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徒然なるままに

堺北辰 (伝統工芸士 池田美和) の包丁を買う 最高の職人技 プロもおすすめの堺打刃物。

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伝統工芸 青山スクエアで「堺北辰」の出刃包丁を買う

堺打刃物の水本焼き包丁で有名な伝統工芸士の方が伝統工芸・青山スクエアで個展を開いていたので行ってきました。大阪は堺市にある池田鍛錬所の池田美和(いけだよしかず)さん。釣った魚やイカを捌くのに良さげな包丁が欲しいなと思っていました。日本橋高島屋本店に入っていた有次が撤退してしまったので、直接京都のお店にでも行ってみようかと思案していたのですが、さすがに遠いし、お金もかかるしで、二の足踏んでいました。幸いなことに東京でこのような催しがあると知り、満開になった都内の桜を楽しむドライブがてら、愛車を走らせて伺ってきました。

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会場は1階正面玄関入り口を入ったすぐ横にありました。
池田さんの作られた40本程の包丁の展示と、名入れ&研ぎ方の体験教室が開催されていました。物見遊山で来た訳でもなく、せっかくの機会なので砥ぎ体験に参加し、出刃包丁を一本買ってきました。

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如何ですか?これぞ和包丁って感じです。
刃渡り150mm、家庭用の出刃としては標準的で使いやすいサイズです。
私の拙い釣果(ちょうか)や、公営市場等で購入する魚を捌くには比較的使いやすい刃渡りです。高級和包丁の素材ではおなじみの安来鋼白紙と軟鉄を張り合わせて使った霞包丁(合わせ包丁)と言われるものです。柄は朴の八角で角巻は水牛仕様。

刻印銘の「堺北辰」は伝統工芸士・池田美和さんが作った包丁の専用銘です。由来は剣術の流派「北辰一刀流」でしょう。坂本竜馬新撰組山南敬助伊東甲子太郎北辰一刀流。幕末の志士達のイメージが重なります。包丁に刻まれた文字の座りが良く素敵な銘です。ちなみに砥ぎの体験教室に参加すると教材用の小ぶりな和包丁(和ペティ/黒打ち/160mm)を1本もらえるので、都合2本の包丁を入手してきました。


砥ぎ教室は受講料が5,000円で包丁も含まれたコミコミの料金です。砥ぎ方を色々と教わり包丁も一本貰えるので良い企画だと思います。刃渡りは160mmで諸刃。名前こそ和ペティとなっていますが普通のペティより二回りぐらいは大きいサイズで、チビ柳刃といった雰囲気。多分これ1本で肉・魚・野菜・果物まで、一般的な家庭調理なら9割がたをこなせると思います。出刃包丁は刃の峰の厚さがたっぷり8mmぐらいあってズッシリと重いです。試しに鯛、金目鯛をこの包丁で捌いてみましたが「もっと魚をもってこい」的な気分になりました。

八角型の柄

購入を検討していたものが出刃の中サイズ・白紙の霞包丁ということで、選択肢もなくズバリの1本が幸いにもありました。特に深く考えることもなくそれを手に取り、そのまま購入。帰宅して箱を開封し満足げに眺めていたら、ふっと気が付きました。

あれ、そういえばコイツ、柄が八角だったっけか… 
(高価な包丁みたいでよろしい!) 

購入時は柄のことなどすっかり忘れていました。
というのも墨流しなど綺麗な紋鍛や本焼きの刃紋ばかり眺めていましたから、自分が買った包丁の柄のことなんてすっかり忘れ、気にも留めていませんでした。
改めて手にしてみると、やはり八角は握り易すく見た目も洗練されて綺麗です。
木の色も落ち着いていて良く、材質もしっとりと高級感があります。

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和包丁の柄の型は小判型(楕円)、栗型(しのぎ付)、八角型、半円六角型などがあり、良い包丁になるほど八角型の柄が付いています。白紙の霞包丁では八角の柄が付いたものは少なく、素朴な小判型や栗型の柄が付いたものばかりです。八角柄が付いているのは高価な青紙鋼を使った包丁に多いのですが、池田さんの包丁は霞の白紙鋼でも高級感のある美しい水牛八角柄が付いていました。良い商品というのは値段に関係なく体裁が整えてあるもので、それが結果として機能美となって表れます。変にコストカットしてないところに好感が持てます。柄の部分は実際に人の手が触れる部分ですから、見た目はもちろん、手になじんで握りやすい形にも拘りたいところです。

