My house, my rules !

徒然なるままに

パルミジャーノ・レッジャーノ祭がはじまる!

お題「ちょっとした贅沢」

f:id:mini-mill:20170330224626j:plainパルミジャーノ・レッジヤーノを大人買い!これぞプチ贅沢

 チーズの関税は29.8% そりゃちょっとした贅沢にもなります

お題のルーレットまわしたら「ちょっとした贅沢」が出たので、さっそくですが笑われるのを百も承知で書きましょう。

パルミジャーノ・レッジャーノ

恥ずかしながら貧乏人としてはたかが「チーズ」ぐらいで、そりゃもうプチ贅沢騒ぎです。イタリアのチーズ買うだけで罪悪感すら生まれます。我が辞書には「粉チーズ」という言葉は載っていても「パルミジャーノ・レッジャーノ」という言葉は載っていませんでしたから。

現在、日本における輸入チーズの関税率は29.8%。

なんてお高いんざましょ。欲しがりません勝つまでは。贅沢は敵なのです。
少し古い話になりますが、プロセスチーズは1990年まで輸入が自由化されていませんでした。ナチュラルチーズにしても1993年のGATT(関税及び貿易に関する一般協定)ウルグアイラウンドによって2000年までは35%もの関税を掛けてました。

この状況は今もさして変わりません。国内の乳製品業界を保護するために、酪農家や企業の利益を維持するために、貧しい日本国民は今もって美味しいチーズを心ゆくまで食べられません(涙)。TPPで関税撤廃に期待していたのですがトランプが当選したおかげてTPPもあわやご破算となりそうでした。

(追記2018年7月:EUEPA(経済連携協定) で関税は年々削減して15年後に完全撤廃だそうです、安倍さん有難うw)

貧しきかな昭和チーズ・エレジー(哀歌)

昔はチーズの種類も限られたものしか目にしませんでした。
まずベビーチーズ。銀紙ペロペロ剥がして食べる奴です。
スティックタイプのQちゃんもありました。
それから箱に入った、自分で切って食べるヤツ。
冷蔵庫でしんしんと冷えて硬くなっている煉瓦のようなアイツです。

 

f:id:mini-mill:20170331025825j:plainf:id:mini-mill:20170331025816j:plainf:id:mini-mill:20170331031942j:plain 
子供という生き物はいつも腹を空かせています。
そして包丁ぐらい扱えるような年齢になると、ママの目を盗んで冷蔵庫の中を勝手に漁るようになります。そこで見つけたチーズを台所で密かに切っておやつ代わりに食べるわけです。チーズには包丁でカットしやすいようにビニールに赤いガイドラインの線が入っています。なんと便利な…。
しかしいざ包丁をいれる段階で何故か手が止るのです。

どうしよう…。

そうです。何枚も切って沢山食べたい気持ちと、バレたらまずいという、なんとも悩ましい気持ちのせめぎ合い。そんなことを気にしながら調整して切らなければなりません。後でママに怒られないか、チーズの厚みごときで沈思黙考、逡巡しなければなりません。

昭和の家庭はなんて貧しいのでしょうか。

しかたありません。チーズフォンデュカルボナーラも存在しない時代です。モッツァレラなんて単語もありませんでした。昭和には「ツァ」とか「デュ」とか「ヴェ」とか無いのですから。
(でもBMWはベーエンベー、AMGはアーマーゲーと呼んだりしたガキでしたが何か)

時代は変わる。チーズの歴史は、日本の文化の歴史

そんな貧しい昭和の世も、為替が固定相場から変動制となり、プラザ合意を経てバブル経済へと進む中で、国民の所得も増加していきます。それに合わせてチーズも多様化してより身近なものになったのでした。

まずチーズの消費そのものが増えました。
食パンに乗せる薄いスライスチーズが普及して、自分でカットする箱チーズは瞬く間に消え去りました。まるでラジオスターの悲劇の一節のようです。
ビディオ・キル・ザ・レーディオ・スター♪ 

もうママの顔色を気にする必要はありません。
おやつでこっそり食べてもよい量はスライス1枚、と企業側が勝手に決めてくれたのでした、余計なお世話を有難う。

でもその頃になるとプロセスチーズは好き勝手に食べても怒られないチーズに成り下がっていたのです。そう、時代はすごい勢いで流れていました。

勝手に食べたら怒られるチーズは、他の種類のチーズにその座を奪われました。
アメリカ発のフィラデルフィアクリームチーズなるものが登場したのです。
いったいコレは本当にチーズなのか?

70年代中頃、日本の家庭で突如レアチーズケーキ作りが大流行します。
我が家もご多分に漏れず。母と姉からなる女性連合軍の合作を、男性陣である父と私が食わされる羽目になりました。
ゼラチンがダマになったできそこないです。が、とにかく美味しい。
白くて美しいクリームチーズケーキ。
世の男どもがついに白いチーズの存在を知るに至ったのでした。

それまでは洋モノといったらアニメ「アルプスの少女ハイジ」の穴あきの黄色い丸いチーズしか知りません。それとて二次元、ブラウン管の中で見ただけの話です。文化果てる極東の地に住む黄色人種の子供たちは、チーズさえも黄色でなければならないと錯覚していました。

ボーイ・ミーツ・クリームチーズ
それはPLAYBOY誌で青い目のパツキン外人のヌードグラビアを見るようなものでした。生まれて初めて洋モノのエロ本を小学生が見た時のような衝撃です。誰もがファラ・フォーセット最高!と精神が錯乱してしまう70年代後半の出来事でした。

f:id:mini-mill:20170331115227j:plain
日本輸入チーズ普及協会

 

喧騒のバブル経済を経て

時代の流れは更に加速し足早に変化していきます。
国民の所得もどんどん増えていき、日本は豊かになっていきました。
毎朝「おはよう720」でビューティフルサンデーを聞きながら、大陸横断キャラバンが伝えるヨーロッパの人々の暮らしぶりを知る必要はなくなりました。グラハムカーの「世界の料理ショー」を指をくわえて見る休日の朝も消え去りました。

時は80年代。ジャパンアズナンバーワン
ふと気がついた時には日本は、ロックフェラーセンターまで買い漁るような成金のブタ野郎になっていたのです。

バブル経済万歳!

