。強く塗り込む必要は有りません。ムラがないように軽く綺麗に塗っていきます。

毛以外の部分にソンバーユを塗り終わったら、両袖から物干し用などのポールを通して、写真のようにして乾燥させます。決してハンガーに吊るさないようにしましょう。肩がボコッとなったり負荷がかかって破れたりする原因になります。
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このように案山子のようにして干しましょう。
あとは、ただひたすら自然乾燥です。日光に当てたりしないようにしましょう。風通しのよい場所か常時換気が行われている場所でじっくりと乾燥させてください。丸4日ぐらいかかると思いますが気長に待ちましょう。

f:id:mini-mill:20171128221030j:plain袖口の色も襟元も完全に復活しています。指で軽く起毛しただけですがかなりフワフワ感が戻っています。ソンバーユも程よくシミ込んでいます。保湿クリームとして塗っていますので乾いても最初のうちは少しダークブラウンな感じです。それも日常使用が続くなかで徐々にオイルも抜けて、元のヤレ感のある程よいブラウンに戻っていくでしょう。

こんな感じで、フライトジャケットのAVIREX B-3を、自宅で、自分で、簡易的に手洗いしてみました。お付き合いいただきありがとうございました。経験の無さから穴を開けてしまう失態もありましたが、目的である汚れた部分を綺麗にすることはできました。あとはワッペンでも買ってきてリフォーム店でガシガシと縫い付けてもらい、オリジナル感満載のムートンジャケットに作り上げたいと思います。

さて、どんなワッペンを付けるか悩みます。
モータースポーツ系?
セオリーの米空軍系?
それとも音楽系?
あるいはアニメキャラで痛ジャケ痛ムートン系?
自衛隊または大日本帝国軍系?
出来上がったら、このページに写真乗せますのでお楽しみに~