堺の刃物の大半は分業制で製造されています。「鍛冶」・「砥ぎ(刃付け)」・「柄付け」・「名入れ」の各職人さんたちが別々で作業を行います。1本の包丁がそれぞれの職人さんの手を渡り歩き完成していくイメージを持つと分かり易いです。たとえ上級の本焼き工法や高価な青紙鋼を使っていなくとも、柄がしっかりしたものが付いているとすれば、それは刃の方も、鍛冶・刃付けの段階で間違いなくしっかり作られた包丁のハズです(そもそも堺の和包丁であれば間違いなしですがw)。

水本焼きの伝統工芸士

和包丁は「本焼き包丁」と「霞包丁」に大別されます。本焼きとは刃全体が単一の鋼(はがね)だけで火造り鍛造成型されているものを指します。一方の霞は、鋼と軟鉄の2つの鋼材を合わせて鍛接して作られる包丁です。また製作の工程により「水焼」と「油焼」に分かれています。炉で熱して赤くなっているアツアツの鋼をジューッと冷やして焼き入れするわけですが、私のような素人は全て水で冷やしていると勘違いしがちです。油を利用する温度管理が楽な油焼き包丁もあります。高価な和包丁は水焼きが主流です。そのほうが硬度も高くなります。

高級和包丁に使われる鋼は主に日立金属の安来鋼で、種類は白紙と青紙があります。白紙は純粋な炭素鋼。青紙はタングステンとクロムを白紙に添加した合金鋼。青紙は白紙より切れが持続(長切れ)します。鍛冶屋さんも焼き入れしやすい鋼材。ただし白紙より若干ですが砥ぎ難くさもあります。価格も高くなります。白紙は青紙より安価ですが、砥ぎやすいく良い刃がつき、カミソリのような鋭く噛みつくような切れ味になる。ただし青紙ほど刃持ちは持続しない。また白紙は焼き入れも本来の性能をしっかり出すのが難しいので本当に良いものを打てる人は限られています。白紙・青紙ともに2号、1号と2種類に別れています。2号は柔らかく、1号は硬くなります。魚の骨とか硬いものをバキッとやるなど手荒いことにも使う出刃については、刃欠けしにくい白紙2号などが適してるかと思います。刺身など柔らかい食材を鋭く切るには青1や白1がより適しています。
(※白紙は2号より柔らかく砥ぎ易い白紙3号もあります)

安来鋼白紙、そのなかでも鋭い切れ味を発揮する白紙1号鋼を用いて水本焼き包丁を作るのはとても難しく、伝統工芸士の池田美和さん
はその「水本焼き包丁」づくりの名匠。インターネットでもその評判を拝見することができます。このような特殊な技工を持つ方は全国でも数少なく、現在では白紙1号/水本焼き包丁の性能をしっかり出せる鍛冶屋さんはわずか数名、限られた方しか作れないようです。池田さんの作った本焼き柳刃包丁をネットで見ると10万円を軽~く超えるようなお値段が付いています。海外サイトで検索してみると「The World's most expensive kitchen knife」というウェブページに、築地の子の日という専門店が販売する池田さんの手によって鍛冶打ちされた先丸蛸引き包丁がランクインしていました。お値段なんと6,980ドル!約77万円です。 伝統工芸スクエアの会場にも高価な包丁が展示されていましたが、それでもせいぜい10万~15万円程度の世界です。世の中にはお高い包丁があるものです。板場に立つお寿司屋の板前さんとか割烹の本職の方のなかには、こういうものを使う人もいるのでしょう。

伝統工芸 青山スクエア より
池田さんの仕事が伝統工芸の公式サイトで紹介されています。

手技TEWAZA「堺打刃物」Japan Sakai Forged Knife


包丁は安い!

ところで、この手の伝統工芸品を買うと「一生モノ」とかケチ臭いこと言い出す輩がいます。が、基本は日用品です。ダメになったらまた買えばよいのです。包丁一本で15年20年と使われたら堺の刃物屋さんは商売あがったりで、みなさん倒産です。ガンガン使って、ガシガシ砥ぎまくって、古くなったらバンバン買い替えて、刃物職人さんたちの売り上げに貢献したほうが良いのです。使ってナンボ、売れてナンボ。そうでなければ連綿と続く伝統工芸の技なんて未来に伝承されません。