そうなると、もうチーズをカットするときの厚さなんか気にしません。
頭からガブカブかじればよいのです。
マリーアントワネットよろしく、です。
パンがないならケーキを食べればよいのです。
チーズなんて現地フランスやスイスやイタリアへ行って食べればよいのです。
誰もが気軽に海外旅行へ行く大航海時代が到来しました。

アニメの主人公のように叫びます。「グルメ王に、俺はなる!」。

ピザは、シェーキーズの食べ放題から宅配時代へと移り、いつしかピッツァへと名前を変えていきます。スパゲッティはパスタと呼ばれるようになりました。
そうなると日本製のチーズなんて誰も有難がりません。
ボジョレーヌーボーを飲んで朝まで騒ぎ、スイスから送られてくるアルプスの少女ハイジに出てくる黄色い穴あきチーズや、フランス産の白カビ・青カビのチーズを思う存分食べられるバブリーな時代が到来したのです。
やったーっ! さよなら貧乏!

そして…。
そのバブルの喧騒から、今は四半世紀以上の月日が経ちました。

当時の出来事や贅沢も今や記憶の彼方、遠い昔の話になりました。
では現代の日本におけるチーズはいったいどうなってしまったのでしょうか?

喜ばしいことに、チーズは日本の食文化により深く浸透してくれたのです。

今やどんな街にも石窯でナポリピッツァを焼くイタ飯屋がある時代です。ど田舎のハナタレ小僧でさえ、4種チーズのクワトロフォルマッジのピッツァを当たり前のように食らう世の中になったのです。2017年の日本は、バブル華やかし1990年と比較して、なんとその2倍以上のチーズを消費するという、さらなるチーズ飽食の時代になっていたです。
バンザーイ!
たかがチーズだ、いちいち気にせず好きなだけ買ってガシガシ食おうぜ!

ところがそうは問屋が卸さないチーズが1つだけありました。

パルミジャーノ・レッジャーノ、不動のブランド価値

バブルの喧騒から数十年。どんなに日本が豊かになろうと、いくら時代が移り変わろうと、山のごとく動かない価値を持つチーズが世界にはあったのです。

それがチーズの王様「パルミジャーノ・レッジャーノ」。

このイタリア生まれのチーズは、「特定の場所」において、「限定された手法」で製造し、専門検査官が「厳格に審査」を行い、そのレギュレーションをパスした個体に限り「パルミジャーノ・レッジャーノ」という称号が与えられ、その名を名乗ることが許されます。

パルミジャーノ・レッジャーノは、ブランド価値の高い食品です。日本でいえば松坂牛とか大間のマグロとか氷見の寒ブリに似ています。食品の規格としては日本のそれらの食品より遥かに厳格なものです。熟成期間は標準で24か月。36か月、さらにはそれ以上熟成させる高級プレミア品もあります。

手間暇かけて作られるので当然販売価格も高くなります。日本では更に先述の無慈悲な関税がCIF価格に対して適用されています。「Cost(現地価格)」と「Insurance(保険料)」と「Freight(運賃)※チーズは空輸で高い」に関税29.8%がプラス。そりゃお高くもなります。

パルミジャーノ・レッジャーノの日本での実売価格は、巨大なホール1個で14~5万円前後します。1kgカット品で4,000~5,000円近い価格です。インターネットでは1kgサイズが比較的主流ですが、街のスーパーマーケットでは150gとか200g程度のパッケージ品が殆どで、より割高になります。パッケージ品は200gで1個1,000円以上はします。比較的安価に買えるのがコストコで、私もよく利用します。

パルミジャーノ・レッジャーノを買うというのは、まだ貧しかった頃の、あの昭和の日本に先祖がえりするような錯覚に陥るのです。ぐぬぬぬぬ。
早く来い、無関税自由貿易の世界よ!

f:id:mini-mill:20170401043701j:plain
Parmigiano Reggiano | The P.d.o. | Parmigiano Reggiano in Figures

 

買うとウキウキ、お祭り気分

大人になっても、平成の世になっても、21世紀になっても、自分が相変わらず貧しいままなのは、ある意味パルミジャーノ・レッジャーノ的に不変なわけですが、この普遍的な価値を持つチーズがセール期間で少し割安になっていると「よーし」と盛り上がり、見境なく大人買いするのには、そんなこんなの時代の変遷と、昭和の原体験ともいうべき背景があるからなのです。

パルミジャーノ・レッジャーノが安くなっていると、つい手が伸びて、新年初売りの福袋セールを前にした「せっかくだから買っておけよ」的なお祭り感覚を覚えてしまうのは致し方なしです。

スーパーマーケットのチーズ売り場へ行くといつも決まった所作があります。
プロセスチーズ系無視、チェダー無視、ゴーダ無視、モッツァレラはチラ見(ふむふむ)、ゴルゴンゾーラ目視(おいしそう)、そしてパルメジャーノは必ず手に持って値段確認。
おっ、安くなっているじゃん! 
例え4,000円のA5和牛は買わなくてもコイツは買わなきゃならん。
こうなりゃチーズフェスタを開催だ! となるのです。

カルボナーラとチーズリゾットで祭りを祝う

で、なぜチーズごときでこんなに大騒ぎしたり嬉しいのかといえば、それは単にこのチーズが美味しいからなわけですが、もっと具体的に言えば、このチーズを惜しげもなく使った大好きなメニューを作ることができるからなのです。今回は150gの真空パックを5つ、計750g買いました。これだけあれば濃厚なこいつをしばらくの間、楽しむことができます。
さぁ、ご覧ください!

f:id:mini-mill:20170331111034j:plain

はい、カルボナーラですw。好きですよねこれ、貴方もw
本来は塩味の強いペコリーノ・ロマーノを使うのですが、当然ながらパルミジャーノ・レッジャーノでも構いません。そっちの方がより高貴です。

はい?写真のパスタ、なんか汁気が足りない? 
そう、ボッテボテの超濃厚カルボにしてあります。食べづらいぐらいボテホデのコテコテ仕様です。写真じゃ伝わらないのが残念です。岩塩をガリッと挽いてチーズの濃厚さに負けない味付けにしています。コレを食べる昼下がりは至福のひと時です。

f:id:mini-mill:20170331111853j:plain

チーズグレーターなんてお洒落なものはありません。大根の卸し金でゴリゴリとやります。日本の伝統なめたらいかんぜよ! このきめの細かさを見よ。

チーズは最低でも35gは使っちゃいましょう。この写真は40gぐらいあります。出来上がったパスタにもフリフリしちゃいます。750gも買ったんだから大船に乗った気分です。ローマ法王だってこんな贅沢しないさ!

