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砥石屋さん初体験。一竿子忠綱の牛刀購入記。

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東京は上野御徒町清洲橋通りの砥石店「坂井砥石」さん。「一竿子忠綱」特約店。おすすめの包丁は?

エースの牛刀が引退! 風雲急を告げる!

約15年の長きにわたり我が家のキッチンのエースを務めた本格派右腕が、ついに引退する日がやってきました。グレステン牛刀。正式名:ホンマ科学「グレステン・ハンドル一体型プロ用Mシリーズ721TM」。愛知製鋼のACTO440という鋼材で造られたステンレススチール製・刃渡り210mm。入団以来、先発・救援・中継ぎ・抑えを一人でこなしてきたウチの背番号18番、百戦錬磨のつわものです。

錆びないことをよいことに、洗い桶につけっぱなしは当たり前。シンクや食洗機に放り投げるのも日常茶飯事。しかし、どんなにひどい仕打ちを受けても、文句一つ言わず、黙々と仕事をこなしてきました。肉野菜は言うに及ばず、釣ったイカを捌くのも、市場で買ってくる大きな鯛を卸すのも全部こなしてきました。思い出いっぱいの頼れる大黒柱です。しかし、いつしか疲労は貯まる一方で「もう俺も若くはないさ」という声が日に日に増してきました。気が付くと、先端部の切っ先は欠け、鍔の口金は経年劣化で変色し、刃先が砥ぎで上がり、ウロコ(平のくぼみ)近くまで迫ってきました。

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酷使して疲れ果てたエース。口金も変色してます。
重層入れたお湯に漬けてシュワシュワしないと取れないです。

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切っ先は、欠けたというより折れた、に近い状況です。
欠けた刃はどこへ行ったのでしょう。考えたくもありません。


まさに台所事情。

アフターサービスの良さがグレステン購入理由の1つでした。包丁は永久保証になっています。ホンマ化学に送れば有料ですが修理もしてくれるし、しっかり砥いでくれて完全復活できると思います。グレステンはハマグリ刃という特殊な刃付けになっていて、手砥ぎでしてくれます。

うーん…、さてどうしたものか。
あれだけ刃欠けしていると修理扱いとなるはず。往復の送料も馬鹿になりません。送料と修理代で5,000円位はかかるでしょうか。そうであれば、その予算を新しい包丁へ回したほうが良いのではないか…。
先日買った和包丁が頭をよぎります。
このままの流れで柳刃と薄刃を獲得し、ローテーションを早急に確立したい。
しかし球団としては今ここで1人3役をこなしてくれる大黒柱の喪失は痛い。
それに薄刃や柳刃は高価な年俸を要求する選手。
今すぐ契約はできそうもない。
仕方がない。
まずはエースの牛刀を買い替えて投手陣の体制を立て直すしかないか!
(なんのこっちゃ)


さよならダルビッシュ有、こんにちは大谷翔平

様々な食材をこなす我が家のエース「グレステン牛刀」。カタカナ+漢字の名前に倣って例えるなら、様々な球種をこなす本格派「ダルビッシュ有」といったところでしょうか。グレステンもダルビッシュ外国製のように思えますが、生まれも育ちも日本製。
そうなると次に球団の顔として迎える新しいエースは当然「大谷翔平」でなければなりません。名前は全ての文字が漢字になっている包丁になります。日本橋木屋エーデルワイスなんていう包丁はダメで、同じ木屋でも團十郎じゃないとなりません。無論ヴォストフやヘンケルス・ボブクレーマーモデルなどという外国人選手は論外です。日本の牛刀包丁は関東が発祥・本場だったらしく、そうであれば、今回は関東の包丁屋さんor関東で造られた包丁を購入したい気分になります。

さっそく候補をピックアップしました。まずは有名処から。

・正本総本店
日本橋木屋
・子の日
・杉本
・築地正本
・築地有次
・東源正久
・かね惣
・吉實
・うぶけや

東の包丁屋さんだけでも沢山あります…。
さらにトンカントンカン自前の鍛冶場で誂えている工房も。

・藤原照康刃物工芸
・正宗工芸美術製作所
・五香刃物製作所
・加藤鍛錬所
・八重樫宗秋打刃物製作所
・菊和弘

正本や木屋が百貨店に並ぶようなメジャーレーベルなら、こちらの鍛冶鍛錬を実際にこなすメーカーはインディーズ系と言いましょうかw
これまた、わさわさと出てきます。
そのほかに沢山の専門店があります。
協同組合京浜刃物専門店会の各社は名品やオリジナル商品が置いてあります。
そして日本を代表する食の問屋街、合羽橋道具街。
かまた刃研、鍔屋、ユニオンコマース、釜浅商店、松井刃物…。
合羽橋にはツヴェリングのプロセンターもあります。

合羽橋へGO! ブランド、OEM、オリジナル入り乱れ

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10年、15年と使うものですから、手になじまないものを買っても仕方がありません。
ということで、我が愛車を走らせて、やってきました合羽橋
一日中居ても飽きませんよね、ここは。
正本総本店、杉本、築地有次、堺孝行、藤次郎、フジタケ、ツヴェリング、ヴォストフ、ビクトリノクス、グレステン、グローバル…。これでもかというぐらいに包丁が置いてあります。釜浅商店に入るとショップオリジナル包丁がずらり。外国から来たと思われる方々がどんどん買い求めていました。「この柳刃は堺?」と尋ねてみると、店員さんから鍛冶屋さんは誰それ、砥ぎ屋さんは誰それ、と堺の伝統工芸士さんの名前がすらすらと出てきました。至れり尽くせりです。