いまどきアップルのスマホが10万円。高校生だって持ってます。しかも4-5年も使えば買い替えです。一方、伝統工芸士の作る包丁は一般家庭ならはどう考えても10年は楽に持ちます。出番の少ない出刃や柳ならもっと持ちます。世のオジサン達のたまにしか使わないゴルフクラブや釣竿、あるいは大して役に立っていないオバサン達の化粧品やアンチエイジング商品などと比較すれば、毎日のように使う包丁は多少値が張ったとしても本当はお安いものです。たまにしかいかないゴルフで、ろくに入りもしない3万円のパター買うなら、伝統工芸士の方が作った3万円の和包丁を買った方がはるかに世のため人のため。そんなことを思った反省しきりの包丁購入記となりました。

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池田さんはこの「お魚包丁」シリーズでも有名です。NHKで紹介されて注文が殺到した包丁のようです。インターネットで取り扱っている刃物屋さんも散見されますが、どこも売り切れです。会場には全種類ちゃんとありました。肉好きな私としては、魚はあるのに、なぜ鶏や豚や牛は無いの?とツッこもうかと思いましたが黙ってましたw。

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会場では柳刃、薄刃、牛刀、三得包丁などいろいろと手にしてみました。こうして見るとやはり堺北辰の銘でバリッと揃えたくなりますね。

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真ん中の白紙3号の本焼き柳刃包丁が75,000円。
これで刺身切ったら美味しそう。これを手に持ってみましたがうっとりしました。
なんというか刃の鎬(しのぎ)の筋が凛としてスッと伸びています。
上手な刃付け(研ぎ)屋さんに収めて仕上げているのでしょう。

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青紙スーパー鋼の出刃。久次作という刻銘が入ってます。
質問したら以前は「久次」という名前も使っていたそうです。
その後、堺北辰に統一したそうです。

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鋼を幾重にも重ねて生み出される模様がきれいな「墨流し」包丁。ステンレス製ならダマスカス鋼なんていう名前がついたりします。所有欲を掻き立てる不思議な魅力があります。ダマスカスの多層鋼にありがちな、ウニウニとした模様の下品さがなく、品の良い模様が出てます。

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私のような庶民のために家庭用包丁だってありますw。
とは言いつつも2万円を超えるような価格が多いです。

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青山スクエアでは、常設で池田さんの堺北辰をはじめ堺打刃物の伝統工芸士の手による包丁が少量ですが販売されています。210mmの牛刀が手ごろな価格で売っていたのですが、我が家の牛刀がまだ存命中なので見送りました。

今回の展示で一番気になったのが写真の一番右端に写っている関西型の鎌形薄刃包丁195mm。関東ではあまり見かけない形です。安来鋼白紙2号で柄も八角タイプが付いて理想的です。程よい重さで手に持つと吸い付くような感覚でした。まるで自分のために作られたオーダーメイド品のよう。せっかくなので買っておけばよかったかなと思いつつも、楽しみは次の機会に。秋には再び展示会があるようです。お時間のある方は是非どうぞ。

追記
※後悔先に立たず。やはり鎌形薄刃も買っておけば良かった。この手のものは今目の前に手にできるモノがあれば、それが買い時です。全国的にも著名な伝統工芸士の方の打った包丁は在庫などナシに等しいのですよ。もう二度と手に入らないかな…

スイス Spring (スプリング) のクリスタルを探せ。鍋・ソテーパンはどこだ!

お題「愛用しているもの」

無水調理できるスイス製の全面5層構造ステンレス・フライパン

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スイスのスプリング社のクリスタル・24cmソテーパンを愛用しています。
ピカピカに光り輝くステンレス製の5層構造フライパン(ソテーパン)です。
お持ちの方はわかると思いますが、蒸気が吹いたら蓋を滑るようにクルクルと回転させて無水調理・余熱調理のできるフライパンです。

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日本ではフィスラーやビタクラフトほどの知名度はなく馴染みの薄いブランドかもしれませんが、スプリング社の「クリスタル」シリーズは30年以上に渡って世界中でロングセールスが続いています。その名のとおり躯体はステンレスの鏡面ミラー仕上げになっており、両手鍋、片手鍋、ソースパンなどがラインナップされています。作りは外と内からステンレス鋼でアルミ合金3層コアを挟んだ全面5層構造です。