f:id:mini-mill:20170331111955j:plain

グアンチャーレなんて無いので厚切ベーコン。オリーブオイルで炒めます。油出しと香りのためにEVオイルは必要です。油と汁が十分出たら、にんにく入れて香り付けします。

f:id:mini-mill:20170331112407j:plain

ボウルにはパルミジャーノ・レッジャーノ
と粗挽き胡椒と卵黄1個を事前に準備しておきます。これらを軽く混ぜておきます。

f:id:mini-mill:20170331112639j:plain

パスタが茹であがったら、先ほどオリーブオイルで焼いたベーコンと一緒にフライパンか片手鍋で和えて乳化させます。ニンニクの香りが付いたオリーブオイルとベーコンから出た油と茹で汁を混ぜて一体化させるわけです。そのあとボウルへ投下して、手早くチーズ・卵黄・胡椒と和えて塩加減。お皿に盛ったら胡椒をガッツリ振って出来上がりです。

パルミジャーノ・レッジャーノがあればチーズリゾットも楽しめます。
サフラン(なければターメリック)で色付けして作ればミラノ風チーズリゾット、リゾット・アッラ・ミラネーゼの出来上がりです。牛肉のワイン煮込みと一緒に食べたり、魚介類乗せて食べたり、ベーコンやソーセージ焼いて乗せたり…。

f:id:mini-mill:20170401081006j:plain

リゾット ミラネーゼ Risotto alla Milanese
材料1~2人前
・米  100g
・玉ねぎのみじん切り 1/4個
・白ワイン 50cc
・ブイヨン(コンソメ)スープ  600cc
サフランまたはターメリック 色付け
・パルメジャーノチーズ 25g
・バター 40g
手鍋に、バター入れて玉ねぎ炒め、続いて米を洗わずに投入し炒めます。ターメリック入れて香り出ししたらブイヨンスープ450ml入れて煮る。水分が減ってきたら再び150ml追加して煮る。米の硬さを確認して頃合いに仕上がってきたらチーズ投入してすぐ火を止めてかき回して塩加減します。皿に盛って厚切りベーコンなどをトッピングして出来上がり。
中火で調理して20分で完成します。

どうですか。
以上、私のプチ贅沢。
パルミジャーノレッジャーノ1kgだと4,000~5,000円位ですから高級和牛ステーキ肉を買うぐらいの値段はします。コストコだともう少し安く購入できます。

たかがチーズですけれどされどチーズです。たまにはチーズがっつりの食事はどうですか?そういえばこんな動画があります。ぜひご堪能ください。
 


Ricetta  -   Spaghetti alla Carbonara  conditi su una Forma di Parmigiano

 

海原雄山「カレーとはなにか?」に答える!それは我が家のめっちゃ辛いカレーだと

お題「我が家のカレー」

f:id:mini-mill:20170327143515j:plain

カレーとは何か。

お題を利用して我が家のカレーを紹介する前に…、
これを読む方に問わねばなるまい(雄山風にw)。
かつて海原雄山が問うている。

「カレーとは何か」。

雄山は、とある店主がスパイスを独自にブレンドして作っている人気カレー店に出向き、その店の一番旨いカレーを求めます。雄山はそれを食しながら、店主に対してストレートに問いただします。
「これは本物のカレーか?」と。
「カレーとは何か?」と。
この件を発端にして毎度おなじみ、海原雄山VS山岡士郎(+店主)の対決が勃発します。

このカレー対決で、雄山は一見すると何の変哲もないポークカレーで士郎との戦いに応戦します。ところが雄山のカレーを食した審査員たちは、一様に雄山のカレーの香りの素晴らしさに驚愕します。雄山は肉に下味専用のスパイスをすり込み、それを下ごしらえで蒸し上げていました。また、またその肉に合うよう調合した専用スパイスを使いカレーをつくり、肉を煮込んでいました。

口に運ぶとカレーのスパイス。肉を食べると肉の下味のスパイス。
更には隠し味にインド本場で使われるアムチュールという酸味の効いたマンゴーのスパイスも利用していました。

 

スパイス+スパイス+スパイスという「香りの多重構造」

士郎たちのチームは、具に炭火焼きの蟹を使い、これを飯の上に乗せ、隠し味に鰹節を使ったカレーを出しました。両者のカレーの試食が終わると、雄山は士郎たちの料理を一喝し、カレーの真髄について問いただします。


「カレーの真髄とは何か?
材料に変わったものを使うことか?
肉の代りに蟹を使うことなのか?
そうではあるまい。カレーの真髄はスパイスだ、いかにスパイスと食材を取り合わせるか、それがカレーの真髄だ。味と香りを重層的に構築するのがカレーの真髄だ」と。

インド発祥の多種スパイスを用いた煮込み料理の総称

勝負は審査員たちのお情けで引き分けになりますが実態は完敗どころかボロ負け。
海原雄山からカレーについて四の五の言われっぱなしの士郎達でした。

「カレーとは何か?」

その神髄がスパイスを重層的に使って食材を活かすことにあることが理解できていなかった士郎は、雄山の問いにも当然答えられませんでした。しかし2017年の現代社会に生きる我々は士郎達とは違います。わりと多くの日本人が的確に「カレーとは何か」について答えることができるでしょう。

カレーとは何か?
カレーとは、インドおよびその周辺が発祥となる多種スパイスを使った煮込み料理の総称を、元宗主国イギリスが英語で「Curry」と呼んだのが始まりです。そのカレーを簡単に作るためカレー粉なるごちゃまぜスパイスを作り、それが世界に伝播していったもので、これをカタカナで日本風に発音したものが「カレー」です。

ここら辺の基礎知識は何らかの機会に見聞して漠然と理解したり推察している人が多いと思います。なんのことはありません。英国が植民地のローカルフードを勝手にカレーと名前付け、それが世界に広まったただけなのです。だから本場インドにはカレーという個有名称の料理はありません。プラウンマサラ、サグチキン、キーママタールetc…があるだけ。イタリアにパスタという名の固有の料理はなく、カルボナーラとかペペロンチーノとかラザニアとかの名前があるのと同様です。