さて、私が買える牛刀は予算からいって、伝統工芸の打ち刃物のように鋼材を叩いて成形していくのではなく、板をガチャンと型で抜くか切断して形を作り、それを焼き入れし、機械でガガーッと砥いで仕上げるタイプだと思います。で、洋包丁の標準的な製造工程はだいたいこんな流れかなと。 ↓

こちらのサイト、とても分かり易いです
www.seki-houei.jp

牛刀は似たようなデザインが多く、まるで瓜二つのようなモノがあふれています。
結構OEMで作られており、元は一緒なんてこともよくあります。
つまり関東で包丁を買っても、作っているのは実は堺だっり、関だったり、三条だったりすることが多々あるわけです。まあどこで作られていようと製品がしっかりしていれば問題はありません。

なかなかビリビリしない関東勢

実際にいくつかの包丁を手にしてみました。
何本か持ち比べていると判断の軸になるようなものが出来上がってきました。
「杉本」「正本総本店」「フジタケ」あたりは好感触。
さすが有名処。ただ良いなと思う品物はお値段もそれなり。
また、刃物は長年使い込んで馴染んでから違いも分かってくるものだと思いますから、
ちょいとその場で握っただけでは判断は難しい部分もあります。
さてどうしたものか。もう少し他も見たいよな。
木屋、吉實あたりでビビッとくるようなものが見つかればいいけど…。
堺北辰の時は砥ぎ教室の教材用ペティですら手にビリビリくる感覚がありました。
また、あのような「コレだ!間違いなし!」という感覚が欲しい。

色々と見ているうちに本来欲しかった柳刃や薄刃が欲しくなってきました。
今一つ納得のいかない牛刀買ってもしょうがないし…。
そうであれば、また堺の和包丁が欲しい。
と、そこで、はっと思い出しました。
東京の砥石屋さんが堺の某老舗包丁屋の特約店になっていることをネットで見聞した記憶が蘇ってきました…。たしか上野か浅草だったか…。
車に戻ってドライバーズサポートデスクに繋ぎ、調べてもらいます。

「お待たせしました、BMWドライバーズサポートデスク、担当〇〇です
「『上野砥石をネットで調べてください」
「はい、承知しました。…。坂井砥石、森平という2社がございます」
「坂井砥石のほうだ。砥石って社名に入っていはず。とりあえず車にその情報送ってください」

センターから情報が届きディスプレイに表示されました。


「白紙の2号だけで作った水焼きした牛刀ありますよ」 

合羽橋から車で2~3分。
目と鼻の先にその砥石店はありました。

坂井砥石
 堺打刃物 刀匠 一竿子忠綱 特約店

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清洲橋通りに大きな看板が出ています。
生まれて初めて体験する「砥石屋さん」です。
初体験というのは何事も楽しいものです。
コンクリ造のビルに何故か古めかしい木製の引き戸。
ガラガラガラーッ。戸を開けました。
すると「いらっしゃいまし」の声。
お江戸言葉が聞こえてきました。

事前に電話で連絡しておきました。
「包丁も扱いがあると伺ったのですが…。」
「はい、堺にある一竿子忠綱の包丁を取り扱っています」
「それはカタログ販売ですか?それとも実物は置いてあったりしますか?」
「売れ筋の物については在庫がございます」
牛刀と柳刃と薄刃を検討していることを伝えると、
「柳刃は九寸も尺もございます。牛刀も白紙の2号だけで作った水焼きのものがあります。うちは一竿子忠綱しか扱ってませんが日本でトップクラスの包丁専門店のものです。ぜひ一度お越しください」
白紙2号の全鋼牛刀に霞の柳刃包丁
前回入手した堺の和包丁で白紙鋼の切れ味は十分承知しています。
俄然、期待が高まります。
値段を聞くと庶民が家庭で使うグレードならどうにか買えそうな価格です。
今日は大丈夫かと聞くと、是非どうぞ、とのこと。
合羽橋で買い物を少々してからお店に伺いました。

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一竿子忠綱 別打 牛刀 八寸 これが大谷翔平だ!

お店に入るとご主人がさっそく包丁を見せてくれました。
まずは牛刀の210mmです。
うっとりするようなヘアライン仕上げの綺麗な包丁が出てきました。
控え目に銘が売ってあります。
「刀匠一竿子忠綱 別打」
安来鋼白紙2号だけで造った全鋼タイプ。
高価な和包丁のように、鋼材を熱して鍛造成型し、土盛りして焼き入れし、水で冷却する所謂「総火造り・水本焼き」とは違いますが、合わせ包丁や割り込み包丁ではなく、1種類の鋼材だけで作られている全鋼タイプであること、水焼き入れしてあることに違いはないそうです。この白紙鋼の牛刀は若干「甘め」に焼き入れしてあるそうです(硬さをすこし落として粘りを出し、刃欠けしにくくするため)。いざ包丁を手にしてみました。すると…。

あれれれ。
ビリビリきません。
「これじゃない」感が手から伝わってきます。
見た目も良いしスパスパ切れそうな感じで、バランスも悪くありません。
しかし細身の牛刀で少し軽すぎるようです。
うーん、もう少しだけ重さが欲しいかも…。

そもそもこのサイズじゃないのか…。
気を取り直して8寸240mmをリクエストしました。
すると箱から出きたのは一回り大きな立派な牛刀。
たった1寸ですが3cm長くなりますから迫力が数段増します。
おっ、今度は良さそうだ。
ぱっと見だけでわかります。
刃と柄のバランスもより調和しています。
見た目の佇まいからして違う
そっさく手にしてみると…

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きました、きました、この感じ。
長さ良し、重さ良し、バランス良し、スタイル良し。
これだ!
これなら大事な試合のマウンドをまかせられます。
超イケメン包丁。名前も漢字のみ。
まさに君こそが大谷翔平
我が家のエース牛刀に相応しい!