残念なことに現在は日本国内での正規代理店による輸入販売は終了しています。
そのため海外サイトから個人購入するか、未使用品在庫を国内で探すしかありません。以前はキッチン用品商社の最大手「中山福株式会社」がスプリング製品を扱っていました。一時期ウェッジウッドからWEDGWOOD by Spring Cristal(ウェッジウッド バイ スプリング クリスタル)という名で販売されていましたので、このシリーズの製品を手にしてファンになった方も多く、今でもスプリングの鍋を探している人は少なくないと思います。

 

今すぐ持って帰らないと気が済まない

実はこのフライパン、一瞥だけで即決即断、その場で即買いしました。
初見で全くの衝動買いです。
なんの予備知識もなく機能の考慮も一切なし。
出会った時に一目ぼれ。
我が家にいくつフライパンが転がってるんだ?の自問も無視。

とにかくこれは今すぐ持って帰らないと気が済まない!

その圧倒的な美しさに一発でやられたわけです。
シンプルさを極限まで突き詰めたデザイン。
強く放たれる18クロム鋼の眩い輝き。
一度持ってみたら、もう手から柄が離れません。

美しく、
眩しく、
無駄がなく、
デカく、
そして重い。

サイズ表示こそ24cmとなっていますが、本体側面が垂直に立ち上がっているソテーパンの形状なので底面積が広大。フチは汁垂れしない全面ノンドリップエッジ加工になっていて、若干外に広がって反っているため、真上から見ると28~30cmサイズのフライパン級。巨大ステーキも2枚いっぺんに「かかってこいやーッ」です。

重さもしっかりあります。蓋込みで1.6Kg。
そこへ食材が入りますから、正直なところ女性には少々やっかいな重さかもしれません。安価なテフロンフライパンに慣れている人だと、手にした瞬間にずっしりと重さが伝わってきます。ロッジのスキレットやMauvielの銅ソテーパンのようなモンスター級ではありませんが、重量感はフィスラーやWMFやクリステルなど鍋底の部分だけが多層になっている「なんちゃって」構造製品とは決定的に違います。

側面もしっかりの全面5層構造ですから、側面がペラペラのステンレスパンより重くなります。
強烈な存在感故に若干怯むほどでしたが、在庫はコレだけと言われ「す、すいません、これ包んで下さい」と即答していました。

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機能は至れり尽くせり 

購入後に分かったのですが、シンプルを極めた外観と相反して、機能の方はてんこ盛りの完全フル装備でした。

・本体とフタを蒸気で密着させるウォーターシール効果で無水調理が可
・肉類は無油調理が可
・全熱源に対応
・オーブンにそまま入れて調理
・食洗機も可
・熱伝導と保温性に優れる全面多層構造
・耐久性に優れ、錆にも強い


一番外側のピカピカ部分はステンレス18-0クロム鋼(SUS430)の鏡面仕上げ。18-0は18-8ステンレス(S304)よりやや耐食性で劣るものの18-8より熱伝導に優れます。また18-0は磁石がくっつく性質から電磁調理器IHヒーターには最適な素材です。

コアは熱伝導の良い全面3層アルミニウム。調理面となる内側には18-8ステンレス(S304)を使っていますので耐食性にも優れています。全熱源対応のステンレス製品としてはよく考え抜かれた理想的な多層構造です。厚みは2.4mm。

 

回って回って回って回~る♪

高さが6cmぐらいあるので麺類を茹でるのにも重宝します(満タン2.7L)。
茹で物では鍋を殆ど使わなくなりました。
面積が広いのでパスタ2人前ぐらいなら十分これでまかなえます。

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お湯が沸騰したらパスタを入れて蓋をします。
蒸気が出てきたら、蓋を本体の上でクルクルと回します。
すると、蓋がすべるように回ります。
(これをやるのが楽しくて何度もクルクルしてしまいます)
この動作で蓋と本体の間にウォーターシールを作って密封状態にしているわけです。
クルクルしたらすぐに火を止めて放置すれば余熱調理スタート。パスタの包装に書いてある茹で時間が過ぎたら蓋を空けるとあら不思議、パスタがしっかり茹であがってます。熱伝導が良いのでお湯はすぐに沸くし、沸騰したらすぐ火を消してしまうのでガス代も大幅カットできます。

 

ステンレスのフライパン。ごひりつく?こびりつかない?