カレーとは我が家のカレー

日本では北海道開墾という時代背景と、そこで生産された野菜(玉ねぎ/人参/じゃがいも)を利用することで独自に進化していったものとだということも周知の事実です。普及のきっかけについても、陸海軍が積極的に取り入れ、兵士たちがそれぞれの家庭でカレーを作ったり家族に教えたため、全国に広まったこともよく知られています。

インドを源流とする「スパイスを使った煮込み料理」の総称がカレー。
逆説的に言えばスパイス使って煮込むならなんでもカレーたりえるわけです。
赤・黄色・茶・黒・白・緑…。色なんて何色でもOKです。
スパイスを調合して作った「カレー粉」や「カレールー」を利用するのもカレーと呼んで差支えありません。インド、ネパール、パキスタンスリランカインドネシアバングラディッシュ、タイ、フィリピン、ベトナムミャンマー、英国、欧州、日本、韓国、中国、アメリカ…。本場のインド料理もカレーなら、各国オリジナルもカレーです。貴方の家のカレーも、我が家のカレーも全てカレーということなのです。

平成の世を生きる我々は、海原雄山に向かって堂々と答えます。
・・カレーとは何か?・・
それは我が家のめっちゃ辛いカレーだと。
駅の立ち食い蕎麦屋で今さっき食った黄色くて安くて不味いヤツだと。
昨晩かあちゃんが作ったけど残ったので、今朝も無理やり食わされたものだと。

基本スパイスはこれ!

インドで多用されるスパイス使って煮込み料理を作ればそれはカレー。確かにそうですがやはり基本となるスパイスがあるかと思います。で、簡易的にまとめてみます。一般的には以下のものが使われると思います。整理するとこんな感じですかね。

色味:
 ターメリック
 サフラン
 パプリカ

香味:
 クミン◎
 コリアンダー
 グローブ
 カルダモン
 月桂樹・ベイリーフ
 シナモン
 ナツメグ
 フェネグリーク
 (※ガラムマサラ)△
 (※オールスパイス)

辛味:
 カイエンペッパー(唐辛子・チリペッパー)◎
 胡椒◎
 塩◎


最低限のスパイスとしては「◎」のついたものがあればどうにかインド風なカレーができます。実際には△があればさらに良いでしょう。好きなものを好きなだけ入れて作ればよいかと思います。好みの味をつくればOKなのですから。このほか仕上げとしてガラムマサラ振ったりする人が多いです(香辛料を色々とブレンドしたカレーの源流的な総合スパイス)。1つ1つスパイス使うのが面倒だからターメリック、カイエンペッパー、ガラムマサラで作ってしまうカレーだって有りだと思います。いずれにせよスパイスに、こんにく・しょうが・塩・バター・ヨーグルト・生クリーム等が、一緒に混ざるなり下味や隠し味で使われるなりして、炒め焼かれ煮込まれてカレーになっていきます。

でもスパイス1つ1つ買ったり、量を調合するのは面倒くさいですよね。もっと手軽に作りたいですよね。だって簡単なヤツは具と水とカレーのルーで出来てしまうのですから。だから一般家庭ではルーやフレークを使ったり、スパイスが既に調合されたカレー粉で作るわけです。

私は1つ1つ個別にスパイス混ぜてつくる本格的なスパイスカレーが好きですし、バターチキンクリームやチキンティッカマサラのようなものをよく作ります。それでもたまにヨーグルトとスパイスを混ぜたものに肉を何時間もマリネして造り込みするのが面倒だなと思う時があります。ですからカレー粉+アルファで簡単に作りたくなる時もあります。その場合はキッチンにあるものを隠し味で追加して魔改造カレーを楽しみます。

 では衝撃?の我が家のカレーを紹介します。

f:id:mini-mill:20170327132510j:plain

我が家のカレーの具の定番は鶏肉。
これが一番使用頻度が高いです。豚肉はほとんど使いません。
牛肉はどうしてもビーフシチューにしてしまいますから出番なし。

さて、ここでカレーについて1つお伝えすることがあります。
私は昔インドを約3か月、パキスタンを1カ月ほど旅して、それこそ毎日毎日・朝昼晩、さまざまな地方でカレーやビリヤニを食い倒してきた経験があります。
カレーが好きで国内でも機会があればインド料理店に足を向けます。
家でも月に3度はカレーを作ります。コンビニのカレーも、カレーパンも、蕎麦屋のカレー南蛮も、日清カップヌードルカレー味もよく食べます。そんな吉田栄作よろしく「無類の」カレー好きな私が、まず最初に美味しいカレーの最大のポイントをお伝えしたいと思います。
我が家のカレーの特徴でもあります。

カレーで煮込む具は1種だけ


良い子の皆さんは復唱しまして覚えましょう。
せーの♪


カレーで煮込む具は1種だけ


はい良くできました。
具は肉だけしか入っていないカレー。
それが美味しいカレーであり、我が家のカレーなのです。
我が家では野菜(ジャガイモやニンジン)を入れて煮込みません。
ジャガイモとか絶対禁止ですw。
野菜ゴロゴロ派の皆様御免なさいまし。
肉とジャガイモやニンジンを一緒に煮込むという調理過程は存在しません。

肉とスパイス以外で鍋にインが許されるものは、汁(ペースト)のべースになる玉ねぎ&トマト缶、にんにく、しょうが、赤唐辛子、オイル、各種隠し味(ナッツペーストやメイプルシロップ等)のみです。これらは具ではありませんのでカウントはしません。仕上がりの基本な構成は「カレーの汁」と「具(鶏肉)1種」のみです。
カレーに野菜を色々と入れて作るのは我が家ではナシです。

お味噌汁に、野菜をごろごろとあれやこれや入れない、という感覚と一緒です。
スパイスを楽しむカレーに野菜をごろごろは向かないと考えるわけです。

雛はいつか巣立ち巡礼の旅へ

私の母は昔ながらの家庭的なカレーを作っていて、それを食べて育ちました。
ルーで作る肉+野菜ゴロゴロの日本カレーです。でも中学に通い始める頃にはジャガイモは抜いてくれとリクエストするようになったり、ひき肉だけのカレーを作ってくれと言ったりするようになりました。