当然和包丁もチェック 20年モノのベテラン選手も登場

続いて柳刃の白紙霞包丁9寸(270mm)を見せてもらいました。
やはり牛刀のように長さの割に軽く感じました。
柄が朴の栗型タイプが付いていました。私はなぜかこの丸っこい柄が嫌い。
朴の八角だったら合格でした(無論交換も可能とのことでしたが)。
続いて青紙鋼の薄刃包丁(関東型)も見せてもらいました。
こちらは手に持った瞬間、堺北辰のようにビリビリきました。
ただしお値段のほうもビリビリと痺れさせてくれます。
実際に買うなら白紙バージョンですがそれでもかなりお高いです。

白紙2鋼の別打牛刀は握っているうちにどんどん手になじんできました。実はグレステンを使っていると「もう少し刃渡りが長くてもよかったかな」と常々思っていました。
今度は240mmですから間違いありません。
お店のご主人もこの牛刀の愛用者で「コレを見てください」と。
出てきたのは20年以上使い込んでペティのようにチビたベテラン包丁。
「使い続けてこんなになりましたが未だにこれ使ってます。全鋼だからこんなになっても使えますし切れ味も変わりません」。
満足できる牛刀があったので、ますば最初の計画に添ってこの八寸牛刀を求めることにしました。色々と相談してその日は一旦引き上げ、翌日に再びお伺いして購入という運びとなりました。

一竿子忠綱さんは堺にある老舗の包丁屋さんです。堺では、鍛冶屋、研ぎ屋、柄付け屋、名入れ(彫り)、問屋、販売店等が混然と存在し、分業制になっているのが特徴です。各社が街全体として包丁づくりのネットワークを高度に築いています。堺の包丁は製品が各工程によって複数の手に渡ることで、品質の多重チェックが自然と入るシステム。そのためブランドや銘に関わらず、高品質なものを安心して買えるのが強みと言えます。一竿子忠綱さんも鍛冶屋さん等にOEMで刃材を造らせているお店です。電気炉で焼き工程作業などもできるようです。堺の刃物製造会社で牛刀をメインにしている会社があり、そこの牛刀と一竿子忠綱の牛刀のシルエットがそっくり。多分その会社でベースを作っているのかなと思います。関東の刃物店オリジナルでも同じシルエット・口金の包丁が散見されますので多分間違いないと思います。刻銘は変わっても堺生まれ、日本各地のプロである刃物販売店各社が自社の銘を打って販売するものですから、品質は間違いなしでしょう。

砥石屋さんで買うと、付いてくるものがあります

翌日も電話して決めた時間に伺いました。包丁研ぎを教わるためでした。
包丁というのは研いで使う物です。新品で購入した時だって一緒です。
ちゃんと刃付けをしてからでないと本来の性能は発揮できません。
自分で砥いでも良いのですが、せっかくの良い包丁を購入するわけですから、上手なプロにしっかり砥いでほしいし本来の切れ味を堪能したいですよね。包丁を買う場合はその場でちゃんと砥いで刃付けしてくれるお店かどうかも大事な選択肢の1つです。
坂井砥石さんならこれ以上は望めないような最高の刃付けをしっかり行ってくれます。

お店に着くと既に包丁がカウンターの上に用意されていました。
支払いを済ませると、さっそく「砥ぎ」が始まりました。
こちらの砥石店ならではの極意というかノウハウを教えてくれながら、我が大谷翔平くんを砥いでくれました。沢山の砥石を使っていました。私はじっと見聞きしながら、使う番手や手法などメモしました。また要所要所で刃の状態を直接触らせてくれ指で感触を体感させてくれます。ここでは書けませんが、あ~なるほどね、と思う点が多々ありました。

砥石屋さんで包丁を買うと、このような砥ぎ指導の特典が付いてきますので、とてもお得な買い物となります。そしてなによりもうれしいのが、良い砥石で砥いで仕上げてくれることです。材質が確かで素性のはっきりした良い包丁も、上手な研ぎの技術が無いと活きません。そしてその技術を最大限に活かすのが良い砥石、というわけです。砥石屋さんに置いてある天然砥石ですから、鋼材との相性だってバッチリのもを使ってくれます。

新品の包丁なのでチョイチョイと作業してさっさと終わるのかと思いきや、相当長い時間かけて砥いでいただきました。正直言って「ここまでやってくれるのか」と同時に「ここまでやらなければ正しい刃付けにならないのか」と勉強にもなりました。
ここでは詳細の値段は控えますが、驚くような値段の天然砥石で見事に砥ぎあげてくれました。一般家庭で使う包丁は、まずこのような高価な砥石で砥ぐことはありません。天然砥石も本当に質の良いものはどんどん採石できなくなって価格も高騰しているそうです。
で、下の写真が長い時間かけて仕上げ、ようやく完成した包丁です。