メリットばかり書きましたがデメリットはないのだろうか。
ステンレス製は食材がべったりとこびりつく危険があります。
購入する際にはやはり一瞬頭をよぎりました。
が、実際のところ、正しく使えばそうでもありません。
ネットで調べればこびりつかない方法もわんさと出ています。
道理を理解して手順をルーティン化してしまえば、ステンレスのフライパンだって簡単に使いこなせるわけです。

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まずは、
中火でゆっくり予熱開始
水滴をたらし玉状になってコロコロ転がれば熱は完了
・油を多めに投入して底全体に広げます (油返し)
・余分な油をポットに戻してしっかり拭きとり、そのまま加熱します 
油膜から煙がうっすらと出始めたらすぐに火からおろし、
・一旦温度を下げるために濡れ布巾にフライパンを乗せてジューッ
 (食材によって10~30秒)
・再び調理のための油を少量入れて弱中火で20~30秒前後予熱したら調理開始

上記のように使い方をマスターすれば快適に使えます。
焼きそばのようにこびりつき必至の料理でさえツルツルとフライパンの上をすべらせて焼くことができます。

食材の温度も大切です。焼きそばや炒飯は電子レンジで麺やご飯を予め熱々にしておくことが張り付かせないコツです。フライパン本体の温度を冷ますジューッの秒数ですが、目玉焼きは20秒ぐらい→弱火で再加熱して調理開始。ホットケーキを焼くときは油は使わず予熱して30秒秒ぐらい冷ます→とろ火で調理開始。チャーハンの場合は、フライパン本体は熱くする反面、油温はあまり高くない状態で卵とご飯と油を混ぜたいので予熱後ジューッを10秒ぐらい→油投入して少し油の温度が上がったら卵投入。やきそばも10秒程度です。

上手にできるようになるとうれしいものです。ステーキ肉やハンバーグなどは油を一切入れなくても全然こびりつきません。デカイし重いし形状もサイズもが適していないけど、オムレツもそこそこ綺麗に作れます

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写真のようにチーズリゾットなんかしっとり作れます。

Spring社の製品は性能とデザインの両方が良くて魅力的です。
本体がステンレスのピカピカ系は「Clystal」シリーズ、
ヘアライン加工のマット系は「Brigade Premium」シリーズ、
「Culinox」という古くから続く高価な銅製のシリーズもあります。

そろそろ買い替えが必要な両手鍋があり、スプリングの鍋を物色したいのですが、日本で在庫を持っているお店はそう簡単に見つからないと思っています。近所のリサイクルショップで16cmの未使用片手鍋が売っているので、買おうかどうか悩んでます。
でも本当は20cmクラスの両手が欲しいので我慢しています。
故人曰く、果報は寝て待て、です。
いざとなれば海外のサイトからも買えますし。
Spring社は1946年創業で、海外サイトだと銅のビンテージ中古なんかも結構出回っているので、そんなものを検討するのも一手かもしれません。
もしSpringの鍋やパンを見つけたら買っておくと損はないですよ。
オススメいたします。


パルミジャーノ・レッジャーノ祭がはじまる!

お題「ちょっとした贅沢」

f:id:mini-mill:20170330224626j:plainパルミジャーノ・レッジヤーノを大人買い!これぞプチ贅沢

 チーズの関税は29.8% そりゃちょっとした贅沢にもなります

お題のルーレットまわしたら「ちょっとした贅沢」が出たので、さっそくですが笑われるのを百も承知で書きましょう。

パルミジャーノ・レッジャーノ

恥ずかしながら貧乏人としてはたかが「チーズ」ぐらいで、そりゃもうプチ贅沢騒ぎです。イタリアのチーズ買うだけで罪悪感すら生まれます。我が辞書には「粉チーズ」という言葉は載っていても「パルミジャーノ・レッジャーノ」という言葉は載っていませんでしたから。

現在、日本における輸入チーズの関税率は29.8%。

なんてお高いんざましょ。欲しがりません勝つまでは。贅沢は敵なのです。
少し古い話になりますが、プロセスチーズは1990年まで輸入が自由化されていませんでした。ナチュラルチーズにしても1993年のGATT(関税及び貿易に関する一般協定)ウルグアイラウンドによって2000年までは35%もの関税を掛けてました。

この状況は今もさして変わりません。国内の乳製品業界を保護するために、酪農家や企業の利益を維持するために、貧しい日本国民は今もって美味しいチーズを心ゆくまで食べられません(涙)。TPPで関税撤廃に期待していたのですがトランプが当選したおかげてTPPもあわやご破算となりそうでした。

(追記2018年7月:EUEPA(経済連携協定) で関税は年々削減して15年後に完全撤廃だそうです、安倍さん有難うw)

貧しきかな昭和チーズ・エレジー(哀歌)