その歳頃になると味覚がより発達し、料理の「味」への理解度が深まり、カレーの汁の濁り感や、市販ルーの風味(辛味や香り等)の足りなさがわかってくるわけです。仲間と徒党を組んで繁華街へ出かけ、専門のカレー屋へ出入りするようになると更に違いが分かってきます。人は成長と共に強い刺激を求めはじめます。そうなると母親のつくる凡庸な日本の家庭的なカレーを美味しく食べられなくなっていきます。

母親カレーに野菜がゴロゴロしているのは母の愛だと思います。
子供の健康を願う愛情です。体に良い「野菜」をたくさん食べてほしい。肉だけに偏らずバランスよい食事をさせたい。そんな思いが日本の母親カレーの結実だと思います。
これについては一切否定しません。
でも子供というのはいつしか母親の元を離れ自立していきます。
そして真のカレーを求める巡礼の旅へと旅立つのです。
それが人生であり人の定めなのですw。

単純ゆえに妥協できる隙がない、シンプルなカレーのススメ

話は戻りますが、カレーはシンプルに作るとスパイスの風味がはっきりとし、香りも高まってきます。と同時に出来上がった料理の問題点がくっきりと浮かび上がったりもします。シンプルだからこそ誤魔化しがきかない。野菜から出る旨みで云々といった妥協できる隙が一切ないわけです。

例えば「鱧の吸い物」という料理があります。そこには野菜がごろごろ入ってはいません。椀の中に鱧だけ。飾り(香り・見映え・色のアクセント)として三つ葉(or 木の芽)が浮く程度です。出汁も極めて薄味で繊細です。
シンプル・イズ・ベスト。
突き詰めていくとそこへ回帰します。

興味のある方は、ぜひ具が1種類の肉だけのカレーを作ってみてください。
シンプルだからこその良さやMyカレーの問題点などが見えてきます。

野菜の具の足し算ではなく、スパイスの足し算。

インドでも美味しいカレーと不味いカレーがあります。
スパイスの香りが際立つものほど美味しかったです。
その場合、具材はシンプルで1つしか入っていないものが大半でした。

海原雄山の言うとおりカレーの真髄はスパイスです。
インドでも、あれこれ入った具沢山のカレーは今一つで不味く感じました。
一方で具が単品のカレーは何処で食べても美味しく感じられました。

日本でもインド料理のレストランへ行くと下のように料理がサーブされませんか?
f:id:mini-mill:20170329190511j:plain
シンプルな単品具材のカレーが2、3種類ほど出てきます。
具材を沢山入れてひとまとめにするカレーはあまり見かけません。

無論私だってカレーを食べる時に野菜も一緒に食べたいです。
だから焼いたもの・炒めた物を別途トッピング式で乗せたり、サラダとして食しています。これなら野菜本来の味も楽しめます。

ちなみに野菜を楽しみたい野菜カレーや豆類のカレー(ダール)を作るときは肉を入れてはダメと言えます。

食材は以下のとおり。日本的な魔改造・辛いカレー

では、我が家のカレー(魔改造ver)を。さっそく完成写真からどうぞ。 

f:id:mini-mill:20181210082526j:plain

具は肉1種。これはチキンを煮込みました。
野菜が盛り付けてありますが、鋳鉄スキレットで無水調理して炒めた物をカレーの上にポン置きしただけです。卵も別煮のトッピングです。
あくまでカレーとして煮込む具材は鶏肉の1種のみで作ってあります。
赤唐辛子12本入っためっちゃ辛いカレーです。


鶏肉以外で使ったものは以下のものです。
まずはカレー粉。いろいろ使いましたが「インディアンカレー」、結構これが好きでイチオシです。国内で良く見かけるインド料理屋のカレーの香りが出ます。日本人好みのカレー風味が欲しい時にはSBの赤缶を少し使います。7対3ぐらいだとローラのようなハーフ美人なカレーが出来上がります。しかしこれ以上の比率はお勧めはしません。赤缶は塩と一緒にカレーチャーハン作ったりソーセージにかけて炒めたりカレーラーメン作ったりするのが本分かなと思います。

f:id:mini-mill:20170327130311j:plainf:id:mini-mill:20170327130342j:plain

野菜は玉ねぎ(大)が1個あればOKです。にんじんはトッピング扱いで後乗せです。

f:id:mini-mill:20170327132534j:plainf:id:mini-mill:20170327132532j:plain


玉ねぎは黒茶色になるまで30~40分炒める人がいますが不要です。炒めるほど甘さがでると思ったらら大間違い。10分炒めても30分炒めても実は糖度は変わりません。
ここでお勉強タイム。

玉ねぎは長い時間炒めたからといって糖度は変わらないし上がらない。

もともと玉ねぎは糖分を持っていますが、生だと辛み成分が勝ってしまい強く感じてしまう。だから熱を加えて辛味を消すわけです。その一方で玉ねぎ自体が糖分を追加で生み出すわけではありません。もとからあった甘みだけが残るだけなのです。ですから色が多少ついてきたらOKです。黒いこげ茶色のペーストになるまで炒めるより少し玉ねぎ感を残したほうがカレーには合うかなと思います。15-20分程度を目安に。
※ミートソースづくりの場合はこげ茶色ペーストにしたほうが好きです。


私も多くの人と同じで、肉の漬け込みに、赤唐辛子・にんにく・しょうが・ヨーグルトなど使います。隠し味に魔改造でココアも入れたりしちゃいます。魔改造カレーは「遊び心」が大切です。いろいろと試して見ましょう。

f:id:mini-mill:20170327012320j:plain


そしてバター、生クリーム、ローリエ、メイプルシロップ(orはちみつ)。カシューナッツをペストにして入れる時もあります。ナツメグは肉の下味によく使います。結構家庭にある確率が高いスパイスですよね。ココナツミルクは250mlパックが売っていたりします。コンソメもスープにして使います。

f:id:mini-mill:20170327132524j:plainf:id:mini-mill:20170328190123j:plainf:id:mini-mill:20170328202611j:plain

f:id:mini-mill:20170327131030j:plainf:id:mini-mill:20170329035657j:plainf:id:mini-mill:20170328185757j:plainf:id:mini-mill:20181017032200j:plain