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この美しさをご覧ください。大谷翔平のようなイケメン包丁です。
ただし美しさは今だけ。自分で砥ぎはじめたら、そりゃもう滅茶苦茶になるでしょうw

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刃先の仕上がり、切れ具合をチェックしています。
砥いだ時に残る極めて細かいバリを取り除く意味合いもあります。
伝統工芸スクエアで包丁買った時も工芸士の方が新聞紙でこれをやっていました。
受け売りで、私も家で包丁砥いだら同じ所作を真似していますw

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f:id:mini-mill:20170512065451j:plain刃のブレード本体と口金はサンドイッチで張り合わせた?ような作りです。
綺麗な作りですが、刃と口金の一体成型ではありません。

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聞くのは忘れましたがもっと長い尺とかあるのかな…。
尺・300mmバージョンあたりでデカいキャベツをバリバリ千切りしてみたいw

f:id:mini-mill:20170510082921j:plain別打、別誂、別製、別撰…。何故か包丁屋さんはやたらと「別」が好きですw

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どのメーカーの牛刀も、チラ見しただけでは大して変わり映えはありません。
大別としては、錆びてしまう炭素鋼 or 錆びないステンレスかの違いがあるのですが、現在はステンレス鋼の牛刀が大勢を占めています。牛刀や三得は包丁のマーケットでメインストリームですから、価格競争も厳しいと思います。OEM製品が幅を利かせているので実際に作っている出所は一緒だったりするようなケースが多々あります。ですから、何を買うかだけでなく、プラスアルファが大切になってきます。

・何処で買うのか。
・メーカーから買うのか。
・作り手の職人さんから直接買うのか。
・ネットショップやオークションで買うのか。
・木屋や有次のような老舗ブランド店で買うのか。アウトレットか。
・近所の刃物屋さんで買うのか。合羽橋問屋街で買うのか。
・それとも砥石屋さんから買うのか…。

そして、いったいどのような利点があるのか。
坂井砥石さんに来て逡巡したのは、相性の良い仕上げ砥石の1つも一緒に買って研ぎも上達しないとならんよな、ということでした。当たり前のことですが、やはり包丁のキレは研ぎ方と砥石が大切なのだと改めて思いました。またこちらの砥石店に伺って、今度は勧められた砥石を買ってみるつもりです(後日談:白紙鋼に合うお勧めの仕上げ砥石も買いました!)。

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f:id:mini-mill:20170512073731j:plain箱がシャレオツですよね、一竿子忠綱さん。
銀に金文字。黒箱の内側は真っ赤。
他の包丁屋さんもこのセンス見習ってほしい。

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新旧エースを並べてみました。
一目瞭然。この迫力。
大谷翔平は若くて大きくて格好良いのです。
既出の「見た目の佇まいからして違う」というのはこのことです。
グレステンは自己流で切っ先を直して使います、海釣りのお供として。
釣りシーンこそステンレス包丁の活躍の場、一番の見せ所です。
少し短くして洋出刃or身卸し出刃っぽい感じにしようかな…。

奥の深い砥ぎの世界。不思議な切れ味。

さて、大谷翔平の肝心の切れ味はどうなのか…。
人参や大根など硬い根野菜を分厚く切ってみました。
途中で野菜がバリッと「割れ」たりしません。
食材の最後まで気持ちよく刃が入っていきます。
根野菜を切る場合、刃が厚かったり、切れ味が悪かったりすると、最後まですんなりと切れず、野菜がバリッと割れたりします。しかしこの包丁なら根野菜も綺麗に縦割りや輪切りができます。
ただし今まで味わったことのない不思議な感触です。
荒々しくズバズバと食い込で噛みつくような鋭さではありません。もっと上品で滑らかに切れている感覚です。これは超高額の天然砥石で仕上げてもらった今だけの限定だと思います。お造りの断面のツヤにこだわる刺身や、野菜を切った時の断面の滑らかさや食材の角の立った食感を楽しみたい場合は、このような徹底した仕上げだと最高でしょう。ただし油分の多い皮の付いた鶏もも肉や脂ののった魚を丸ごと捌いて切り分けるような場合は、もっと荒い中仕上げ程度の荒い研ぎの方が、かえって切りやすいかもしれません。刃の形状、鋼材、砥石、砥ぎ方、仕上げ方、何を切るのか…。これは無限のような組み合わせで奥深いものがあります。

迎え入れた新エースですが「一切不満なし」というわけでもありません。炭素鋼なので当たり前なのですが、やはり白紙でこのヘアライン仕上げだと錆や変色しやすいのが気になるところです。綺麗なままで保ちたいなら、クレンザーを振りかけ、人参のヘタでゴシゴシやって、たまにピカールで磨いてあげる必要があります。
それから、食材の刃への張り付き。グレステンは切った食材が刃に張り付かないようディンプル加工がされていました。この効果は絶大でしたから、ペタペタ張り付く普通の包丁はストレスが貯まります。また新しいエースは真面目で几帳面で育ちの良い大谷翔平そのまんまな感じです。素直に優しく切れるけど凶暴さはありません。同じ白紙2鋼でも堺北辰の和ペティなどは荒々しさのある鋭利さです。研ぎをいろいろと試行錯誤して、似たような切れ味になるような仕上げ方ができるといいなぁと考えています。