昔はチーズの種類も限られたものしか目にしませんでした。
まずベビーチーズ。銀紙ペロペロ剥がして食べる奴です。
スティックタイプのQちゃんもありました。
それから箱に入った、自分で切って食べるヤツ。
冷蔵庫でしんしんと冷えて硬くなっている煉瓦のようなアイツです。

 

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子供という生き物はいつも腹を空かせています。
そして包丁ぐらい扱えるような年齢になると、ママの目を盗んで冷蔵庫の中を勝手に漁るようになります。そこで見つけたチーズを台所で密かに切っておやつ代わりに食べるわけです。チーズには包丁でカットしやすいようにビニールに赤いガイドラインの線が入っています。なんと便利な…。
しかしいざ包丁をいれる段階で何故か手が止るのです。

どうしよう…。

そうです。何枚も切って沢山食べたい気持ちと、バレたらまずいという、なんとも悩ましい気持ちのせめぎ合い。そんなことを気にしながら調整して切らなければなりません。後でママに怒られないか、チーズの厚みごときで沈思黙考、逡巡しなければなりません。

昭和の家庭はなんて貧しいのでしょうか。

しかたありません。チーズフォンデュカルボナーラも存在しない時代です。モッツァレラなんて単語もありませんでした。昭和には「ツァ」とか「デュ」とか「ヴェ」とか無いのですから。
(でもBMWはベーエンベー、AMGはアーマーゲーと呼んだりしたガキでしたが何か)

時代は変わる。チーズの歴史は、日本の文化の歴史

そんな貧しい昭和の世も、為替が固定相場から変動制となり、プラザ合意を経てバブル経済へと進む中で、国民の所得も増加していきます。それに合わせてチーズも多様化してより身近なものになったのでした。

まずチーズの消費そのものが増えました。
食パンに乗せる薄いスライスチーズが普及して、自分でカットする箱チーズは瞬く間に消え去りました。まるでラジオスターの悲劇の一節のようです。
ビディオ・キル・ザ・レーディオ・スター♪ 

もうママの顔色を気にする必要はありません。
おやつでこっそり食べてもよい量はスライス1枚、と企業側が勝手に決めてくれたのでした、余計なお世話を有難う。

でもその頃になるとプロセスチーズは好き勝手に食べても怒られないチーズに成り下がっていたのです。そう、時代はすごい勢いで流れていました。

勝手に食べたら怒られるチーズは、他の種類のチーズにその座を奪われました。
アメリカ発のフィラデルフィアクリームチーズなるものが登場したのです。
いったいコレは本当にチーズなのか?

70年代中頃、日本の家庭で突如レアチーズケーキ作りが大流行します。
我が家もご多分に漏れず。母と姉からなる女性連合軍の合作を、男性陣である父と私が食わされる羽目になりました。
ゼラチンがダマになったできそこないです。が、とにかく美味しい。
白くて美しいクリームチーズケーキ。
世の男どもがついに白いチーズの存在を知るに至ったのでした。

それまでは洋モノといったらアニメ「アルプスの少女ハイジ」の穴あきの黄色い丸いチーズしか知りません。それとて二次元、ブラウン管の中で見ただけの話です。文化果てる極東の地に住む黄色人種の子供たちは、チーズさえも黄色でなければならないと錯覚していました。

ボーイ・ミーツ・クリームチーズ
それはPLAYBOY誌で青い目のパツキン外人のヌードグラビアを見るようなものでした。生まれて初めて洋モノのエロ本を小学生が見た時のような衝撃です。誰もがファラ・フォーセット最高!と精神が錯乱してしまう70年代後半の出来事でした。

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日本輸入チーズ普及協会

 

喧騒のバブル経済を経て

時代の流れは更に加速し足早に変化していきます。
国民の所得もどんどん増えていき、日本は豊かになっていきました。
毎朝「おはよう720」でビューティフルサンデーを聞きながら、大陸横断キャラバンが伝えるヨーロッパの人々の暮らしぶりを知る必要はなくなりました。グラハムカーの「世界の料理ショー」を指をくわえて見る休日の朝も消え去りました。

時は80年代。ジャパンアズナンバーワン
ふと気がついた時には日本は、ロックフェラーセンターまで買い漁るような成金のブタ野郎になっていたのです。

バブル経済万歳!