ココナツミルクが無い時は白だしの吸い物汁を代用。昭和派の人は隠し味にウスターソースもありかな、です。

f:id:mini-mill:20170328185742j:plain f:id:mini-mill:20170328185725j:plain



私の場合ココナツミルクは必須になっています。甘みと香りが出てるから好きです。うちのカレーは赤唐辛子を沢山いれるのでその反動で甘い香りも出します。トマト缶と水1カップぐらい入れるところを、水の代わりにココナツミルクを使います。無い時は白だしの吸い物を使います。以前白だしの吸い物が残っていたので入れたら美味しかったのでたまにやります。コンソメスープも必須になっています。やはり万能選手です。ウスターは最後の隠し味に使う場合があります。高度成長期の昭和的な日本カレーならではの隠し味にはコレが効きますwww。

それからスパイスやカレー粉で作ると、ついつい忘れがちなのが「塩」。
肉の下味で塩をしっかり振っているなら不要ですが、意外とこれが足りなくて味が決まらない人も多いと思います。とにかく仕上げの確認で味見を忘れずに。何か足りないと思ったら、九分九厘「塩」です。

そして留めはコレです。

f:id:mini-mill:20170329000717j:plain

ティースプーンで軽目を1さじ。バリッとした辛みが立ちます。お好みでどうぞ。我が家では赤唐辛子をたくさん使ってカレーを作りますので十分辛いカレーになっていますが、これ追加するとさらにグッときます。

作り方は簡単。18~20cm片手鍋が1個あれば調理出来ます。

1) 肉の準備

鶏肉(もも肉なら)700gに塩と胡椒(ホールをガリガリ挽くヤツか粗挽きコショー)とニンニクと生姜とカレー粉を振りかけてしっかりモミ込む。カレー粉は小さじ3杯ぐらいをサササとかける。インディアンカレー2:SB赤缶1が良い感じ。ハンバーグをよく作る人ならナツメグとか持ってませんか?。もしあればカレーに合うのでモミ込みするときに一緒に適量投入してみてください。辛いのが好きな人はチリペッパーも。スパイスをモミ込んだら10分ぐらい肉を寝かせなじませます。

その後ヨーグルトかけて軽くグチャ混ぜします。
ヨーグルトはレンゲで軽く2~3回すくってエイッとぶっかける感じです。肉にまんべんなくまぶしましょう。そして2時間ほど寝かせます。肉は大き目のざく切りです。それからヨーグル肉は1日とか長い時間寝かせ過ぎないこと。柔らかくなりすぎでかえってダメ。ちなみにパプリカとレモン汁を追加して焼けばチキンティッカです。

まとめ1
・鶏肉700グラム用意
・塩、胡椒、カレー粉、ニンニク、生姜、ナツメグ (辛いの好きならチリペッパーも)
・モミ込みして10分寝かす
・ヨーグルト投入して2時間寝かす

f:id:mini-mill:20170329053642j:plain
写真は塩・コショウ・ナツメグ・カレー粉・ニンニク・生姜・ヨーグルトをまぶした鶏肉

 

2) ソース(汁)の元を作る

家に転がっている片手鍋にオリーブオイルをぐるぐるっと3巻き投入。
量は適当です。火力は弱中火キープ。
そこへ玉ねぎみじん切り1個半分を投入し、そのまま15-20分程度炒めます。それを一旦鍋から取り出して、次に微塵切りしたニンニク1かけら、赤唐辛子の輪切り(我が家では12本ぐらいガツンと)、しょうが(チューブで5~6センチ程度にゅ~っと) を投入。赤唐辛子は中に入っているタネも辛味が出るから、もったいないので入れましょう。続いて「インディアンカレー」のカレー粉をレンゲで1杯程度(大さじ2杯ぐらい)をドバッと投入してさらに1分ぐらい香り出しで炒めます。他に追加したいスパイスがあればここら辺で一緒にどうぞ。鍋にいためたタマネギを戻してペースト状のベースを作ります。

まとめ2
・鍋にオリーブオイル
・玉ねぎみじん切りを投入して世を中火で15-20分炒めて取り出す。
・再びオリーブオイル入れて、にんにく、しょうが、赤唐辛子を投入し軽く炒める。
・温度は低めでニンニクの香りををオイルに移す
・生姜と唐辛子は焦げやすいのでニンニク炒め後に入れて辛さをオイルに移す
・カレー粉入れて炒め香り出しする。最後に炒め玉ねぎと合体してペースト作り完了。
・ペーストは一旦取り出す
f:id:mini-mill:20170329053553j:plain
激辛好きなら赤唐辛子を沢山いれましょう

 

3) 肉と汁気を投入で煮込み開始

2のペーストが出来たら取り出し、漬けこみヨーグル肉を鍋にそのまま全部投入。
3-4分程度炒めて焼き目を付けたら、2のペーストとトマト缶1缶投入。
1缶丸々ではなく3/4ぐらいにするとトマト味が少し控え目になりカレーの味が引き立ちます。ここら辺は好き好きですが、基本としては1缶です。
同時にローリエを火で軽くあぶって折ってから2-3枚ほど投入。
さらにココナッミルク200~250ml、コンソメで作ったスープ150~200ml投入。
コンソメは顆粒の物を用意すると良いです(ブイヨン可)。ティースプーン1杯ぐらいでしょうか。コップのお湯にサササッと入れて箸でクルクルします。コンソメの代わりに白だしで作った吸い物でもOK。

割とシャバシャバな状態から煮込み開始。
最初は強火でボコボコ沸騰させて煮込みます。このポイントは大切です。トマトの酸味を飛ばすためで、のちのち味が良くなります。しばらくしたらトロ火にして20~30分ぐらい煮込みます。蓋はしても半分は開けておき、水分を飛ばして煮込んでいくようにします。

まとめ3
・鍋に漬けこみ肉投入して軽く炒め、2のペーストとトマト缶1個投入。
ココナツミルク200-250mlとコンソメスープ150-200mlも入れます。
ローリエ入れて煮込み開始。蓋を少し空けて水分を飛ばしていきます。
・最初はボコボコ沸騰させましょう

f:id:mini-mill:20170329054557j:plain
鶏肉を炒めたら、2のペーストとトマト缶も入れて…

f:id:mini-mill:20170329054345j:plain
ココナツミルク、スープを投入

 