最後に…

初の砥石屋さん体験でしたが、色々と楽しい包丁購入記となりました。
合羽橋に包丁を買いに行かれる方は、こちらの「坂井砥石」さんも思い出して立ち寄ってみてはいかがでしょうか。割と近くで歩いて行けます。包丁は砥いでから使う物ですから、砥石店で包丁を買ってビシッと仕上げてもらうのは一考に値します。包丁に自分の名前をトンカン彫ってくれるサービスなんかより、刃付けをしっかり仕上げてくれたり、砥ぎ方のノウハウを伝授してくれたりするサービスの方が数段お得です。いざという時に面倒を見てくれる砥石屋さんの存在は大きいと思います。なにせ包丁は買った後が大切なのですから…。

堺北辰 (伝統工芸士 池田美和) の包丁を買う。動画アリ。最高の職人技。プロおすすめの堺打刃物ですが、切れすぎてちょっと怖いかも。

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伝統工芸 青山スクエアで「堺北辰」の出刃包丁を買う

堺打刃物の水本焼き包丁で有名な伝統工芸士の方が伝統工芸・青山スクエアで個展を開いていたので行ってきました。大阪は堺市にある池田鍛錬所の池田美和(いけだよしかず)さん。釣った魚やイカを捌くのに、かねがね良い包丁が欲しいなと思っており、京都の有次にでも行ってみようかと思案していたのですが、遠いし、お金かかるしで、二の足踏んでいました。幸いなことに東京でこのような催しがあると知り、満開になった都内の桜を楽しむドライブがてら、愛車を走らせて伺ってきました。

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会場は1階正面玄関入り口を入ったすぐ横にありました。
池田さんの作られた40本程の包丁の展示と、名入れ&研ぎ方の体験教室が開催されていました。物見遊山で来た訳でもなく、せっかくの機会なので砥ぎ体験に参加し、出刃包丁を一本買ってきました。

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如何ですか?これぞザ・おとこの包丁って感じです。
出刃、刃渡り150mmの片刃。家庭用としては最も標準的なサイズです。
高級和包丁の素材ではおなじみの安来鋼白紙と軟鉄を張り合わせて使った霞包丁(合わせ包丁)と言われるものです。柄は朴の八角で角巻は水牛。

刻印銘の「堺北辰」は伝統工芸士・池田美和さんが作った包丁の専用銘です。由来は剣術の流派「北辰一刀流」でしょうか。坂本竜馬、そして新撰組山南敬助伊東甲子太郎北辰一刀流。激動の幕末の志士たちのイメージが重なります。包丁に刻まれた文字の座りも良くて、素敵で格好良い銘です。ちなみに砥ぎの体験教室に参加すると教材用の小ぶりな和包丁(和ペティ/黒打ち/160mm)を1本もらえるので、都合2本の包丁を入手してきました。

試し切りしてみました。 

百聞は一見にしかず。
試し切りをしてみました (動画参照)。とにかくキレキレでちょっと怖いぐらいです。

最初の黒打ち和ペティ包丁は砥ぎ方を教えてもらいながら砥ぎ、池田さんに仕上げてもらったものです。教材用に使う物で参加すればそのまま貰えます。銘もなく高級な柄や角巻こそ付いてませんが、包丁そのものは絶句しそうなキレ味です。砥ぎ教室は受講料が5,000円で包丁も含まれたコミコミの料金です。砥ぎ方を色々と教わり包丁も一本貰えるので良い企画だと思います。刃渡りは160mmで諸刃。名前こそ和ペティとなっていますが普通のペティより二回りぐらいは大きいサイズでチビ柳刃といった雰囲気すらあります。多分これ1本で肉・魚・野菜・果物まで、一般的な家庭調理なら9分9厘こなせると思います。

堺北辰の出刃包丁は箱出しのままで切ってます。
一切砥いでない状態です。プロが言うところの本刃付けをしていてません。それでこの切れ味です。安来鋼白紙なので砥ぎ屋さんでしっかり砥いでもらったら、どのぐらい切れ味が増すのか楽しみです 。刃の峰の厚さがたっぷり8mmぐらいあってズッシリと重いです。試しに鯛、金目鯛、黒ソイ、大きめの鯵をこの包丁で捌いてみましたが「もっと魚もってこい」な気分になります。

さて、伝統工芸士の包丁を使ってみて大きな問題も浮かび上がりました。
それは、どんなに良い包丁があっても使う人間の腕前が下手くそだと魚は上手に捌けない、ということですw。

八角型の柄が好き

購入を検討していたのが出刃の中型サイズ、予算的にも白紙の霞包丁ということで、選択肢はなくズバリこれ1本でした。特に深く考えることもなく手に取って、そのまま購入しました。帰宅して箱を開封し満足げに眺めていたら、ふっと気が付きました。

あれ、そういえば柄は八角形だったっけ! 
高価な包丁みたいでよろしいじゃん (ニヤリ) 

柄のことなどすっかり忘れていました。
そういえば展示されていた包丁はこの八角形ばっかりだったよな、と思い出しました。会場に置かれた包丁は、かわいい形をした「おさかな包丁」以外、柄が八角形のものばかりだったこともあり、購入時は特に気にも留めていませんでした。墨流しなど綺麗な刃や波紋の方ばかり眺めていましたから柄のことなんてすっかり忘れてました。
改めて包丁を手にしてみると、やはり八角形は握り易すく見た目も洗練されて綺麗。木の材質もしっとりと高級感があります。