そうなると、もうチーズをカットするときの厚さなんか気にしません。
頭からガブカブかじればよいのです。
マリーアントワネットよろしく、です。
パンがないならケーキを食べればよいのです。
チーズなんて現地フランスやスイスやイタリアへ行って食べればよいのです。
誰もが気軽に海外旅行へ行く大航海時代が到来しました。

アニメの主人公のように叫びます。「グルメ王に、俺はなる!」。

ピザは、シェーキーズの食べ放題から宅配時代へと移り、いつしかピッツァへと名前を変えていきます。スパゲッティはパスタと呼ばれるようになりました。
そうなると日本製のチーズなんて誰も有難がりません。
ボジョレーヌーボーを飲んで朝まで騒ぎ、スイスから送られてくるアルプスの少女ハイジに出てくる黄色い穴あきチーズや、フランス産の白カビ・青カビのチーズを思う存分食べられるバブリーな時代が到来したのです。
やったーっ! さよなら貧乏!

そして…。
そのバブルの喧騒から、今は四半世紀以上の月日が経ちました。

当時の出来事や贅沢も今や記憶の彼方、遠い昔の話になりました。
では現代の日本におけるチーズはいったいどうなってしまったのでしょうか?

喜ばしいことに、チーズは日本の食文化により深く浸透してくれたのです。

今やどんな街にも石窯でナポリピッツァを焼くイタ飯屋がある時代です。ど田舎のハナタレ小僧でさえ、4種チーズのクワトロフォルマッジのピッツァを当たり前のように食らう世の中になったのです。2017年の日本は、バブル華やかし1990年と比較して、なんとその2倍以上のチーズを消費するという、さらなるチーズ飽食の時代になっていたです。
バンザーイ!
たかがチーズだ、いちいち気にせず好きなだけ買ってガシガシ食おうぜ!

ところがそうは問屋が卸さないチーズが1つだけありました。

パルミジャーノ・レッジャーノ、不動のブランド価値

バブルの喧騒から数十年。どんなに日本が豊かになろうと、いくら時代が移り変わろうと、山のごとく動かない価値を持つチーズが世界にはあったのです。

それがチーズの王様「パルミジャーノ・レッジャーノ」。

このイタリア生まれのチーズは、「特定の場所」において、「限定された手法」で製造し、専門検査官が「厳格に審査」を行い、そのレギュレーションをパスした個体に限り「パルミジャーノ・レッジャーノ」という称号が与えられ、その名を名乗ることが許されます。

パルミジャーノ・レッジャーノは、ブランド価値の高い食品です。日本でいえば松坂牛とか大間のマグロとか氷見の寒ブリに似ています。食品の規格としては日本のそれらの食品より遥かに厳格なものです。熟成期間は標準で24か月。36か月、さらにはそれ以上熟成させる高級プレミア品もあります。

手間暇かけて作られるので当然販売価格も高くなります。日本では更に先述の無慈悲な関税がCIF価格に対して適用されています。「Cost(現地価格)」と「Insurance(保険料)」と「Freight(運賃)※チーズは空輸で高い」に関税29.8%がプラス。そりゃお高くもなります。

パルミジャーノ・レッジャーノの日本での実売価格は、巨大なホール1個で14~5万円前後します。1kgカット品で4,000~5,000円近い価格です。インターネットでは1kgサイズが比較的主流ですが、街のスーパーマーケットでは150gとか200g程度のパッケージ品が殆どで、より割高になります。パッケージ品は200gで1個1,000円以上はします。比較的安価に買えるのがコストコで、私もよく利用します。

パルミジャーノ・レッジャーノを買うというのは、まだ貧しかった頃の、あの昭和の日本に先祖がえりするような錯覚に陥るのです。ぐぬぬぬぬ。
早く来い、無関税自由貿易の世界よ!

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Parmigiano Reggiano | The P.d.o. | Parmigiano Reggiano in Figures

 

買うとウキウキ、お祭り気分

大人になっても、平成の世になっても、21世紀になっても、自分が相変わらず貧しいままなのは、ある意味パルミジャーノ・レッジャーノ的に不変なわけですが、この普遍的な価値を持つチーズがセール期間で少し割安になっていると「よーし」と盛り上がり、見境なく大人買いするのには、そんなこんなの時代の変遷と、昭和の原体験ともいうべき背景があるからなのです。

パルミジャーノ・レッジャーノが安くなっていると、つい手が伸びて、新年初売りの福袋セールを前にした「せっかくだから買っておけよ」的なお祭り感覚を覚えてしまうのは致し方なしです。