4) 隠し味投入と塩味確認

20-30分ぐらい煮込んだら各種隠し味の投入タイムです。

まとめ4
・無糖ココアパウダーをティースプーンで2杯。
・甘みを出すためメープルシロップかはちみつを適量(大さじ1程度)。
 ココナツミルク使う場合、味見して不要と感じたら入れなくて良い。
・「塩加減」をする。足りなければ塩少々。
・味を整えたら追加で15-20分煮込む。
 煮込み時間を調整し、お好みのシャバ感・ドロリ感を出していく。
 初日は少々シャバシャバ、翌日はドロリを楽しむのが2度おいしいパターン。

f:id:mini-mill:20170329054510j:plain

最初は黄色だったカレーも表面に油が浮き、トマトや辛子の赤みが出てきます。

5) 最後の仕上げ (大人の辛口カレーとしてカイエンペッパーも)

そこそこ水分も減ってお気に入りのシャバ感・ドロリ感が出たところで、

まとめ5
・仕上げのバター40~50グラムを投下して溶かしこむ。
・生クリームも100mlぐらい投入。
 カレーが上手に出来ていたらもう他の隠し味は不要です!
・カイエンペッパーを小さじ1杯追加するとホット割増です!
 お好みで調整してみてください。

f:id:mini-mill:20170329054855j:plain
写真はバターとクリームを入れたところ。これでほぼ完成。

6) 米で喰らう。黄色い米で喰らう。

米を炊く。できればターメリック入れて炊きましょう。そこにトッピングの焼き野菜など乗せれば完成です。ライスは堅めに炊きます。うるち米でもよいのですがインディカ米だとかなりインドな気分になります。

盛り付けについて。
ウチではお米の上にカレーをドバドバかけないようにします。皿半分にライス、皿半分にカレーの住み分けスタイル。もしくは皿には米のみで別の器にカレー分離スタイル。あるいはカレーを最初に皿に万遍なく敷き、その上にお椀等で形を整えたライスを置く。とにかく汁を米全体にかけてベチャベチャにしないのが我が家のスタイル。
皿に盛ったカレーに生クリームをかけるとさらに良い感じになります。 

我が家のカレー・魔改造verの要約

印・英・日の三位一体的なカレー

・(調合が面倒な時は)カレー粉を使う

・イギリスで人気のチキンティッカマサラ(バターチキンクリーム)をやや意識w

・独自の魔改造で、めっちゃ辛いカレーを楽しむ


赤唐辛子12本ばっちり入ってるのでバリ辛です。
仕上げのカイエンペッパーで更に辛さが立ちます。
ただしバターとクリームも仕上げに使うので濃厚なマイルドさも。
ココナツミルクの香りと甘さがかすかに残ります。

具である鶏肉の煮込みをしっかり楽しむカレーであり、印・英・日の三位一体的な辛口カレーです。調理方法は鍋煮込みを基本としますが、変形としてはすべて深いフライパン(ソテーパン)で行う方式もあります。最初にヨーグル肉を炒めチキンティッカを作る。取り出したら、オイル+玉ねぎを炒め、さらに唐辛子+にんにく+しょうがカレー粉を投入して炒めた後、トマト缶とココナツミルク入れてフライパン1つで炒め煮込む。最後にバターとクリームを少量・適量加えていく。1-2人前とか少量作るの場合は鍋煮込みよりソテーパンとかウォックパン使うスタイルの方が手早いです。

追記 炊飯器でつくる日本式の母親カレー!

色々書きましたが市販で大好きなカレールーもあります。
たまには日本スタイルのオーソドックスな家庭カレーを楽しむ場合もあり、その際は肉のほかに玉ねぎと人参を大きくカットして入れた、野菜ゴロゴロの日本式ママカレーを作ります。

作り方は簡単。
・肉と野菜を1口サイズにトントン切って電気炊飯器に入れる
・水を適当に入れたら、標準の炊き方でスイッチオン。

水の量なんて面倒だからいちいち計りません。
具が水面から1.5cm隠れるぐらいの量をアバウトで入れておけば問題なし。
準備はたった3分で完了。
汚れるものは包丁とまな板のみ。

50分~60分後には炊飯完了→保温になります。蓋を空けて、適量のカレールーを入れて、再び蓋して保温のまま5分待ちます。5分後にはルーが溶けているので、あとはよくかき回して完成です。炊飯器は軽く圧力が掛かっているので、肉も野菜もめっちゃ柔らかく仕上がります。鍋を使って煮込むのがアホらしくなりますよ。味だって鍋で作るよりワンランク上の仕上がりになります。お米は片手鍋で炊きましょう。そっちの方が美味しいですから。

一番のお気に入りは「横濱舶来亭BLACK辛口」です。
これで作っておけば間違いなしというカレーフレークです。
ハウス食品の激辛や夏季限定も好きです。

f:id:mini-mill:20170329001211j:plain

f:id:mini-mill:20170329001216j:plain

f:id:mini-mill:20170329001208j:plain

 

ペリカン万年筆スーベレーンM800 緑縞 90年代モデル

お題「お気に入りの文房具」

f:id:mini-mill:20170315035336j:plain

定番中の定番。これだけは手放せない唯一の文具

お気に入りの文具は「ペリカン スーベレーンM800 緑縞 M 中字」です。
20年以上愛用しています。パソコンやスマホタブレットのおかけで出番はめっきり減りました。それでもたまに目的もなく文字を書いたりします。

万年筆に詳しい方ならこのモデルの説明は不要ですね。
モンブランのマイシュターシュテックを越えて、今や万年筆の代名詞という存在。
万年筆と言ったらコレでしょ、という定番中の定番です。

1996年にアメ横の中にある舶来品取扱いのショップで購入しました。
ミーハーな私はモンブランのマイシュターシュテックを買うつもりでしたが、当時勤務していた会社の支店長がこちらの万年筆の青縞を使っていて、試しに使わせてもらったところ、大変書きやすかったのでスーベレーンM800が第一候補になりました。

 