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和包丁の柄の型は小判型(楕円)、栗型(しのぎ付)、八角型、半円六角型などがあり、良い包丁になるほど八角型の柄が付いています。白紙の霞包丁では八角の柄が付いたものは少なく、素朴な小判型や栗型の柄が付いたものばかりです。八角柄が付いているのは高価な青紙鋼を使った包丁に目立ちます。

池田さんの包丁は霞の白紙鋼でも高級感のある美しい水牛八角柄が付いていました。良い商品というのは値段に関係なく細部まで正しく体裁が整えてあるもので、それが結果として機能美となって表れます。伝統工芸品としての風格もそのようなところに出るのだと思います。商品の材質やグレードのヒエラルキーに囚われず、コストカットしてないところに好感が持てます。柄の部分は実際に人の手が触れる部分ですから、見た目はもちろん、手になじんで握りやすい形にも拘りたいところです。

堺の刃物の大半は分業制で製造されています。「鍛冶」・「砥ぎ(刃付け)」・「柄付け」・「名入れ」の各職人さんたちが別々で作業を行います。4人の職人さんの手(4つの工場・会社)を1本の包丁が渡り歩き完成していくわけです。たとえ上級の本焼き工法や青紙鋼を使っていなくとも、柄がしっかりしたものが付いているとすれば、それは刃の方も、鍛冶・刃付けの段階で間違いなくしっかり作られた包丁のハズです。

水本焼きの伝統工芸士

和包丁は「本焼き包丁」と「霞包丁」に大別されます。本焼きとは刃全体が単一の鋼(はがね)だけで火造り鍛造成型されているものを指します。一方の霞は、鋼と軟鉄の2つの鋼材を合わせて鍛接して作られる包丁です。また製作の工程により「水焼」と「油焼」に分かれています。炉で熱して赤くなっているアツアツの鋼をジューッと冷やして焼き入れするわけですが、私のような素人は全て水で冷やしていると勘違いしがちです。油を利用して温度管理が楽な油焼き包丁もあります。高価な包丁は水焼きが主流です。

高級和包丁に使われる鋼は主に日立金属の安来鋼で、種類は白紙と青紙。白紙は純粋な炭素鋼。青紙はタングステンとクロムを白紙に添加する合金鋼。青紙は白紙より硬いので切れが持続(長切れ)します。鍛冶屋さんも焼き入れしやすい鋼材。ただし脆くて刃欠けしやすい。硬いので砥ぎ難く、価格は1.5倍ほど高くなる。柔らかいものを大量に切り、多少コスト高になってもかまわない、という本職用の刺身包丁などにに向いています。白紙は青紙より安価で柔らかく、砥ぎやすく良い刃がつけやすいので、カミソリのような鋭い切れ味になる。が青紙ほど刃持ちは持続しない。また焼き入れもしっかり性能を出すのが難しいので本当に良いものを打てる人は限られてくる。白青ともに2号、1号と別れています。2号は柔らかく、1号は硬い。魚の骨とか硬いものをバキッとやるなど手荒いことにも使う出刃については、刃欠けしにくい柔らかい白紙2号などが適してるかと思います。刺身など柔らかい食材を鋭く切るには青1や白1が適しています。

安来鋼白紙、そのなかでも切れ味に優れる白紙1号鋼で水本焼き包丁を作るのはとても難しく、伝統工芸士の池田美和さん
はその「水本焼き包丁」づくりの名匠です。インターネットでもその評判を拝見することができます。このような特殊な技工を持つ方は全国でも数少なく、現在では白紙1号の水本焼き包丁はわずか数名の限られた方しか作れないようです。池田さんの作った本焼き柳刃包丁をネットで見たら10万円を軽~く超えるようなお値段が付いてました。海外サイトで検索してみたら The World's most expensive kitchen knifeというウェブページには、築地の子の日が販売する池田さんの手によって打たれた先丸蛸引き包丁がランクインしていました。お値段なんと6,980ドル!約77万円です。 伝統工芸スクエアの会場にも高価な包丁が展示されていましたが、それでも5万10万の世界です。世の中にはお高い包丁があるものです。板場に立つお寿司屋の板前さんとか割烹の本職の方はのなかには、こういうものを使う人もいるのでしょう。

伝統工芸 青山スクエア より
池田さんの仕事が伝統工芸の公式サイトで紹介されています。

手技TEWAZA「堺打刃物」Japan Sakai Forged Knife

他の和包丁も欲しい!