スーパーマーケットのチーズ売り場へ行くといつも決まった所作があります。
プロセスチーズ系無視、チェダー無視、ゴーダ無視、モッツァレラはチラ見(ふむふむ)、ゴルゴンゾーラ目視(おいしそう)、そしてパルメジャーノは必ず手に持って値段確認。
おっ、安くなっているじゃん! 
例え4,000円のA5和牛は買わなくてもコイツは買わなきゃならん。
こうなりゃチーズフェスタを開催だ! となるのです。

カルボナーラとチーズリゾットで祭りを祝う

で、なぜチーズごときでこんなに大騒ぎしたり嬉しいのかといえば、それは単にこのチーズが美味しいからなわけですが、もっと具体的に言えば、このチーズを惜しげもなく使った大好きなメニューを作ることができるからなのです。今回は150gの真空パックを5つ、計750g買いました。これだけあれば濃厚なこいつをしばらくの間、楽しむことができます。
さぁ、ご覧ください!

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はい、カルボナーラですw。好きですよねこれ、貴方もw
本来は塩味の強いペコリーノ・ロマーノを使うのですが、当然ながらパルミジャーノ・レッジャーノでも構いません。そっちの方がより高貴です。

はい?写真のパスタ、なんか汁気が足りない? 
そう、ボッテボテの超濃厚カルボにしてあります。食べづらいぐらいボテホデのコテコテ仕様です。写真じゃ伝わらないのが残念です。岩塩をガリッと挽いてチーズの濃厚さに負けない味付けにしています。コレを食べる昼下がりは至福のひと時です。

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チーズグレーターなんてお洒落なものはありません。大根の卸し金でゴリゴリとやります。日本の伝統なめたらいかんぜよ! このきめの細かさを見よ。

チーズは最低でも35gは使っちゃいましょう。この写真は40gぐらいあります。出来上がったパスタにもフリフリしちゃいます。750gも買ったんだから大船に乗った気分です。ローマ法王だってこんな贅沢しないさ!

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グアンチャーレなんて無いので厚切ベーコン。オリーブオイルで炒めます。油出しと香りのためにEVオイルは必要です。油と汁が十分出たら、にんにく入れて香り付けします。

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ボウルにはパルミジャーノ・レッジャーノ
と粗挽き胡椒と卵黄1個を事前に準備しておきます。これらを軽く混ぜておきます。

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パスタが茹であがったら、先ほどオリーブオイルで焼いたベーコンと一緒にフライパンか片手鍋で和えて乳化させます。ニンニクの香りが付いたオリーブオイルとベーコンから出た油と茹で汁を混ぜて一体化させるわけです。そのあとボウルへ投下して、手早くチーズ・卵黄・胡椒と和えて塩加減。お皿に盛ったら胡椒をガッツリ振って出来上がりです。

パルミジャーノ・レッジャーノがあればチーズリゾットも楽しめます。
サフラン(なければターメリック)で色付けして作ればミラノ風チーズリゾット、リゾット・アッラ・ミラネーゼの出来上がりです。牛肉のワイン煮込みと一緒に食べたり、魚介類乗せて食べたり、ベーコンやソーセージ焼いて乗せたり…。

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リゾット ミラネーゼ Risotto alla Milanese
材料1~2人前
・米  100g
・玉ねぎのみじん切り 1/4個
・白ワイン 50cc
・ブイヨン(コンソメ)スープ  600cc
サフランまたはターメリック 色付け
・パルメジャーノチーズ 25g
・バター 40g
手鍋に、バター入れて玉ねぎ炒め、続いて米を洗わずに投入し炒めます。ターメリック入れて香り出ししたらブイヨンスープ450ml入れて煮る。水分が減ってきたら再び150ml追加して煮る。米の硬さを確認して頃合いに仕上がってきたらチーズ投入してすぐ火を止めてかき回して塩加減します。皿に盛って厚切りベーコンなどをトッピングして出来上がり。
中火で調理して20分で完成します。

どうですか。
以上、私のプチ贅沢。
パルミジャーノレッジャーノ1kgだと4,000~5,000円位ですから高級和牛ステーキ肉を買うぐらいの値段はします。コストコだともう少し安く購入できます。

たかがチーズですけれどされどチーズです。たまにはチーズがっつりの食事はどうですか?そういえばこんな動画があります。ぜひご堪能ください。
 


Ricetta  -   Spaghetti alla Carbonara  conditi su una Forma di Parmigiano