対応の良い現地法人

現地法人であるペリカン日本は当時、上野・御徒町に事務所がありました。
私が務めていた会社も御徒町秋葉原の中間あたりに位置していました。購入するのはアメ横内のショップだし、何かトラブルがあっても現地法人事務所まで歩いてすぐ行けるしと、そんな安心感も背中を押し、この緑のスーベレーンを買うことになりました。

購入してからは毎日スーツの内ポケットに刺し、ガンガン使い倒しました。
しかし使い方が手荒いので、案の定ペリカン日本へ出向くことになりました。
本体首軸のプラスチック製ネジ部の破損修理や、キャップの口が緩くなって本体にピタリとかぶらなくなってしまったのを調節してもらいました。

ペリカン日本の事務所に持ち込むと不具合はあっという間に治してくれました。
痛んでダメになったパーツもビニール袋に入れて返してくれます。
親切に対応していただき、やはり輸入総代理元はいざという時に対応が全然違うなと思ったものです。

 

60年代には万年筆の生産中止→80年代に再開もマニア向け

私が購入した90年代中頃当時のペリカンは、ドイツの老舗とはいえども、文具好きや万年筆好きな人以外にはあまり知られていないブランドでした。万年筆に興味のない一般の人々にとっては「何それ?どこの国のメーカー?」といった具合です。トップブランドのモンブランに肩を並べるような知名度は全くありませんでしたし、それどころかパーカー、ウォーターマン、クロスといった米国勢、国産ブランド勢の後塵を拝していました。

万年筆は60年代~80年代にかけてボールペンにマーケットを奪われて嗜好品のような位置づけになっていました。実はペリカン自身も1960年代~1980年代にかけて万年筆の製造を中止していました。長らく万年筆界から姿を消していたわけですから知名度もへったくれもありません。一般の方にとっては知らなくて当たり前のブランドでした。ペリカンは80年代に入ってようやく万年筆の生産を再開するわけですが、ドイツの老舗という肩書や、柔らかなペン先のタッチを好む人達に向けて限定生産品を販売するマニアックなブランド、というイメージが強かったです。1987年に入って初めて生産が開始されたスーベーレーンM800にしても、私が購入した当時はまだまだ歴史の浅い新参モデルの1つでしかありませんでした。

 

1997年、万年筆人気投票で一躍スターダムに

しかし1997年、ペリカンに大きな転機が訪れます。
ドイツの万年筆愛好家向け専門誌「スクリプタム」が企画して行なった人気投票でペリカンのスーべレーンM800・緑縞が堂々の第一位を獲得し「ペン・オブ・ザ・イヤー1997」の栄冠に輝いたのです。その圧倒的な支持と評価はあっという間に世界へ轟きました。

それ以降のペリカン知名度もどんどん上がり人気が沸騰、現在の不動の地位を確立していきました。芸術性の高い高額な限定生産品はもちろん、通称ペリスケというあだ名で知られるスケルトンタイプのデモンストレーターという商品が飛ぶように売れるトップブランドになり、いまでは万年筆といったらモンブランと共にペリカンの名前が代名詞として挙がるほどのメーカーになりました。

ドイツ「Scriptum」誌は高級時計専門雑誌で著名な「クロノス」の別冊・筆記具版として1996年から2000年まで毎年1回発行されていました。この雑誌が1997年に企画した人気コンテストで堂々の第1位となったのがスーベレーンM800緑。ドイツ老舗ペリカンの再評価・復活と人気沸騰は話題となりました。

f:id:mini-mill:20170318001314j:plain


f:id:mini-mill:20170315095933j:plain

f:id:mini-mill:20170315094455j:plain

こちらの写真は私の所有するM800です。
古いタイプの天冠には、金色の金属メダル上に黒で大きな母親ペリカンと小さな子供ペリカン2匹(母親ペリカンのお腹の先にある黒い2つの点)が描かれており、マニアには「双子天冠」と称されています。現在販売しているものとはこのキャップの天冠の部分が違います。ここ最近のモデルは下の写真のように金属のエッチングに変更されています。

f:id:mini-mill:20170316120034j:plain

オールドスタイル(1987-1997)

既述のとおりM800は1987年に製造が開始されました。80年代後半に生産された最初期モデルはキャップリングに西ドイツ製である「W-GERMANY」の刻印があり尻軸の底部に金色の金属プレートが奢られていました。ニブは14金だったようです。90年代に入るとニブは18金へと変更され、刻印はドイツ統一後に「GERMANY」の刻印となりました。私の保有しているM800は東西統一後に作られたもので、まさにペン・オブ・ジ・イヤー1997を獲得した当時のモデルとなります。真鍮メダルトップ、双子天冠、18金ニブという組み合わせです。

下の写真をご覧いただくとM800の変遷が良くわかります。ドイツでは一番左と左から2つ目の1987年~1997年までの真鍮メダルトップをオールドスタイルとしているようです。1997年までのオールドスタイルは重量が28.7 g。1997年以降は重量がわずかに増えて29.3 gになっています。

https://www.pelikan-collectibles.de/de/Pelikan/Modelle/Souveraen-Serien/M800-Basis/Pelikan-M800-Logo-de.jpg

ペリカンのスーベレーンは書き具合のタッチがとても柔らかく、ヌラヌラと気持ちよくペン先が走ります。私は中字のМを選択しましたが他社のBぐらいありそうな太さです。この柔らかさと太目の文字がペリカンの万年筆の特徴でもあります。

近年はPCのキーボードをカチャカチャしたり、スマホタブレットを指でスルスルすることばかりで使用頻度は落ちていますが、それでもつい先日ニブをクリーニングしました。気が向いた時にはぼちぼち可愛がっています。

 

メンテナンス性が抜群

ペリカンはニブを手でくるくると回して簡単に本体から分離できるのでメンテナンス性に優れています。他人に万年筆を勧めする時はいつもペリカンのスーベレーンM800を推しています。私自身、数ある筆記具の中で一番好きな道具ですし、20年以上使っていて一向に飽きがきません。少々値段は張りますがモンブランほどではありませんし、文具屋から高級ブランドへの脱皮に必死なモンブランより遥かに好感が持てます。万年筆の購入を検討されている方はぜひスーベレーンをご検討ください。
男性にはM800、女性には少し小さいサイズのM400がお勧めです。