板場に立つ職人でもない私には水本焼き包丁など不要なので霞の出刃包丁を買いましたが、それでも日本有数の伝統工芸士が作っている高品質・高性能な和包丁に変わりはありません。料理の腕前から言って分不相応な包丁かもしれません。しかし下手くそなりにガシガシ砥いでバンバン使いたいと思います。この手の物を買うと「一生モノ」とかケチ臭いこと言い出す輩がいますが、ダメになったらまた買えばよいのです。包丁一本で30年も使われたら堺の刃物屋さんは商売あがったり、みんな倒産です。ガンガン使って、ガシガシ砥いで、古くなったら買い替えて、刃物職人さんたちの売り上げに貢献したほうが良いのです。売れてナンボ。そうでなければ連綿と続いた伝統工芸の技なんて未来に伝承されません。

いまどきアップルのスマホが10万円。高校生だって持ってます。しかも5、6年も使えば買い替えです。伝統工芸士の作る包丁なんてどう考えても10年以上は持ちます。世のオジサン達のたまにしか使わないゴルフクラブや釣竿、あるいは大して役に立っていないオバサン達の化粧品やアンチエイジング商品などと比較すれば、毎日のように使う包丁は多少値が張ったとしても本当はお安いものです。たまにしかいかないゴルフで、ろくに入りもしない3万円のパター買うなら、伝統工芸士の方が作った3万円の和包丁を買った方がはるかに世のため人のため、と反省しきりの包丁購入記とあいなりました。

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池田さんはこの「お魚包丁」シリーズでも有名です。NHKで紹介されて注文が殺到した包丁のようです。インターネットで取り扱っている刃物屋さんも散見されますが、どこも売り切れです。会場には全種類ちゃんとありました。肉好きな私としては、魚はあるのに、なぜ鶏や豚や牛は無いの?とツッこもうかと思いましたが黙ってましたw。

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会場では柳刃、薄刃、牛刀、三得包丁なども手にしてみました。こうして見るとやはり柳や薄刃などを堺北辰でバリッと揃えたくなりますね。

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白紙3号の本焼き柳刃包丁が75,000円。これで刺身切ったら美味しいのだろうか…。
ん? お前の腕前じゃせっかくの包丁も魚も台無しってかw

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青紙スーパー鋼の出刃。久次作という刻銘が入ってます。以前は「久次」という名前も使っていたそうですが、堺北辰に統一したそうです。

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鋼を幾重にも重ねて生み出される模様がきれいな「墨流し」包丁。ステンレス製ならダマスカス鋼なんていう名前がついたりします。所有欲を掻き立てる不思議な魅力があります。海外でも人気があります。

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私のような庶民のために家庭用包丁だってありますw。
とは言いつつも2万円を超えるような価格が多いです。包丁は安来鋼の種類によって性能や価格が変わります。青紙→白紙→黄紙の順で耐摩耗性、つまり切れの持続性が下がります。一番「長切れ」するのは硬度が高い青紙。お値段も高くなります。ただし硬いので脆く欠け易い。白紙は青紙よりは柔らかくて鋭く切れるけど青紙ほど長切れしない。用途に合わせて選んだ方がよさそうです。

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青山スクエアでは、常設で池田さんの堺北辰をはじめ堺打刃物の伝統工芸士の手による包丁が販売されています。210mmの牛刀が手ごろな価格で売っていたのですが、我が家の牛刀がまだ存命中なので見送りました。

今回の展示で一番気になったのが写真の一番右端に写っている関西型の鎌形薄刃包丁195mm。関東ではあまり見かけない形です。安来鋼白紙2号で柄もちゃんと八角タイプが付いて理想的です。程よい重さで手に吸い付くような感覚でした。せっかくなので買っておけばよかったかなと思いつつも、楽しみは次の機会に取っておくことしましょう。秋には再び展示会があるようです。お時間のある方は是非どうぞ。

スイス Spring (スプリング) のクリスタルを探せ。鍋・ソテーパンはどこだ!

お題「愛用しているもの」

無水調理できるスイス製の全面5層構造ステンレス・フライパン

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スイスのスプリング社のクリスタル・24cmソテーパンを愛用しています。
ピカピカに光り輝くステンレス製の5層構造フライパン(ソテーパン)です。
お持ちの方はわかると思いますが、フタがすべるようにクルクルと回る、無水調理のできるフライパンです。

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日本ではフィスラーやビタクラフトほどの知名度はなく馴染みの薄いブランドかもしれませんが、スプリング社の「クリスタル」シリーズは30年以上に渡って世界中でロングセールスが続いています。その名のとおり躯体はステンレスの鏡面ミラー仕上げになっており、両手鍋、片手鍋、ソースパンなどがラインナップされています。作りは外と内からステンレス鋼でアルミ合金3層コアを挟んだ全面5層構造です。

残念なことに現在は日本国内での正規代理店による輸入販売は終了しています。
そのため海外サイトから個人購入するか、未使用品在庫を国内で探すしかありません。以前はキッチン用品商社の業界最大手「中山福株式会社」がスプリングの製品を扱っていました。一時期ウェッジウッドからWEDGWOOD by Spring Cristal(ウェッジウッド バイ スプリング クリスタル)という名でも販売されていましたので、このシリーズの製品を手にしてファンになった方も多いようです。今でもスプリングの鍋を探している人は少なくないと思います。

今すぐ持って帰らないと気が済まない

このフライパンは一見しただけで、その場で即断即決・即買いしました。
なんの予備知識もなく、初見で突然の衝動買いです。
機能とか一切考慮なし。
今我が家にいくつフライパンが転がってると思ってるんだよ、の自問もなし。

とにかくこれは今すぐ持って帰らないと気が済まない!

その圧倒的な美しさに一発でやられたわけです。
シンプルさを極限まで突き詰めたデザイン。
故に放たれる18クロム鋼の眩い輝き。
一度手に持ってみたら…。
もう手から柄が離れません。
ケタ違いの存在感。

美しく、
眩しく、
無駄がなく、
デカく、
そして重い。

サイズ表示24cmとなっていますが、本体側面が垂直に立ち上がっているデザインなので底面積が広大。また外径が蓋を乗せるため若干外に広がっているので、真上から見ると28cmサイズのフライパンクラス。巨大なステーキも2~3枚いっぺんに「かかってこいや」です。
重さも半端ないです。蓋込みで1.6Kgもあります。
そこへ食材が入りますから、正直なところ女性にはちょっと無理かなという重さです。手にすると鋳鉄製のようにずっしりと重さが伝わってきます。
フィスラーやWMFやクリステルなどの鍋底の部分だけの「なんちゃって多層構造」製品とは重さが決定的に違います。側面もしっかり5層構造ですから当然その分重くなります。
あまりの存在感に若干怯み後ずさりしそうになりましたが、いま在庫は1つだけなんですと言われ「す、すいません、これ包んで下さい」となりました。

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機能は至れり尽くせり 

シンプルを極めた外観と相反して、機能の方はてんこ盛りの完全フル装備。

・本体とフタが密着、ウォーターシール効果で無水調理が可
・肉類は無油調理が可
・全熱源に対応
・オーブンにそまま入れて調理
・食洗機も可
・熱伝導と保温性に優れる全面多層構造
・耐久性に優れ、錆にも強い

一番外側のピカピカ部分はステンレス18-0クロム鋼(SUS430)の鏡面仕上げ。18-0は18-8ステンレス(S304)よりやや耐食性で劣るものの18-8より熱伝導に優れます。また18-0は磁石がくっつく性質から電磁調理器IHヒーターには最適な素材です。コアは熱伝導の良い全面3層アルミニウム。調理面となる内側には18-8ステンレス(S304)を使っていますので耐食性にも優れています。全熱源対応のステンレス製品としてはよく考え抜かれた理想的な多層構造です。

回って回って回って回~る♪

高さが6cmぐらいあるので麺類を茹でるのにも重宝しています(満タン2.7L)。
茹で物では鍋を殆ど使わなくなりました。
面積が広いのでパスタ2人前ぐらいなら十分これでまかなえます。

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お湯が沸騰したらパスタを入れて蓋をします。
蒸気が出てきたら、蓋を本体の上でクルクルと回します。
すると、蓋がすべるように回ります。
(これをやるのが楽しくて何度もクルクルしてしまいます)
これで蓋と本体の間にウォーターシールを作って密封しているわけです。
クルクルしたらすぐに火を止めて放置すれば余熱調理。パスタの包装に書いてある茹で時間が過ぎたら蓋を空けるとあら不思議、パスタがしっかり茹であがってます。
熱伝導が良いのでお湯はすぐに沸くし、沸騰したらすぐ火を消してしまうのでガス代も大幅カットできます。

ステンレスのフライパン。ごひりつく?こびりつかない?

でも良いことばかりではありません。
避けられない問題があります。
ステンレス製は食材がべったりと「こびりつく」危険があります。
購入する際にはやはり一瞬頭をよぎりました。
が、実際のところはそうでもありません。
ネットで調べればこびりつかない方法がわんさと出ています。
道理を理解し、手順をルーティン化してしまえば、ステンレスのフライパンだって簡単に使いこなせるわけです。

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・中火で予熱開始
・水滴たらして玉になってコロコロ転がれば熱完了
・油を投入して底全体に広げ、さらに油から煙がうっすら出始めるまで加熱
・一旦温度を下げて油をならすため、濡れ布巾に乗せてジューッ(15~30秒)
 (ジューッの秒数は調理法や具材によって調整)
・具材によって、弱火~中火で、希望する温度にしてから調理開始
 (ステーキ肉は焼き方や肉の厚みで変えてます)

上記のように使い方をマスターし快適に使えるようになりました。
焼きそばのようにこびりつき必至の料理でさえ、上手に予熱と油ならしができればツルツルとフライパンの上をすべらせて焼くことができるようになります。
温度を冷ますジューッの秒数ですが、目玉焼きは20秒ぐらい→弱火。ホットケーキを焼くときは30秒~45秒ぐらいしっかり冷ます→とろ火。チャーハンは油温を高くして卵と混ぜたいのでジューッを15秒ぐらい→中火で再びしっかり予熱してから卵投入。肉は厚さや焼き方によって再加熱の時間と火力を調節してます。上手にできるようになるとうれしいものです。油をドバドバ入れなくても全然こびりつきません。
※デカイし重いし形状が適していないけど、オムレツも綺麗に作れます

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写真のようにチーズリゾットなんかしっとり作れます。

Spring社の製品は性能とデザインの両方が良くて魅力的です。
本体がステンレスのピカピカ系は「Clystal」シリーズ
ヘアライン加工のマット系は「Brigade Premium」シリーズ
「Culinox」という古くから続く銅製のシリーズもあります。

そろそろ買い替えが必要な両手鍋があり、スプリングの鍋を物色したいのですが、日本で在庫を持っているお店はそう簡単に見つからないと思っています。近所のリサイクルショップで16cmの未使用片手鍋が売っているので買おうかどうか悩んでます。
でも本当は20cmクラスの両手が欲しいので我慢してます。
とにかく、果報は寝て待て、ですから。
故人の言葉を信じて、いまは動かず。
いざとなれば海外のサイトから買えますし。
Spring社は1946年創業で、海外サイトだと銅のビンテージ中古なんかも結構出回っているので、そんなものを検討するのも一手かもしれません。
もしSpringの鍋やパンを見つけたら買っておくと損はないですよ。